第9話 『気配を消したら転移魔法と誤解された件』
森に行くのが完全に日課になった。
今日もじいちゃんとばあちゃんに連れられて、朝の冷たい空気を吸い込みながら歩く。
屋敷ではどうせ、家族が水晶を囲んで実況している。
俺はもう悟りの境地だ。
(今日こそ、何も起きない……!
誤解も加護も祝福も、全部ナシで帰る……!)
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森に入った瞬間、今日はやけに静かだと気づいた。
鳥の声も、虫の音もない。
昨日まで見た小動物の姿すら見えない。
(……これ、逆に怖いやつじゃない?)
でも、だからこそ思いついた。
最近、動きが大きすぎて草むらを揺らす音を何度も出している。
魔物を驚かせないように、気配を消す練習をしよう。
音を消して、存在を薄くする。
それなら安全に薬草を採れるはずだ。
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深呼吸。
魔力を体の表面に薄く伸ばすように流す。
足裏の力を抜いて、地面を踏んでも音を出さないように。
体の輪郭ごとぼかすイメージで、息を小さく整える。
(これなら気づかれない……よし、安全確保……)
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「……あれ、消えた……?」
ばあちゃんがぽつり。
じいちゃんが目を細めて俺の立っていた場所を見つめる。
「……気配が……完全に途絶えた……」
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水晶前の家族が一斉にざわつく。
「え、今消えたよね!? そこにいたのに!」
「転移魔法!? 瞬間移動!? 四歳で!?」
「リヒちゃん、ついに次元の扉を開いたの!?」
(違う違う違う! 俺はここにいる! 静かにしてるだけ!!)
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さらに一歩前へ。
落ち葉を踏んだはずなのに、音がしない。
気配すら残らず、足跡まで消える。
神獣のブーストが働き、俺の魔力が過剰に最適化されていた。
(え、これすごい……! 転生前でもこんな隠密できなかったぞ……!)
思わず感心するが、後ろの二人の表情は真剣そのものだった。
「……完全に異空間に消えた……」
「……時空を超えとる……転移じゃ……」
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水晶前が半ばパニックになる。
「弟、もう人類じゃない! 神域の住人だ!」
「王都どころか世界会議案件だぞこれ!」
「リヒちゃん、どこ行っちゃったの~~!!」
(だから行ってない! ここにいるってばぁぁぁ!!)
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俺はこっそり振り返って、ばあちゃんたちの反応を見た。
二人ともガチで驚いた顔。
(やばい、これ……やりすぎたかも……)
試しに気配を戻すように魔力を緩めた。
ふっと空気が動き、俺の存在がまた現れる。
「……あ、戻った」
「やっぱり転移から帰還した……」ばあちゃんが震える声を出す。
じいちゃんが真顔で頷く。「……一瞬で別の空間を行き来できるのか」
(違う違う違う違う!! そんなスゴ技使ってない!!)
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水晶前の家族が勝手に会議を始める。
「四歳で転移魔法って前例あるか?」
「聞いたことない。王都の魔法塔が血眼になるレベルだ」
「この領地、国にバレたらやばいな……」
「リヒちゃん……すごすぎて逆に心配……」
(だから! 転移してない! 俺はただ静かに歩きたかっただけなのぉぉぉ!)
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森を出る頃には、俺は精神的にクタクタになっていた。
家族と師匠の視線がもう、未来の大魔導士を見るような尊敬の目になっている。
ばあちゃんが頭を撫でて、優しい声で言った。
「リヒちゃん、あの技はすごかったのう。次元渡りの才能まであるとは思わなんだ」
「……ちが……いや、なんでもないです……」
じいちゃんも短く頷く。「……間違いなく特別な子じゃ」
水晶前の父が深刻な顔。
「このことが外に漏れたら……王都が動く。しばらくは内緒だ」
長兄が真剣に。「うん、弟は国宝級だ」
次兄がため息をつく。「未来が怖いな……英雄ルート一直線じゃん」
母が目を潤ませる。「リヒちゃん、もう尊すぎる……」
(お願いだから普通の弟として見てぇぇぇ!!)
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こうして俺の中では“安全対策の気配消し訓練”だった一日が、
家族と師匠の中で「神域を操る転移魔法の使い手」として伝説に刻まれた。
つづく → 第10話『錬金素材、勝手に進化してた件』
読んでいただきありがとうございます。
本作品は生成AIと協力して執筆しています。
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