第4章 第1話 『名前つけてみた』
4章はじまります。
よろしくお願いします!!
裏庭の訓練場。朝露がまだ乾かぬ土の上に、俺は一人立っていた。
いや──正確には、俺の前にばあちゃんがいて、縁側にじいちゃんがいて、そして俺が震えている。
「さて、リヒちゃん。今日はのぅ、“今できること”を一通り見せてみい」
笑顔の裏に何かを秘めた、ギルドマスターのマルタばあちゃん。
その笑顔が恐ろしくて、俺は反射的に敬礼しそうになった。
そしてもう一人、じいちゃん──無言で干し肉……ではなく、なにやら小瓶を並べている寡黙な錬金術師がひとり。
「気にせんでええ。あれはわしの旦那じゃ。気にするな」
「……気になる……!」
むしろ気になりすぎるんですが!?
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ばあちゃんは、にこやかに椅子に腰を下ろした。
「での。せっかくだから、動きに名前をつけてみんか? わかりやすくなるし、記録にも残しやすい」
「え、記録!? 登録されるんですか!?」
「いや、スキル登録制度とかはない。自分で理解しとけばええんじゃ。それで充分じゃよ」
(……なるほど、自分用のメモみたいなものか)
だったらちょっと、やってみようかな。
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まずは俺の基本技。魔力をゆっくり吸って、体内で巡らせて整える。
(吸って、回して、出して、また吸って──)
掌に魔力を集中させ、呼吸と合わせて“ぐるぐる”と巡らせる。
「……これは……【ぐるぐる魔力法】!」
ばあちゃん、目を細める。
「うむ。名前のセンスは……独特じゃが。動きそのものは理にかなっとる」
「……ど、独特って……?」
「“ぐるぐる”のリズムで魔力を調整してるんじゃな。子ども向けかと思えば、実は魔力の内巡と外流を両方整えておる。熟練の域じゃ」
「ほんとですかっ!?」
「ほんとじゃとも。すごいぞリヒちゃん」
(あれ……なんか……褒められてる!?)
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次は、気配遮断。
俺が森でこっそり訓練していた頃、最重要だった技。魔物に気づかれないようにするために、完全に存在感を殺す。
「これは……【だるまさんがころんだモード】」
「ふっ……」
ばあちゃんが肩を震わせて笑う。
「名付けの方向性は“面白い”のう。だが、技は見事じゃ。“気配”だけでなく、“魔力の痕跡”まで断っておる。これは、そう簡単に真似できんぞい」
「ふふん……」
(いや、これ、めちゃくちゃ褒められてない!?)
「リヒちゃん、もしこの技を戦場で使えば、敵に気づかれず背後に回れるぞ」
「えっ、そんなつもりで使ってなかった……」
「なんじゃ?」
「え、えーと! 隠れるための練習です!」
「うむ、それが良い。基礎を極めた者は、自然と応用へ至る。褒めて伸ばすタイプじゃな」
(あれ、ばあちゃんって……やっぱり俺のこと、素直に褒めてくれてる……?)
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次の技。森での訓練中、よくケガをした。
そのたびに、知らないうちに魔力が反応して傷を修復していた。
「これは……【気づいたら治ってるやつ】!」
「ふふっ……名はさておき、まぎれもなく“回復”じゃな。しかも無詠唱、無意識」
「本当ですか!? でも俺、回復魔法は使えないと……」
「そりゃ“詠唱魔法としての回復”は使えんでも、身体が自然に反応しとる。魔力操作の応用じゃ。見事じゃよ」
ばあちゃんは、満足げに頷いた。
「無意識でここまでできるとは、やはり実践を積んできた証じゃな。よきよき」
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次は、冬の間に開発した防寒用魔力技。
「【ぽっかぽかゾーン】」
「……これは、どこを温めとる?」
「主に……お腹です」
「冷やしたらダメなとこじゃな。実に賢い。優しさを感じる技名じゃ」
(えっ、肯定された……!)
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続いて足場確認の技。
転びたくなくて、地面の状態を魔力で読み取っていた。
「これは……【どこでも安全確認マン】!」
「ヒーローものの題名みたいじゃな……」
「安全は基本です」
「そうじゃの。おぬしのこの感覚、地面の密度や流れだけじゃなく、魔力流とも連動しとる。地脈の影響を読んでおるように見えるのう」
「じ、地脈……? そんな高度なことは……」
「無意識でできておるなら、それはそれで本物じゃ」
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そして最後。
森で訓練中、何度か“咄嗟に”出てしまった反応魔力。
転倒しそうになったとき、魔力で脚を押して跳ねるように飛んだ──
「これは……【ぴょんってするやつ】!」
沈黙。
ばあちゃんが静かに立ち上がり、じいちゃんの方を見る。
じいちゃんはゆっくりと、手元に並べていた小瓶のひとつを取り、俺の前までやってきた。
黙って、それを手渡す。
「え……これ……?」
「……観察の礼だ」
それだけ言うと、じいちゃんはまた無言で縁側に戻っていった。
ばあちゃんが笑う。
「あれはな、褒めとるんじゃよ。あの旦那がわざわざ瓶を渡すのは、“気に入った”証じゃ」
「え……気に入られた!?」
「リヒちゃん、おぬしの“ぴょんってするやつ”はな──無詠唱・瞬間加速。身体の魔力を一点集中させ、即時反応を可能にする……かなり危ない技でもある」
「か、危ない!?」
「じゃが、それを安定して制御できておる。これはな、熟練者でも難しいんじゃ。技の名前はともかく、内容は実に優秀じゃぞい」
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そして、まとめとしてばあちゃんは言った。
「名づけのセンスは……まぁ、奇抜じゃがの。それでも、おぬしが“自分の技”として理解してることが素晴らしい。わかっておる者は強くなる」
「……はい!」
「どれも、十分すぎるほどに熟練の域じゃ。リヒちゃん、ええぞええぞ」
「ふふふ……!」
(ばあちゃん、きっと“褒めて伸ばす”タイプなんだ……)
「このままいけば、将来が楽しみじゃの。のう、旦那」
じいちゃんは黙って頷いた。
瓶の中で、透明な液体がほんのり青く光っていた。
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──このとき俺は知らなかった。
自分でふざけてつけたこの“技名たち”が、後に絵本になって世界に残る黒歴史になることを。
裏庭で名付けた技が、伝説への第一歩だったとは……まだ誰も知らない。
読んでいただきありがとうございます。
本作品は生成AIと協力して執筆しています。
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