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転生したら猛毒ハーレム♡  作者: たんすい
第3章:アマゾネスの戦士と新たな拠点
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第23話:ヒドラ戦再び…(前半)

死に戻りを果たした――


白光が消えた瞬間、視界に広がったのは、見覚えのある洞窟の狭い通路だった。


俺は荒い息を吐きながら振り返る。

そこにいた二人は、まるで幻でも見たかのように目を見開いていた。

時間が止まったかのように、誰も声を発せず、ただ沈黙だけが支配する。


「……ご、ご主人様……?」


掠れるような声を絞り出したのは、ファカだった。

その震えは、夢の中で俺の名を呼ぶみたいに頼りなく

――けれど、確かに俺を求めていた。


俺が一歩踏み出した瞬間、彼女は崩れるように膝をつき、

そして次の瞬間――堰を切ったように泣きながら、俺の胸に飛び込んできた。


「生きて……! 本当に……生きておられるのですね……!」

挿絵(By みてみん)

ぽろぽろと大粒の涙を零し、俺の胸を何度も叩く。

震える手が服を掴んで離さない。

冷たさと温もりが同時に伝わってきて、

彼女がどれほどの絶望に耐えてきたのかが、痛いほど分かった。


「主様……生きて戻られたのですね……信じられません……」

挿絵(By みてみん)

ムーも言葉にならない声をもらしながら、そっと俺の手を握る。

涙で潤んだ瞳には、それでも確かな――希望が宿っていた。


俺は一度、死んだ。

だがこうして生きて戻り、彼女たちの前に立っている。


俺の命が、彼女たちの希望になるのなら――

燃え尽きるその日まで、この命を使い切ってやる。


「紹介する。新しい仲間、サリヴァだ」


振り返ると、そこには血の匂いを纏い、猛獣のような笑みを浮かべたアマゾネスの戦士がいた。

二振りの剣を構え、獰猛(どうもう)に言い放つ。

挿絵(By みてみん)

「俺様はサリヴァだ。ククッ……やべぇ臭いがプンプンするぜ。」


束の間の再会を切り裂くように、ヒドラのおたけびが響き渡った。

俺はファカの肩を強く抱きしめ、仲間たちに決意を込めて告げた。



「いいか、よく聞け。これより、作戦の指揮は俺が執る」


俺たちはヒドラから距離を取り、最後の作戦会議を開いていた。


「俺の支援魔法は未熟で、一度に一人、しかも傍にいないと効果が持続しない。

この制約の中で勝つぞ」


俺は三人に役割を告げた。


「まず、俺たちは四人でヒドラに突っ込む。

ムーは最前線で盾を構え、俺たちの壁になれ。

お前には防御系の支援魔法をかけ続ける。

ヒドラの攻撃は苛烈だが、お前の防御力と俺の魔法なら耐えられるはずだ」


「はい、主様!」

ムーが力強く頷く。


「ファカは、火と氷の首を毒のツルで攻撃しろ。

奴には毒耐性があるから効果は薄いが、確実に弱らせることができる。

牽制(けんせい)が主な目的だ」


「承知いたしましたわ」

ファカの瞳に、覚悟の光が宿る。


「そしてサリヴァ。

お前の役目は、弱った火と氷の首を切り落とすこと。

腕力強化の魔法でお前を支援する。

一撃で仕留めろ」


「ああ、俺様に任せろ!」

サリヴァの青い瞳が、好戦的に輝いた。


「最後にムー、再生の隙を与えるな

毒の首を切り落とせ」


「はい、です。」


俺は全員の覚悟が決まった顔を見回し、最後の(げき)を飛ばす。


「いいか! 危なくなったら俺の指示に従って即座に引け! 『死に戻り』はもう使えないかもしれん。全員で生きて帰るぞ!」



洞窟が震える。

ヒドラの轟きが、岩壁を軋ませるほどの衝撃波となって押し寄せた。


「ムーに鉄壁の守りを!――《フォートレス・ウォール》!」


俺の詠唱と同時に、魔法陣が地を走り、ムーの周囲に巨大な盾が展開される。 炎のブレスが襲いかかる――轟音とともに盾に激突! 爆ぜた熱気が洞窟を揺るがし、岩肌が焼け焦げる。


