第6話 『調子が良すぎる(でも気のせい)』
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朝、目が覚めた瞬間から体が軽かった。
昨日のガチ森修行が効いたのか、魔力がいつもよりスムーズに回ってる。
胸の奥がじんわり温かくて、指先まで血が通ってる感じが気持ちいい。
(……あれ? 今日すごい調子いいなぁ……寝たからかな?)
昨日の疲れが取れたせいだろう。そう思い込む。
……まさか本当の理由が別にあるなんて知りもしない。
縁側ではじいちゃんが無言でリュックを詰めていた。
ロープ、瓶、薬草袋、ナイフ。完全にサバイバル装備。
(俺、今日はゆる~く薬草採るだけの予定だったよね!?)
準備が終わったらしいじいちゃんが無言で俺にリュックを押し付けてきた。重い。
ばあちゃんがにこにこしながら声をかけてくる。
「おはようリヒちゃん! 今日も森じゃぞい!」
「……お、おはようございます……(帰りたい)」
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同じ頃、屋敷のリビングでは家族が水晶を囲んでいた。
父が真剣な顔で言う。
「今日は二日目だ。きっと昨日よりすごいことになる」
長兄は興奮気味に頷く。
「昨日の動き、まるで熟練者だったもんな……」
次兄はにやけ顔。
「弟、将来どころか今もう伝説級だろ」
姉は手を合わせて祈るように。
「リヒちゃん、がんばってね!」
母は感動でうるうるしながら水晶を覗き込む。
完全に観戦モードである。
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森の入口に立つ。
空気がやけに澄んでいて、深呼吸すると気持ちいい。
自主訓練で何度も来てる場所だけど、今日はなんかいつもより歩きやすい気がする。
足元の小石も不思議と踏まないし、風が気持ちいい。
(……うん、昨日ぐっすり寝たからかな。絶好調だ)
薬草を見つける。
指先に魔力を流し、菌を焼いて安全化してから摘む。
瓶に詰めて封をする。
……なんだろう、すっごくやりやすい。
魔力の流れが引っかからないし、失敗しそうな気配がない。
後ろからばあちゃんが感心した声をあげる。
「ほほう、昨日よりさらに繊細じゃのう」
じいちゃんも短く頷く。
「……精度が跳ね上がっとる」
同時刻、水晶前の家族が大騒ぎ。
「見たか!? 一瞬で処理したぞ!」
「昨日より速い! しかも完璧だ!」
「リヒちゃん、天才すぎる……!」
父は腕を組み真顔で言う。
「四歳でこの精度……世界を揺るがす才能だ」
(いや、寝ただけだから! 体調いいだけだからぁぁぁ!)
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森を進むたびに、俺の動きがどんどん滑らかになる。
足を踏み出す前に安全な場所がなんとなくわかる。
薬草を摘む前に魔力が勝手に整って、余計な失敗をしない。
(おかしいな……俺ってこんなに器用だったっけ……?
でも、たぶん昨日よく寝たからだよな……うん、そうだ、寝るって大事)
後ろでばあちゃんとじいちゃんがボソボソ。
「……あの歳でここまでの魔力制御、見たことないのう」
「……伝説級だ」
水晶の向こうでも同じような会話が炸裂する。
「すげぇ……森と一体化してる!」
「気配察知スキルが発動してるな」
「リヒちゃん……やっぱり神様に愛されてる子なんだわ!」
(愛されてるのは睡眠の神様だけだから!)
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途中、棘のある薬草を見つけた。
指を伸ばした瞬間、「刺さる!」と思ったら、透明な魔力の膜がふっと指先を覆った。
「あれ? 勝手に防御が出た……?」
偶然だと思って首をかしげる。
「……瞬間防御結界……?」ばあちゃんが驚く。
「……初見で発動か」じいちゃんが低く呟く。
水晶前も騒然。
「え!? あれ反射防御だろ!?」
「瞬間発動とか王都の宮廷魔導士でも難しいぞ!」
「リヒちゃん……もしかして神の加護がついてるのでは……!」
(加護じゃないから! 偶然だから! 俺そんなすごい子じゃないからぁぁ!)
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休憩時間。
木陰で水を飲みながら俺はポツリと呟いた。
「今日、なんかすごい調子いいなぁ」
ばあちゃんが優しく微笑む。
「“調子がいい”と言えるのは極めた者の証じゃ」
じいちゃんも頷く。
「……わしですら年に数回だ」
水晶の向こう。
父が深く息を吐く。
「この年でその域に至るとは……末恐ろしい」
長兄が真剣に呟く。
「弟は世界を変える存在かもしれない」
次兄がぽつり。
「国が弟を放っとかない未来が見えるわ」
姉が涙声で。
「リヒちゃん、もう立派な冒険者みたい……!」
(だからぁぁぁ! 寝ただけだから!!)
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こうして俺は、神獣の見えない加護を受けて絶好調の一日を過ごし、
周囲が勝手に「世界を揺るがす才能覚醒」と勘違いする地獄が構築された。
俺はまったく知らない。
数メートル後ろで、小さな狸みたいな存在がしっぽを揺らしながら、静かに呟いていたことを。
「……今日も元気そうだな。よし、守ってやろう」
その声は誰にも届かず、俺の伝説だけがさらに加速していくのだった。
つづく → 第7話『神獣のせいで“加護持ち”と呼ばれた件』
読んでいただきありがとうございます。
本作品は生成AIと協力して執筆しています。
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