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第18話 『準備だけは万端です』



馬車が町の門をくぐった瞬間、俺は全身の筋肉を総動員して固まった。


(うわああああああああ……!人が多すぎる!!)


あちこちから声が飛び交い、馬車が並び、荷物を担いだ人たちが行き交う。

町なんてテレビのニュースでしか見たことなかった前世。

今、初めて実物を目にしている。


そして本能が叫んだ。


(ここ……生きて帰れる気がしない……!)



「リヒト、降りるぞ」

父が手を差し伸べてくる。


「……お、おおお降りる!?」

俺は震えながら首を横に振った。


「うん、降りような」

父が苦笑しながら俺を抱き上げる。


「やめて!ここは安全確認がまだ……!待って!まだ危険区域の調査が……!」


地面に下ろされると、すぐにしゃがみ込み、道を指差した。


「ほらあの人、絶対スリだし、あの馬車、暴走しそうだし……!」

「全部普通の人と普通の馬車だよ」

カイル兄が笑いながら肩を叩いた。



でも俺は本気だった。


前世の記憶が、危険のイメージを山ほど見せてくる。

火事、事故、パニック、病気の感染ニュース……。

想像だけで全身が冷える。


だから俺は、リュックを下ろし、さっと広げた地図を地面に置いた。


「えーっと、今いるのがここで……逃げ道が二つ、非常避難ポイントがこっち……」


兄たちが目を丸くする。


「お前……何してんだ?」

カイル兄が呆れる。


「避難経路の確認!非常時はここから森に抜ける!いい!?ここ重要だから!!」


父と母は肩を震わせて笑いをこらえている。

アルヴィン兄が真剣な顔を作りながら頷いた。


「わかった。もしもの時はこのルートだな」

「兄ちゃん……信じてくれるの……?」

「もちろんだ。リヒトの作戦は大事だ」


少しだけ安心したけど、足は全く動かなかった。



姉が手を差し出す。


「リヒちゃん、一緒に歩こう?」


「……でも……怖い……」


「ほら、今日はお菓子屋さんに行くんでしょ?」


「……お菓子……」


一瞬だけ心が揺れた。

甘いお菓子は正直気になる。

けど、まだ一歩が出ない。


俺はポーチから手製の「防御護符」を取り出した。

紙に『安全祈願』と書いたやつだ。


「よし、これで多少は生存率が上がるはず……」


「リヒト、何それ……おまじない?」

姉が覗き込む。


「うん!今日は命懸けだから!!」


兄たちは腹を抱えて笑い、父と母は優しく見守っている。



道の端を通って、俺は慎重に一歩ずつ進んだ。


(ここは視界が悪い……罠がありそう……あ、あの樽、不安定だな……転がって爆発しないよな……)


全神経を張り詰めながら進む。

汗が額を流れ、呼吸が速くなる。


俺は振り返って兄たちに叫んだ。


「ちょっと待って!この先は危険地帯だ!回り道しよう!」


「いや普通の市場の通りだから」

カイル兄が笑う。


「でもでも……人が多い!危険な匂いがする!」

「気のせいだ、リヒト」


アルヴィン兄に肩を叩かれ、ようやく一歩進めた。



そんな調子で、町の広場に着いた頃にはすでにぐったり。


「……生きてる……俺まだ生きてる……」


「何も起きてないからな?」

兄たちが笑う。


でも俺にはわかる。

この町には、無数のリスクが潜んでいる。

きっと今日も、何かが起きる。


だから俺は、持ってきたポーチをぎゅっと握りしめた。


(大丈夫、準備だけは完璧だ……非常食、包帯、煙玉……全部ある……!)


それでも足はまだ震えていた。



こうして、俺の町デビューは、準備だけが万端で、

一歩進むたびに命懸けの冒険となった。


(……無事に帰れるのか、俺……)


読んでいただきありがとうございます。

本作品は生成AIと協力して執筆しています。


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