第17話 『本人だけが緊張してる件について』
今日は――町デビュー当日。
目覚めた瞬間から、胸がバクバクしていた。
いや、昨日からずっとバクバクしてる。
寝ても夢で町が爆発したり、知らない人に追いかけられたり、ニュースで見た最悪パターンが全部再生されてた。
朝、ベッドの上で小さく呟く。
「……今日は……生き残れるだろうか……」
三歳児が口にするセリフじゃない。
でも俺は本気だった。
⸻
食卓に座ってもスープが喉を通らない。
家族がじっと俺を見ている。
「リヒト、パン残すなんて珍しいな」
アルヴィン兄が心配そうに覗き込む。
「……胃が痛い……」
「三歳児が緊張性胃炎とか、聞いたことないぞ」
カイル兄が笑いをこらえている。
「町ってそんなに怖い?」
エミリア姉が首をかしげる。
「怖いに決まってるでしょ!?人が多い!馬車が暴走する!爆発物が落ちてる!知らない人がいっぱい声かけてくる!!」
家族全員、ぽかんとした顔になった。
「……前世のニュース見すぎじゃない?」
カイル兄が呆れ顔。
俺はスプーンを握りしめて小さく震えた。
⸻
食事を終えると、俺は自室にこもって準備を始めた。
「よし……非常用お菓子、よし。水筒、よし。非常時脱出地図……これは森用しかないから書き直さないと……」
紙に必死で避難経路を書き込む。
町の地図なんてないのに、想像で作り上げる。
道が三本、広場、城門、そして非常用退避ポイントを五つ設定。
(これで爆発が起きても逃げられる……多分……)
背負い袋には包帯、干し肉、縄、煙玉(自作の泥玉)、謎の木の棒まで詰め込んだ。
扉がノックされる。
「リヒト、準備できたか?」
父の声。
「……まだ!あと防弾装備が足りない!」
「防弾て何だ……」
カイル兄が吹き出す。
俺は真剣に首を振った。
「町は危険地帯なんだよ……!安全策がいくらあっても足りないんだよ……!」
部屋に入ってきた姉が袋を見て絶句した。
「……ねぇリヒちゃん、これ全部持ってくの?」
「うん、必要な備え!」
「いや三歳児の装備じゃないからこれ!」
アルヴィン兄が笑いながら袋を半分取り上げる。
「だって……だって命が……!」
涙目になった俺を見て、家族が順番に頭を撫でてくれた。
「大丈夫。今日はみんなで一緒だ」
「絶対守るから安心しろ」
「お菓子屋さんも行こうね!」
少しだけ、ほんの少しだけ不安が和らいだ。
⸻
馬車に乗り込むと、再び心臓が跳ねた。
車輪がゴトゴトと揺れる。
屋敷を出て、道が広がっていく。
俺は窓の外を見ては怯える。
「あの荷馬車……絶対スリが潜んでる……」
「あの袋、爆発物っぽい……」
「あの人、悪党の顔してる……!」
「リヒト、落ち着け。全部ただの農民だ」
カイル兄が笑う。
「リヒちゃん、怖いなら手握ってていいよ」
姉が手を差し出した。
俺はぎゅっと握った。
それでも足は震えてる。
父が前を見ながら声をかける。
「この町は領地の中心部で、俺たちが守っている。
安全だから心配するな」
「……ほんとに?」
疑いの目で見ると、アルヴィン兄が真剣に頷いた。
「もしもの時は僕が必ず守る」
少しだけ安心した……が、やっぱり不安は消えない。
⸻
町の門が見えてきた瞬間、俺の頭の中で非常ベルが鳴った。
(うわあああ……人がいっぱい……道が複雑……絶対迷子になる……絶対事件が起きる……)
俺は震える声で呟く。
「……今日は、生きて帰るのを目標にしよう……」
カイル兄が吹き出した。
「目標低っ!三歳児のセリフじゃねぇ!」
姉がクスクス笑いながら俺の肩をぽんぽん叩く。
「大丈夫。リヒちゃんがそんなに怖がらなくても、何も起きないから」
俺は小さく頷いた。
でも手はぎゅっと握ったまま離さなかった。
こうして俺の町デビューは始まった。
家族が和やかに笑う中、ひとりだけ死地に向かう戦士のような顔をしていた。
読んでいただきありがとうございます。
本作品は生成AIと協力して執筆しています。
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