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転生したら猛毒ハーレム♡  作者: たんすい
第3章:アマゾネスの戦士と新たな拠点
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第17話:伝説の魔獣

清流での静かな時間から小屋へ戻ると、

ムーがちょうど目を覚ましたところだった。

俺たちの姿を認めると、大きな体を起こし、心配そうに眉を下げる。


「主様、……もうお体はよろしいのですか?」


「ああ、おかげさまでな」


俺が答えると、ムーは安堵したように胸をなでおろす。

その仕草が巨体とのギャップで妙に愛らしい。


「ムーこそ、昨日の傷はどうなんだ?」

気になって声をかけ、改めて彼女の腕や足を確かめた。


――驚いた。


ツルに深く抉られていたはずの傷が、ほとんど塞がっている。


「ムー、その傷……ほとんど治ってるじゃないか!?」

挿絵(By みてみん)

「はい。わたくしたちオーガは、眠れば大抵の傷は癒えてしまいますので」


ムーはこともなげに言うが、その治癒力は凄まじいの一言に尽きる。

(人間とは根本的に体の作りが違うんだな……)


そんな感慨に耽っていると、ムーはふっと柔らかく笑った。


「ご心配なく。主様をお守りするためでしたら、多少の傷などへっちゃらです」


その言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなる。

……俺の仲間は、本当に頼もしすぎる。



朝食は、森で採ってきた木の実と、

ファカが毒抜きをしたキノコのスープという簡素なものだったが、

3人で食べる朝食は涙が出るほど美味かった。


暖炉の火を囲み、ようやく人心地がつく。


だが、安息の時間は長くは続かない。

俺たちはこれからどうすべきか、という重い現実に直面していた。


世間では、俺たちは「伝説の魔女とその共犯者」として指名手配されているはずだ。


「このまま、ここに隠れて暮らすしかないのか……」


俺がため息交じりに呟くと、ファカがふと、何かを思い出したように顔を上げた。

「ご主人様。わたくしの中に残る、昔の記憶なのですが……」


ファカは少しだけ言い淀んだ後、悪戯っぽく微笑んだ。

「この近くのアルガンド山脈の洞窟に、

伝説の魔獣が棲みついているという話を聞いたことがありますの」


「伝説の魔獣!?」


思わず声が裏返った俺に、ファカは楽しそうに頷く。


「ええ。その魔獣を討伐、あるいは従えることができれば……

冒険者ギルドも国も、わたくしたちを無視できなくなるでしょう。

“人類の敵”から、一気に“人類の味方”へ――立場を逆転させるのですわ♡」


「おいおい、また物騒なことをさらっと言うな……」


俺が頭を抱える横で、ムーは黙々と皿を片付けていたが、やがて大きな声で言った。


「主様。もしそれが本当に可能なら……やるべきです。

わたくしたちが逃げ隠れしていても、追手は必ず来ますです。

ならばいっそ、力を示して追わせないほうがいいと思うのです」


ムーの言葉は重い。だが正論でもあった。


「……つまり俺たちの選択肢は二つ。

ここで縮こまって暮らすか、伝説の魔獣に挑んで未来を切り開くか」


俺がつぶやくと、ファカがすかさず肩に寄り添い、顔をギリギリまで近づけてきた。

ふわりと揺れた乱れ髪が頬を撫で、甘い香りまで鼻先をくすぐる。

(これ、絶対“無自覚な誘惑”ってやつじゃん…!)


「決まっておりますわ、ご主人様。わたくしとムーがいれば、必ず勝てます」


「いや、俺は完全に補助役だからな!? 戦うのはお前らだろ!」


「ふふん。ご主人様の魔法があってこそ、わたくしたちは戦えるのですわ」

ファカはそう言って、わざとらしく俺の手を握りしめてくる。


……やめろ、朝っぱらからドキドキさせるんじゃねぇ。


「では、決まりですわね。

次の目的地は――アルガンド山脈、魔獣の眠る洞窟ですわ」


ファカが高らかに宣言する。

炎に照らされた横顔は、まるで冒険の始まりを告げる少女のよう。


(……なんで俺は、こんな無茶苦茶な元フグの美女と一緒に生きてんだろうな)


胸の奥で苦笑しながらも、不思議と心は少しだけ高揚していた。

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