第18話:『神の目に映る少年』
3章最終話です。
よろしくお願いします。
森は、静かだった。
いや、“静かすぎる”と形容した方が正確かもしれない。
風が木々を撫でる音。枝のしなり、小動物たちのわずかな足音、空を駆ける鳥の影。
それらがひとつずつ、丁寧に重ねられていくような、穏やかな空間だった。
(……今日も平和じゃの)
森の最奥、誰も近づけぬ深部。
そこにちょこんと座る、一匹の“神獣”がいた。
狸に似たその姿は小さく、ふわふわの尻尾をぱたん、と揺らしながら、岩の上から周囲を見渡していた。
(風はよし。地脈の乱れもなし。魔物の気配も、なし)
安全確認、完了。
神獣にとってこの森は“与えられた役目”であり、棲家であり、何より――
(あの子が、来る場所じゃからな)
守るべき相手ができてからというもの、見回りにもいっそう気合が入るというものである。
◆
――その“あの子”、リヒトはというと。
「ふう……今日も、がんばらないと」
森の中、苔むした岩のそばに正座して、真剣な顔で気配を探っていた。
(昨日より、もう少し精密に魔力を流して……空気の揺らぎも感じて……)
彼にとっては日々の訓練でしかない。だが神獣から見れば、それは“生きた祝福”だった。
(……なんというかのう。ほんに、よぉ育った)
リヒトの魔力は強く、けれど荒くはない。
静かに、穏やかに、まるで“自然の一部”として流れている。
どれだけ強くなっても傲らず、驕らず、己を省みて「まだまだ」と言い続ける少年。
その姿は、神獣の目に、とても美しく、まぶしく映っていた。
◆
思えば最初は、ただの偶然だった。
この森の異変に気づき、遠くから観察していたら――
小さな子どもが、いつの間にか“結界の内側”にすっと入ってきた。
普通の人間では感知できない、森の“祝福の層”を、するりとすり抜けたその姿に、
神獣は思わず、尻尾を丸めたほどだった。
けれど。
その子は、何も知らなかった。
ここが“特別な場所”であることも、自分が“見守られている”ことも。
ただ「訓練場所にいいかも」と思って通ってきているだけだった。
(……神の加護を持たぬ子、か)
最初はそう思った。
けれど、見るたびに確信に変わっていく。
この子は、“選ばれなかった”のではない。
この世界の加護では足りなかったのだと。
◆
ある日、リヒトが倒れたことがあった。
魔力を使いすぎ、ふらふらと座り込んだのだ。
そのとき、神獣は反射的に魔脈を調整し、“癒しの流れ”を一時的に集中させた。
結果、リヒトは「今日は草の調子がいいな」と言って元気に帰っていった。
(……ちょっと過保護すぎるかのう)
そう思いながらも、神獣は毎日、気づかれぬよう魔力の流れを整えていた。
それが今や、“彼が歩いた後には高品質な薬草が生える”という事象につながっている。
駆け出しの冒険者たちがそれを見て「神童」だの「神域の使い」だの騒いでいるが――
(いや、ほんとに神様でもなんでもないんじゃが)
神獣は心の中で、そう苦笑した。
ただの子ども。けれど、誰よりも真っ直ぐで、努力を惜しまず、静かに世界に寄り添っている。
その事実が、たまらなく嬉しいのだ。
◆
リヒトは、今日もまた森の奥でひとつ、覚えたての魔力技術を練習している。
「これで、動物たちに気配がバレないようにできる……かも?」
足元にいたウサギが、ぴくりとも反応せず、もぐもぐと草を食み続けている。
「……おぉ、成功……!」
小さなガッツポーズ。
その光景を見守りながら、神獣はふ、と目を細めた。
(今日も、異常なし)
森も、彼も、すこぶる順調。
あとはただ――
(この平穏が、長く続けばええのう)
静かに目を閉じる。
それは願いであり、決意だった。
どれだけ時が経っても、自分はこの森を、彼を、見守り続けると。
(……私は、ただ守るだけだ)
風が、木々を揺らした。
それはまるで、祝福のささやきのようだった。
4章へつづく。
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本作品は生成AIと協力して執筆しています。
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