第8話 『町で崇められる日常、本人パニック』
噂が王都に飛んでから、一週間が経った。
この一週間、俺はほぼ屋敷から一歩も出ず、胃薬が欲しくなる毎日を過ごしていた。
何をしても落ち着かない。
剣の素振りをしても胃が痛い。
薬草を仕分けしても胃が痛い。
訓練しても胃が痛い。
(頼むから、もう噂が落ち着いてますように……)
今日、ついに薬草の納品日が来た。
俺はこっそり行きたかったけど、師匠――マルタばあちゃん――が「ついていくぞ」と言ってくれたので、二人で町へ向かうことになった。
ただ薬草をギルドに納品して、すぐ帰るだけ。
それだけだ。
安全第一。誰にも見られずに帰る。
……そのはずだった。
⸻
町に着いた瞬間、俺は足を止めた。
道の両側に、人、人、人。
なんでこんなに人が集まってるの?
俺が視線を感じて顔を上げると、みんなが一斉にこちらを見て、頭を下げたり、手を合わせたり、子供を抱えて差し出したりした。
「神の子様だ……!」
「祝福を、この子に加護を……!」
「王様が認めた奇跡の御子だ……!」
「……はぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
意味がわからなかった。
ただの薬草納品だよ!?
俺、ただの6歳児だよ!?
後光が見えるって何!?太陽が逆光なだけでしょ!?!
胃がきしむ。足が震える。
俺はばあちゃんのマントをぎゅっと掴んだ。
「ば、ばあちゃん……これ、なに……?」
「ほっほ、ありがたいことじゃのう」
ありがたくない!ありがたさゼロだよ!
俺は巡礼の対象になりたいんじゃない!
静かに、地味に、平穏に生きたいだけなんだ!
⸻
歩き出すと、周りの人たちが次々と跪いた。
「神童様!この子を救ってください!」
「祝福の力を一目見せてください!」
「加護を授けてください!」
「ち、違います!俺はただ薬草拾ってるだけです!」
「謙虚すぎる……本物の神童だ……!」
いや、だから違うってばぁぁぁぁ!!
俺の言葉は一切届かない。全部「謙虚」に変換される。
胃がギュウゥゥと縮んでいく。
⸻
ギルドに入るまでに何度も足止めを食らった。
子供を抱えた母親、ひざまずく老人、遠くから拝む人。
俺は完全に巡礼対象になっていた。
やっとの思いでギルドに入ると、職員が神妙な顔で迎えた。
「リヒト坊ちゃん……いえ、神童様。町中があなたを崇めております」
「やめてください!呼び方が重すぎます!!」
「ですが、王都の新聞で“神の子”と報じられてしまいましたから……もう誰も止められません」
俺は机に突っ伏した。胃が死ぬ。もう完全に死んだ。
⸻
帰り道、兄アルヴィンが迎えに来て肩を叩いた。
「王都の貴族が“神童に会わせろ”って騒ぎ始めてるらしいぞ」
「やだ……絶対会いたくない……」
カイル兄上が冷静に言う。
「噂に嫉妬した貴族が嫌がらせしてるって話もある。正式な召喚状が届く日も近いな」
「いやだぁぁぁぁぁ!!王都なんか行きたくない!!」
父上が渋い顔で頷く。
「……師匠とギルドで裏から対策を考える必要があるかもしれん」
師匠はにこやかに笑う。
「ほっほ、わしらがなんとかしてやろう」
いや、それって絶対に噂がもっと加速するやつだよね!?
胃がもう転生2回目ルートに行きそうなくらい痛いんですけど!
⸻
屋敷に帰っても群衆は門の前に残っていた。
「神童様に会わせてください!」
「祝福を!」
「せめて姿だけでも!」
俺はカーテンの隙間から覗いて、青ざめた。
(これもう、普通に町に出られないじゃん……安全第一どころか、外出が命懸けじゃん……)
胃の平穏計画が遠のいていくのを感じながら、俺は頭を抱えた。
こうして、「王都召喚状」と「師匠とギルドの隠密対応」のフラグがしっかり立つことになるのだった。
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本作品は生成AIと協力して執筆しています。
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