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第2話 『倒れてた村人を助けたら、“癒しの加護”とか言われた件』


「では、畑のほうも見ていきましょうか」


 父上と村長が歩き出し、俺は少し遅れてその後ろをちょこちょこついていく。

 村の空気は穏やかで、鳥のさえずりと草の香りが心地いい。


(緊張してたけど……なんとか、ここまでは無事……)


 俺が慎重すぎるだけで、村の人たちはみんな優しそうだ。

 けれど、ここで油断したら何かが起こる。絶対に。


(気を抜くな、リヒト……油断した瞬間、何かが燃えるかもしれない……!)


 そんな不穏な自己暗示をしていた時だった。


「……ん、今、声が……?」


 聞き間違いかと思ったが、すぐにまた――


「……うう、……う……」


(うめき声!?)


 咄嗟に音の方へ目を向ける。

 畑の一角、木の陰にうずくまっている人影が見えた。


「……大丈夫ですか!?」


 無意識に駆け寄り、しゃがみ込む。


 見れば、そこにいたのは中年の村人だった。汗だくで、顔が真っ赤。息も浅い。

 うつ伏せ気味で、意識はあるが虚ろ。


(これは……脱水? 熱中症の軽度? とにかく体位変換、気道確保……!)


 幼児の小さな体で、できる範囲で処置する。

 声かけ、肩への軽い刺激、回復体位へと身体を横向きに。


 そのときだった。


「うわっ!? 光……!?」


 周囲から驚きの声が上がる。

 見れば、俺の手元から微かに魔力の揺らぎが漏れていた。


(うそっ……!? 魔力制御……緩んでた!?)


 緊張と反射行動で、意識が別方向に行っていたのかもしれない。

 だが、魔力の揺れは村人たちの目には“ただの揺れ”では映らなかった。


「坊ちゃんの手が……輝いてる……!」

「今、空気がふわっと……癒しの風みたいな……!」


 俺が軽く肩をたたいたその瞬間、村人の顔色が少し戻ったのを見て、ざわつきは一気に加速する。


「まさか、回復魔法……? 加護を……?」

「まだ三歳だぞ……!? そんな馬鹿な……!」

「いや、あれは神様の祝福を受けた子にしかできない奇跡……!」


(ま、待って!? 俺、魔法使ったつもりゼロなんですけど!?)


 軽くパニックになる俺をよそに、村人のひとりが走り出した。


「旦那様! リヒト坊ちゃんが、村人を助けて……!」

「奇跡のような光景でしたぞ!」


 父上と村長が慌ててやってくる。

 そして、回復しつつある村人の姿を見て、父上が小さく目を見開いた。


「リヒト……これは、お前が?」


「……う、うん(うん……というか、いつの間にかそうなってた……)」


 俺が頷くと、父はゆっくり息を吐き、優しく肩に手を置いた。


「よく気づいたな。よく動いた。……お前の判断で、命が助かることもある」


(あ、あぶないあぶない……! 怒られるかと思った……!)


 父上の評価が甘いのは、俺が三歳だからだ。

 下手したら、魔力制御の緩みによる“暴発”扱いになってもおかしくない。


 しかし、それすらも――


「恐ろしいほど自然な魔力の流れでしたぞ……」

「いや、あの落ち着き。絶対に素質がある……!」

「“癒しの加護”を持つ子がこの村にいたとは……」


 村人の評価は、なぜか神秘ルートへ進んでいた。


 やめてぇぇぇぇ!!!!



「今日はよく頑張ったな、リヒト」


 父上が微笑む。

 でも、俺は全然穏やかじゃない。


(癒しの加護……とか言われちゃった……! どうしてこうなるの!?)


 魔力が勝手に出ただけ。

 冷静に処置したわけでも、癒しの風を起こしたわけでもない。


 それでも、周囲は完全に**“そう見えた”**のだ。


(俺はただ、倒れてた人を見て咄嗟に動いただけなのに……!)


 何度目かわからない誤解の積み重ね。

 今日もまた、静かに一歩、階段を登ってしまった。


 そんな俺に、村長がゆっくりと近づいてきた。


「リヒト坊ちゃん……感謝いたします。どうか、私と握手を……」


(えっ、握手!?)


 ――嫌な予感しかしない。


 俺の直感が、再び“赤信号”を鳴らしていた。



次回▶ 第3話『村長の握手はじゃない』へ続く!

無自覚の魔力バリアが炸裂、さらなる誤解が村中に波及していく!


読んでいただきありがとうございます。

本作品は生成AIと協力して執筆しています。


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