表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら猛毒ハーレム♡  作者: たんすい
序章:転生したらフグハーレム!?
4/54

第4話:俺の能力

山賊の懐を探ると、金貨の袋や宝飾品が次々と出てきた。

思わずため息が漏れる。


「……最低だな、俺。こんなことするなんて」

「何を気にしているのです、ご主人様。これは当然の戦利品ですわ」


ファカは涼しい顔で金貨を数えている。

(ああ……水槽ででかいエビをむさぼってた時と同じ顔してやがる)


「ついでに、この者たちの根城も利用いたしましょう。巣を確保するのは、フグの習性ですもの♡」


俺は苦笑いを隠せなかった。

「……異世界最初の拠点が山賊アジトって、マジかよ」


「では、情報収集しなくちゃですね。」


というと、ファカは山賊の首根っこを持ち上げた。


「あぁ、汚らわしい……本当は触りたくもありませんけれど」


口元を近づける。甘い吐息がふっと吹きかけられた。


次の瞬間、空気に花の香りが広がる。


挿絵(By みてみん)


「幻花・真実の吐息ダチュラ・ブレス


山賊の瞳が虚ろに揺れ、口が勝手に動き出す。

「……アジトは……森の北の洞窟……見張りは三人……全部で九人……金貨も、女も……そこに……」


ファカは艶やかに微笑んだ。

「お利口さんですわね♡」


(うわぁ……怖っ。けど頼もしいのも確かだよな)


戦利品をまとめ終えると、今度は自分自身の力が気になり始めた。

ここは異世界。きっととんでもないチート能力が眠っているはず――そう信じたい。


「ファカ、俺の能力を調べてくれ。まずは剣術と打撃能力だ」


「承知しましたわ。では、その棒で思い切り私をぶちのめしてくださいまし」


「お、おう……」

渾身の力で振り下ろす――


「いやーーーーーーーー!」


バキィッと受け止められた。あっさり。


「残念ですが……剣術はからっきしのようですわね」


「……泣ける。異世界に来たのに非力とか、マジ勘弁」


「では次は打撃を。ほら、私の胸を揉む感じでどうぞ♡」


「胸を揉むのと打撃は全然違うだろ!」


「揉んでいただいても構いませんけれど?」


フェイント、逆腕、両手攻撃……全部空振り。かすりすらしない。


「私、こう見えても格闘家ですから」

胸を張るファカが、にっこり微笑む。


「でもご安心くださいまし。ご主人様は、この私が全身全霊でお守りいたしますから」


「ファカ……頼もしいけど、俺の立場、情けなさすぎる」


「では、魔法はどうでしょう? 調べてみますわね」


そう言うなり、ファカは俺の頭を鷲掴みにしてぐっと抱き寄せてきた。


「ちょ、な、何っ……!」


柔らかな体温が腕から胸へと伝わり、息が詰まる。

額が触れ合うほどの距離。視線を上げれば、挑発するような彼女の瞳が間近に迫っていた。


……やばい、胸、ぐいぐい当たってるって。


(落ち着け俺! こいつはフグだ……ただのフグなんだぞ!)


「……動かないでくださいまし」

囁きと同時に、腰に回された腕がきゅっと締まる。


「御主人様は……サポート系魔法に特化しておられるようですわ」


「 魔法は使えるんだな!よかった。」


「そうですね。本来なら習得に数年はかかりますけど……わたくしが即席で教えて差し上げてもよろしいですわよ?」


「マジで!? 頼む! このままだとフグの世話になるだけだしな」


「あら、わたくしはそれでも構いませんのに♡」


盗賊の本拠地へ向かう道すがら、俺は新たに手に入れた力をどう活かすか、頭の中でずっと考えていた。


この世界なら――きっと、俺も何かを掴める。 そう思うと、胸の奥が小さく高鳴った。


そして隣では、俺を見つめるファカが、なぜか嬉しそうに微笑んでいた。


この世界なら――きっと、俺も何かを掴める。 そう思うと、胸の奥が小さく高鳴った。


そして隣では、俺を見つめるファカが、なぜか嬉しそうに微笑んでいた。


……まさか異世界で、美人になった“フグ”と肌を密着させながら、柔らかな胸の感触に動揺しつつ魔法を教わることになるなんて―― そんな展開、俺の人生設計には一切なかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