第8話 『魔力の調子が良すぎる』
――これは訓練。
魔力の流れを感じ取り、整え、身体の内外に練り上げて放出する練習。
今日も俺は森の中、慎重すぎるくらいに気配を消して、呼吸を整えていた。
(ふう……よし。いつも通り、準備万端……いくぞ)
地味に訓練歴が二年以上の三歳児。
集中力と警戒心の鬼。ビビり界の英雄。そんな俺が、今まさに魔力制御の練習を始めようとしている。
――ところが。
(……あれ?)
スゥゥ……と流れる魔力。
(すっごくスムーズ……!?)
今までの“詰まり”がない。
まるで、身体の中の血管や経絡が拡張されたように、気持ちよく巡る。
(す、すごい……っ! まさかこれが……覚醒!?)
ビビりながらも感動していたそのとき――
「ぴぎゃっ!?」
調子に乗って放った魔力が、すぐ横の地面をボコンッと軽く盛り上げた。
(うわっ!? え!? ご、ごめんなさい!? なんか出た!?)
誤作動。魔力制御ミス。
でも、よく見たら地面がふわっと盛れただけ。
小さなキノコの群れが気まずそうに揺れている。
「……よし、大丈夫。誰にも見られてない。恥ずかしくない。大丈夫。俺は冷静だ……」
完全に独り言を漏らしながら、魔力の再調整を始める。
(今日の俺、なんかすごいぞ。昨日より精度が段違いだ。いや、これが“成長”というやつか……!)
ニヤリとしながら、木の陰でひとりフルフル震える三歳児。
怖がってるのに自信はある。矛盾の塊である。
――その頭上。
木の枝の上、ちょこんと座った狸型の神獣が、またもや満足げに頷いた。
リヒトの魔力経路を、少しずつ調整し続けている。
この森にいる限り、彼の修行は、常に“ブースト状態”だった。
(……でも俺は、努力したから! 努力の結果だから!)
思春期の部活男子のように、自分に言い聞かせている。
(それにしても……こんなに制御しやすいってことは、いよいよ俺も“使えるレベル”に近づいてきたんじゃ……!?)
ふふ……と笑みがこぼれる。
(魔力感知、魔力放出、基礎操作、流体化、局所集中……そしていずれは――火とか水とかの魔法も……!)
目を輝かせた。
だが――
「ぶぉん」
思いっきり集中した結果、背後の木が“ぶるんっ”と震えた。
放出された魔力が一瞬だけ広がり、木の葉が舞い散る。
リヒト、硬直。
(あっ……やった……俺、なんかやっちゃった!?)
直後、木の陰に隠れてぺたんと座り込み、全力で自己隠蔽。
(……落ち着け。これは、風だ。ただの風のいたずらだ)
自分のせいだけど、自分じゃないことにする。
子供にしては優秀な現実逃避能力である。
「よし……この調子なら、次は“魔力の形状変化”もいけるかも……!」
と、鼻息荒く立ち上がろうとした瞬間――
「……しっずかだなぁ……」
ぽつりとつぶやいた。
そう、静かすぎたのだ。
(あれ? 今日もしかして、ずっと静か……? 風もないし、虫の音も聞こえないし……)
ようやく気づく。
そして恐怖が倍増する。
(あっ、そうか……今日調子いいのって、“なんか変なモノが近くにいない”せいじゃ……!?)
ガタガタ震え始める。
(もしかして、俺を狙ってる何かが……近くに……潜んで……!?)
ただの絶好調を、ホラー的状況と誤解する天才、ここに誕生。
◆
そのころ、神獣は背後の木の上で、
しっぽを揺らしながら――ほんのり笑っていた。
この森の気配を抑え、魔物を遠ざけ、魔力の流れを調え、
そして今日も、リヒトの魔力制御を支援している。
……だが、その支援に気づかぬ本人は、完全にホラー状態。
(ぜったい……なんかいる! 俺の気づかないところで、すっごいやつがこっち見てるんだ……!)
その読みは、案外正解だった。
だが、リヒトは“守られてる”とは思わず、
“狙われてる”と本気で思い込んでいた。
◆
(もう今日は撤収しよう……! 一回撤退して、魔力の流れを記録して、次に備えよう……!)
震える足で立ち上がりながら、リヒトは今日の“調子の良さ”を「偶然の神引き」と認識した。
――偶然ではない。神獣である。
だが、そんなこと知る由もない。
ビビりながら、でも前に進むリヒトは、今日もまた一歩――
誤解の階段を、黙々と登っていくのだった。
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