第11話:『ただの草取りが“神聖な儀式”に見えた件』
「…………なあ、今の見たか?」
「……見た。俺の目がおかしくなけりゃ……あの子、草に“話しかけてた”ぞ……」
「なんか、“許可”を得てる感じだったよな……草に……」
──森のはじっこ、ちょうど見通しのいい岩場の影。
駆け出し冒険者のハク、ハツ、チャンの三人は、今日も薬草採取に励む予定だった。
予定だったのだが、彼らの目の前に現れたのは……
「ちっさ! ちょ……ちっさ!!」
「おい、赤ん坊だぞ!?」
「いやいやいや、赤ん坊が森にひとり!? 誰かの……使い魔か何か!?」
見た目は三歳ほど。ちんまりした背丈、ふわふわの金髪。ひょこひょこ歩きながら、手には小さな袋。
しかし、その行動が──常軌を逸していた。
「……ほら、また草の前で立ち止まった……」
「まただよ……首かしげて……手を添えて……」
「うわ……抜かなかった! 見送った!? 草を!? なにその判断基準!?」
草に触れ、そっと手を添え、抜く──かと思えば、そのままやめて別の草へ向かう。
「選別……してる……のか?」
「いや、ちょっと待て。選ぶスピード、早すぎるって。あれ、訓練された草摘み師の動きだぞ……!」
「え、あの歳で!? “見極め”してるってこと!? 草の成長度合いを!?!?」
──全員の脳がショートしかけていた。
やがて、リヒトがひとつの草を慎重に引き抜いた。
その瞬間──
「……ふおっ!? な、なんか空気変わったぞ!?」
「風が……いや、いやいや、今のは気のせいか!? でもなんかスゥッと抜けた感あったよな!?」
「ま、まさか……今の草、“抜かれるのを受け入れた”とかじゃ……」
ビビりすぎて口元が震えているチャン。
そして次の瞬間──
リヒトが草を袋に入れた後、地面にしゃがんで、ぽんぽんと草の根本を軽く叩いた。
「っっ……!?!?」
「……感謝してる!?!? 草に!?!?」
「ま、待て、俺もうダメかも……知能が追いつかない……!!」
もはや三人は限界だった。
「え、なに? 今のって……“自然との調和”とかそういうやつ?」
「これが……“儀式”……?」
「ていうか、ちょっと周囲の葉っぱ揺れてない!? “森が答えてる”のか!? 今の、応答じゃない!?」
勝手に神聖なやりとりが成立していた。
──そして、リヒトが歩き始める。
その足取りは軽やか。
道に落ちた石を避け、足元の草を踏まぬように進む様子は──
「……誘導されてる……」
「“森の流れ”を読んでる……!」
「絶対、あれ……“地の精”とかに見えてるやつだよ……!!」
三人組の瞳は、敬意と畏怖で潤んでいた。
◆ ◆ ◆
「よし、俺、今日から草に感謝して摘むようにする」
「お、おう……うん……俺も、もうむやみに抜かない……精霊が見てるかもしれんし……」
「なんか、世界観変わった……」
誰にともなくつぶやきながら、三人はしばし沈黙。
その間にもリヒトは森の外へとすたすた歩いて行き──
最後に、森へ一礼してから帰っていった。
「…………尊い」
「……神童っていうか……なんかもう……神の子じゃね?」
「うちら、目撃しちゃいけないもん見たんじゃ……」
◆ ◆ ◆
──その日の午後。
「こんにちはー! リヒトが採ったやつ、持ってきたよー!」
「弟ががんばったから、いっぱい入ってるよっ♪」
元気な声と共に、少年少女が袋を届けに来た。
ギルドの職員は最初、いつも通りに対応していたのだが──
袋の中身を見た瞬間、空気が変わる。
「……え?」
「なにこれ……全部、発光してる……」
鑑定紙が、ビリビリと光を放ち、計測器が針を振り切る。
「魔力……濃すぎる!? これ、危険じゃないの!? いや違う、これは……癒し……!?」
「完全に浄化された薬草!? 何この純度!!」
「ちょっと待って! これ、誰が採ったって!?」
兄姉がニコニコ笑顔で答える。
「うちの弟だよー! 三歳!」
「最近、草いじりにハマっててねぇ〜」
「うそでしょ!?!?!?!?」
職員たちの脳に、衝撃が走る。
静かに手元の納品メモが目に入る。
そこには、ひらがなで丸っこく書かれていた。
『りひとくんが あそびで とりました☆』
──職員たちは、黙って天を仰いだ。
◆ ◆ ◆
その騒ぎの向こう。
ギルド奥の通路から、ゆっくりと現れるひとりの老婆。
銀髪に杖、穏やかな笑みをたたえたギルドマスターが、静かに袋へと近づいた。
「……見事な薬草だねぇ」
ひとつ手に取り、掌で軽く撫でる。
魔力が、すっと指先へと馴染んだ。
「これが……“遊び”の成果、だなんてね」
「さすが、バカ弟子の子……ってわけかい?」
誰にも聞こえぬ声でそう呟き、彼女はくるりと背を向ける。
「さて。次は、“あの子”に会う段取りをつけなきゃいけないねぇ……」
老婆の背中が、静かに、だが確かに“動き出す者のそれ”へと変わっていく──
(※第12話『納品開始、神域品質!?』へつづく)
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