第10話:二度目まして
全身を貫く激痛と、急速に失われていく体温。
ああ、また死ぬのか。
意識が途絶える寸前、俺の魂は肉体から引き剥がされるような感覚と共に、
再びあの真っ白な空間へと放り出された。
「よう。二度目まして、じゃな」
目の前には、相変わらず胡坐をかいて退屈そうにしている神様。
どうやら、異世界で死ぬたびに、俺はここへ呼び戻されるらしい。
「異世界で死ぬと、ここに来るってわけか。便利……いや、便利なのか、これ?」
「うむ。ただし、お主が死に戻りできる回数には限りがある。
安易に無駄死にはするでないぞ」
神様は指を一本立て、釘を刺すように言った。
「それにじゃ、タイミングが悪ければ死に戻りできんこともある。
そうなれば、お主の魂は完全に消滅じゃ」
「タイミングってなんだよ!!」
俺は思わず叫んだ。あまりにも理不尽で、あまりにも曖昧なルールだ。
「無闇矢鱈に死なないことじゃな。それしかあるまい」
神様はニヤニヤと笑うだけで、それ以上は答えてくれない。
「それよりファカだ!あいつはどうなったんだ!?」
俺が本題を切り出すと、神様はやれやれと首を振った。
「あの家の魔法陣が、毒沼の魔女の記憶を呼び覚ます
媒体になったのじゃろう。
三百年間かけて練り上げられた、魂の回帰魔法じゃ。
上書きされた人格など、ひとたまりもあるまい」
「どうすれば元に戻せる!?」
「そんなもの、自分で考えよ」
俺の必死の問いを、神様はあっさりと突き放す。
こいつにとって、俺たちの人生は暇つぶしの盤上ゲームでしかないのだ。
「だが、まあ、このままでは面白くないからのう。次の一手をくれてやろう」
神様がパチンと指を鳴らすと、俺の隣に新たな魂がふわりと浮かび上がった。
それは、ファカの魂とは少し違う、赤い強い光を放つフグの魂だった。
「新たな仲間じゃ。今度はお主のサポートだけでは手に負えんだろうからな。
ちと屈強なやつを用意しておいた」
神様は楽しそうに笑う。
「次の仲間は、オーガの女戦士じゃ。
そいつと協力して、ファカの記憶を取り戻すがいい」
「オーガの女戦士!?」
「うむ。お主のカスタマイズの権利はもうないぞ。
今度こそ、本当の仲間として力を合わせるのじゃな」
俺は頭を抱えた。
(……また女かよ! どんなハーレムゲーだ、これ)
だが冗談では済まない。
ファカを取り戻すには、この仲間の力が必要らしい。
神の高笑いを背に、俺の意識は再び白光に包まれ、異世界へと引き戻されていった。




