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第4話 『家族の視線がやさしい(こわい)』


 ――無事、生きて帰ってきた。


 いや、体は無傷。魔力も残ってる。気絶もしてない。

 でも、心はズタズタだ。


(つかれたぁぁぁぁ……!!)


 初めての村デビュー。

 慎重に、静かに、波風を立てないように。それだけを心がけたはずだったのに……


 なぜか回復魔法っぽいことになって、

 握手したら魔力バリアが発動して、

 村長には加護を受けた子とか言われて――


(俺はただ、慎重にやってただけなのにッ!!)


 父上の馬車に揺られながら、俺はひたすら反省会をしていた。

 「次からは手袋をつけて握手しよう」「村人に近づかない距離感を確保しよう」「そもそも息を潜めて木の陰から視察したい」など、反省と改善の嵐である。


「……リヒト、疲れたか?」


 隣に座る父が優しく声をかける。


「……うん……がんばった……」


「ふふ、よくやったな。お前が村でどう過ごしたか、皆にも話してやるといい」


(……それが怖いんですけど!?)



 男爵家に帰り着くと、門の前に待ち構えるように家族が並んでいた。


「リヒちゃん! おかえりなさ〜いっ♪」

「おぉ〜今日のヒーローご帰還って感じじゃん」

「泡吹いてなかったよね!? 成長じゃん、すごいねぇ」

「村の水道、吹っ飛んでたりしないよな? 神殿建ってない?」


(あ、いつもの感じだ……よかった……)


 と、思ったのは一瞬だけだった。


 彼らの瞳が、妙にキラキラしている。


 それはまるで、何かを“全部見てきた人たち”の目だ。


(えっ……? なんか……やさしさの質が、濃くなってる……?)


 母上が抱きしめてくる。姉上が頭をくしゃくしゃ撫でる。

 兄上たちは無言でうなずいて、俺を見つめている。


 その視線が……やさしくて、あたたかくて……でも。


(こわい!!!)


 何かを察している。いや、確信してる。

 そんな目だった。


「ねぇリヒちゃん、魔法のコントロール、また上手くなったでしょ〜?」

「さすが俺の弟。魔力の扱い、マジで天才レベルだよね〜」

「おまえ、次どんな奇跡を起こすんだ?」


(ちがう! 奇跡なんか起こしてないっ!!!)


 俺はただ、慎重に準備して、誤魔化して、生き延びただけ。

 でもその努力は、どうやら“神童リヒト”というキャラに書き換えられつつあるらしい。


(このままだと、伝説がどんどん増える……!)



 その夜。俺は布団の中で震えていた。


(次に村に行くときは、完全防御体勢だ。魔力全封印、顔も半分マントで隠そう。あと握手対策グローブも必要……)


 反省と警戒だけで一日を終えそうになっている三歳児。

 そんな俺を、誰が想像できるだろうか。


 ただでさえ過敏な性格なのに、誤解という誤解を積み上げられて――


(もういっそ、明日は森の奥で一人で薬草でも採ってたほうが安全じゃないか……)


 そう思ったのは、あながち間違いでもなかった。



 その夜、邸のずっと遠く――森の小高い丘の上。


 ふわふわとした小さな影が、静かに空を見上げていた。


 丸い体。もふもふの尻尾。

 くりっとした瞳が光を映し、優しく揺れている。


 それは、小さな狸型の神獣。


 森に住む者すら気づかない、神域の守り手。


 その小さな存在は、ぽてん、と座って、遠くの男爵邸を見つめていた。

 月の光に照らされながら、にこりと微笑んで――


 静かに、すぅ……っと、姿を森の奥へと消していった。


 まるで、「明日も見に行こう」とでも言うように。




読んでいただきありがとうございます。

本作品は生成AIと協力して執筆しています。


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