「ファカ、今だ!」


ファカの毒のツルが地を這い、ヒドラの首へと疾走。 鋭く絡みつき、鱗を焼き焦がす。 ヒドラが苦悶のうなり声を上げた瞬間――


「サリヴァ、跳べ! その一撃に破壊の力を!――《インパクト・エッジ》!」


黄金のオーラがサリヴァの身体を包み込む。 彼女は地を蹴り、空へ舞う。 双剣が閃光を放ち、首めがけて振り下ろされる――!


ザシュッ!


だが、残ったのは浅い傷。


「なっ……!」


俺の支援を乗せたサリヴァの一撃でも、首を断ち切るには威力が足りない。

バーサーク状態の膂力を前提にしていたのが、完全な計算違いだった。


(まずい――!)


だが、サリヴァは止まらない。 低く姿勢を沈め、二振りの刃を水平に構える。

次の瞬間――


彼女は回転した。 凄まじい速度で、刃の旋風と化し、火の首へと突撃!


ギャリギャリギャリ――!


肉が裂ける音。骨が砕ける音。 断末魔を上げる間もなく、ヒドラの首が宙を舞った。


――1本目!


「ムー、行け! 《アーム・ブースト》!」


俺の魔法がムーの身体を光で包む。 彼女は老手斧を振りかぶり、毒の首へと突進!


「うおおおおおおおっ!!」


振り下ろされた戦斧が、渾身の一撃を叩き込む!


ズバァッ!


首が飛ぶ。 噴き出した血が洞窟の天井にまで達し、熱い雨のように降り注ぐ。


――2本目!


ファカのツタが氷の首に巻き付き、酸の毒が鱗を溶かしていく。

ヒドラの首は、薄皮一枚でぶら下がった状態――


「サリヴァ、フィニッシュだ!」


跳躍したサリヴァが、刃を振り抜く!


ザシュッ!


――3本目!


ヒドラが、最後の絶叫を上げる。 洞窟全体が震え、岩が崩れ落ちる。


『ズズーーーーーーーーン』


巨体が地響きを立てて崩れ落ちた。 空気が震え、静寂が訪れる。


ヒドラ、討伐完了――!


「やった……!」「倒したぞ!」


洞窟に響く歓声。

サリヴァが剣を掲げ、ムーが斧を肩に担ぎ、ファカの毒ツタが歓喜の舞を描く。

俺も、胸の奥から湧き上がる安堵と達成感に身を委ねた。


だが――その瞬間だった。


ヒドラの巨体が、闇の中で、影がゆっくりと形を変えた


「……え?」


誰かが呟いた。 空気が凍りつく。


倒れたヒドラの胴体から、ぬるりと――隠れていた一本の首が現れた。


雷の紋様を纏った、鋭い眼光の首。

バチバチと空気を裂く音が洞窟に響く。


「そんなのありかよ… 1本、隠してやがったのか……!」


雷の首が、俺を見ていた。まるで、すべてを見透かしているかのように。


指先が震えている。息がうまく吸えない。


その首の根元から、さらに火の首が生える。

炎を纏い、雄叫びとともに洞窟の天井を焦がす。


続いて、氷の首。

冷気が空間を支配し、岩肌に霜が走る。


最後に、毒の首。

紫の靄を吐きながら、ねっとりとした視線をこちらに向ける。


4本の首が、同時に咆哮を上げた。


『グォォォォォォォォォォォォォォォォ――――!!』


洞窟が震える。 岩が崩れ、魔法障壁が軋む。

空気が重く、息が詰まるほどの圧が押し寄せる。


「……復活、したのか……!」


サリヴァの声が震える。 ムーが斧を構え直し、ファカのツタが警戒の形を取る。


俺の手が、無意識に魔法陣を描き始めていた。

心臓が跳ねる。 これは、さっきのヒドラとは違う――


雷・火・氷・毒。 4属性を備えた、完全体。


真のヒドラが、今ここに目覚めた。

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