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第18話:『神の目に映る少年』

3章最終話です。

よろしくお願いします。


 

 森は、静かだった。


 いや、“静かすぎる”と形容した方が正確かもしれない。


 風が木々を撫でる音。枝のしなり、小動物たちのわずかな足音、空を駆ける鳥の影。


 それらがひとつずつ、丁寧に重ねられていくような、穏やかな空間だった。


 


(……今日も平和じゃの)


 


 森の最奥、誰も近づけぬ深部。


 そこにちょこんと座る、一匹の“神獣”がいた。


 狸に似たその姿は小さく、ふわふわの尻尾をぱたん、と揺らしながら、岩の上から周囲を見渡していた。


 


(風はよし。地脈の乱れもなし。魔物の気配も、なし)


 


 安全確認、完了。


 神獣にとってこの森は“与えられた役目”であり、棲家であり、何より――


 


(あの子が、来る場所じゃからな)


 


 守るべき相手ができてからというもの、見回りにもいっそう気合が入るというものである。


 



 


 ――その“あの子”、リヒトはというと。


 


「ふう……今日も、がんばらないと」


 


 森の中、苔むした岩のそばに正座して、真剣な顔で気配を探っていた。


 


(昨日より、もう少し精密に魔力を流して……空気の揺らぎも感じて……)


 


 彼にとっては日々の訓練でしかない。だが神獣から見れば、それは“生きた祝福”だった。


 


(……なんというかのう。ほんに、よぉ育った)


 


 リヒトの魔力は強く、けれど荒くはない。


 静かに、穏やかに、まるで“自然の一部”として流れている。


 


 どれだけ強くなっても傲らず、驕らず、己を省みて「まだまだ」と言い続ける少年。


 


 その姿は、神獣の目に、とても美しく、まぶしく映っていた。


 



 


 思えば最初は、ただの偶然だった。


 


 この森の異変に気づき、遠くから観察していたら――


 小さな子どもが、いつの間にか“結界の内側”にすっと入ってきた。


 


 普通の人間では感知できない、森の“祝福の層”を、するりとすり抜けたその姿に、


 神獣は思わず、尻尾を丸めたほどだった。


 


 けれど。


 


 その子は、何も知らなかった。


 ここが“特別な場所”であることも、自分が“見守られている”ことも。


 ただ「訓練場所にいいかも」と思って通ってきているだけだった。


 


(……神の加護を持たぬ子、か)


 


 最初はそう思った。


 けれど、見るたびに確信に変わっていく。


 


 この子は、“選ばれなかった”のではない。


 この世界の加護では足りなかったのだと。


 



 


 ある日、リヒトが倒れたことがあった。


 魔力を使いすぎ、ふらふらと座り込んだのだ。


 


 そのとき、神獣は反射的に魔脈を調整し、“癒しの流れ”を一時的に集中させた。


 結果、リヒトは「今日は草の調子がいいな」と言って元気に帰っていった。


 


(……ちょっと過保護すぎるかのう)


 


 そう思いながらも、神獣は毎日、気づかれぬよう魔力の流れを整えていた。


 


 それが今や、“彼が歩いた後には高品質な薬草が生える”という事象につながっている。


 


 駆け出しの冒険者たちがそれを見て「神童」だの「神域の使い」だの騒いでいるが――


 


(いや、ほんとに神様でもなんでもないんじゃが)


 


 神獣は心の中で、そう苦笑した。


 


 ただの子ども。けれど、誰よりも真っ直ぐで、努力を惜しまず、静かに世界に寄り添っている。


 


 その事実が、たまらなく嬉しいのだ。


 



 


 リヒトは、今日もまた森の奥でひとつ、覚えたての魔力技術を練習している。


 


「これで、動物たちに気配がバレないようにできる……かも?」


 


 足元にいたウサギが、ぴくりとも反応せず、もぐもぐと草を食み続けている。


 


「……おぉ、成功……!」


 


 小さなガッツポーズ。


 その光景を見守りながら、神獣はふ、と目を細めた。


 


(今日も、異常なし)


 


 森も、彼も、すこぶる順調。


 


 あとはただ――


 


(この平穏が、長く続けばええのう)


 


 静かに目を閉じる。


 それは願いであり、決意だった。


 


 どれだけ時が経っても、自分はこの森を、彼を、見守り続けると。


 


(……私は、ただ守るだけだ)


 


 風が、木々を揺らした。


 それはまるで、祝福のささやきのようだった。



4章へつづく。

読んでいただきありがとうございます。

本作品は生成AIと協力して執筆しています。


コメントくださぁぁぁぁぁい orz

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― 新着の感想 ―
第17話が無いような… 楽しく読ませてもらっています。
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