第17話 『神の視座から見た、とある“選ばれなかった少年”について』
この世界には、“観測する者たち”がいる。
創造の神々、運命を管理する上位存在、記録を守る監視者たち。
彼らは通常、人間界の細かな営みに関与しない。
だが──時に、例外は存在する。
「……まただ」
虚空の中央、黄金の水面に近い場所。
天球の会議場とでも呼ぶべきその空間で、上位存在たちが集まっていた。
白金の衣を纏う者が、一枚の記録を差し出す。
「神獣が、予定より500年早く目覚めた。しかも……封印ごと浄化されている」
「……干渉されたか?」
「いや、記録によれば、“ただの応急処置”だったそうだ」
ざわつく場内。
もう一枚、光の映像が浮かび上がる。
そこには、森を進む小さな子どもの姿。
時折、足場を確かめ、魔力を流し、泡を吐いている。
金髪に藍の瞳。
幼すぎるその姿が、神獣と接触し、封印を解除し、
さらに“海の聖域”までも目覚めさせた張本人だと──誰が想像するだろうか。
「……転生者か?」
「そう。元・人間。異界より送られし魂。だが……“選ばれなかった者”だ」
再びざわつく。
この世界では、時に“加護”を持つ者が転生してくる。
勇者、聖女、魔王候補──そうした者には、通常、女神の祝福が与えられる。
だがこの少年は、そのすべてを拒否していた。
「怖いから、いらないです」
そう言い残し、神界の勧誘を蹴って異世界へ降りた、極めて稀な存在。
「……ただのビビりだと思っていたが……」
「それがこの結果だ。魔力操作、気配遮断、地脈調律……どれも“訓練で”到達している」
「才能か? 運か? 加護なき者が、神域の扉を開くなど──ありえん」
──静寂。
その場の神々が、一人の少年を映し出す映像に目を凝らす。
彼は今日も、何かをチェックしていた。
葉の揺れを見て、足元の石を動かし、空気を感じ取りながら魔力を調整する。
そして、ただ泡を吹く。
それだけの“行動”。
だが、神々にはわかる。
そこには“必然性”がなく、“意図”も見えない。
──ただ、偶然が奇跡を連鎖させている。
「干渉は……?」
「していない。いまだ、完全な自力成長」
「だとすれば──この魂、そのものが“異常”だということか」
一人の神が、ぽつりと呟く。
「彼は、魂そのものに“世界修復機構”が組み込まれているようだ」
「特典は拒否しても、“構造”が……すでに」
「……それは、誰が?」
沈黙。
神々は視線を交わすが、誰一人、名乗り出る者はいない。
(まさか……)
ある者の胸に、かすかに過った一つの仮説。
かつて、神界から追放された“異端の創造者”が、
その最後の置き土産として“希望の魂”を仕込んだという伝説。
だが、その証拠はない。あるのは、結果だけ。
──少年リヒトは、ただ“備えている”。
魔力の訓練、足場の確認、気配の遮断。
すべては“ビビり”ゆえの準備行動。
だがそれが、“奇跡の発動条件”と一致していた。
「……放っておけば、いずれ世界構造に手を伸ばすかもしれんな」
「ならば、監視を強化すべきか?」
「否。逆効果だ。干渉すれば、動きが変質する恐れがある」
やがて、最年長格の神が言った。
「“選ばれなかった者”が、歴史を変えることもある」
「我々は、ただ見守ろう」
***
一方その頃、リヒトはというと──
「泡が……泡が止まらない……」
「……今日のルート、石多すぎ。風も読めない。潮の流れも不安定」
「も、もう帰る……!」
そう言って、全力で森の中へ逃げ帰っていた。
神の意志も、世界の祝福も、本人には一切届いていない。
だが、その背中を確かに風が撫でた。
森の空気が、ひとつ整った。
──ビビりの備えが、世界を救っていく。
そのことを、まだ彼は知らない。
ここまで第2章を読んでいただき、ありがとうございました!
慎重すぎる少年・リヒトが、備えてるだけなのに神獣や神域まで巻き込んでしまう──
そんな“ビビり全開×誤解全振り”の展開を、ChatGPTと協力しながら執筆しています。
次回、第3章ではついに“外の世界”との接触が始まります。
今後のリヒトの成長(と誤解)も、どうぞお楽しみに!
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