14話(改稿版):『森の奥の“光る罠”』
森の奥は、さっきから妙に静かだ。
「……おかしい。今日はなんか森が怖い……」
俺は三歳児の短い足で、慎重すぎるほど慎重に一歩ずつ進んでいた。
魔力を足先に集中し、できるだけ音を立てないように。
心臓はバクバク、背中は冷や汗まみれ。
(絶対なんか出るやつだ……この静けさ、ホラー映画の前兆だろ……!)
息を殺して進む。
その時、木の根元あたりで淡い光が揺れているのが見えた。
(ん……?なにあれ……)
光る糸のようなものが、草むらの奥で絡まっている。
なんだか嫌な気配がする。
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◆ 屋敷・観察席(遠見水晶)
「ねぇねぇ、リヒトがなんか光るとこ見つけたよ?」
姉エミリアが水晶を覗きながら声を上げる。
「光る?あいつ、まさか魔物の巣でも見つけたのか?」
次兄カイルが半分ワクワク半分心配そうに眉を上げる。
「爆発物だったらどうしよう……」
母セリーヌは心配そうにお菓子をつまむ。
しかし父レオンハルトはお茶を飲みながら笑っていた。
「まぁ、あの子は準備だけは万端だからな。なんとかするだろう」
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俺はそろそろと近づいた。
光の網の中に、小さな狸みたいな生き物が見える。
ぐったりして動かない。
(え、罠……?まさか森の密猟者……!?いやいや、この世界そんな治安悪い?)
息が浅い気がする。
このままじゃ危ない。
「……俺しかいないじゃん……」
怖さよりも、助けなきゃって気持ちの方が強くなる。
でも手が震える。
三歳児の俺に、何ができる?
それでも、震える指先で光の糸に触れた。
──パチン。
光が弾け、消えた。
「わああああああああっ!?」
思わず尻もちをついた。
爆発はしなかった。代わりに狸が地面にごとん、と落ちる。
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◆ 屋敷・観察席
「ちょっと待って、今リヒト罠解除したよね?」
カイルが水晶を二度見する。
「三歳で罠解除職!?僕そんな早く覚えてなかったけど!?」
長兄アルヴィンが目を見開く。
「すごいわリヒちゃん……!天才だわ……!」
母は目を輝かせる。
「いや待て、アレ罠じゃなくないか?」
父が苦笑する。
「でもすごいよね!あんな光の絡まり初めて見たよ?」
姉はきらきらした目で水晶を見続けていた。
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俺は慌てて狸を抱き上げた。
軽い。体が冷たい。呼吸がすごく弱い。
「う、動かない……!?」
心臓が締め付けられる。
(やばいやばいやばい……これ、死んじゃう……!)
怖い。でも、やらなきゃ。
前世の記憶が頭の奥で蘇る。
崩れたビルの下、泣き叫ぶ声。必死で助けたあの時の感覚。
(助ける……俺がやるしかない……!)
地面に膝をつき、狸を横向きに寝かせる。
気道確保。呼吸確認。
「大丈夫……大丈夫だから……!」
震える声で必死に言葉をかける。
でも、心臓は破裂しそうだ。
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◆ 屋敷・観察席
「……おい、これ、なんかすごい場面じゃないか?」
カイルが息をのむ。
「治癒魔法?いや、あの手の動き……応急処置?」
アルヴィンが眉をひそめる。
「リヒちゃんって、もしかして……もう医療魔法まで使えるの?」
母が目をうるうるさせる。
「いや、あれ俺も知らん手技だぞ……」
父が真顔で呟く。
「やっぱり天才だ……」
姉は確信したように頷いていた。
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俺は両手に魔力を込める。
温かく、優しく、毒を追い出すイメージ。
(頼む……生きてくれ……!)
小さな光が溢れ、狸の体から黒いもやが抜けていく。
かすかに呼吸が強くなった。
「……っ……!」
胸が熱くなる。涙がにじむ。
「もうちょっと……頑張れ……!」
力が抜ける。頭がクラクラする。
でも手は離せない。
(絶対助ける……!)
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小さな体がぴくっと震えた。
弱々しいけど、確かに息を吸い込む音が聞こえた。
「……よかった……!」
涙がぽろぽろと落ちた。
安心した瞬間、全身の力が抜けて座り込む。
狸が小さな目を開け、俺を見た。
「もう大丈夫だからな……多分……」
震える声でそう言って、笑った。
狸はふらふらと立ち上がり、森の奥へと消えていった。
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◆ 屋敷・観察席
「……今の見たか?」
カイルが呆然と呟く。
「三歳で……罠解除からの応急処置……そして治癒魔法……?」
アルヴィンが頭を抱える。
「リヒちゃんって……もう聖職者の域じゃない?」
母が真剣な顔をする。
「いや、あれはもう……神の御業……」
父はお茶を飲みながらぽつりと言った。
姉はきらきらした目で言い切った。
「リヒちゃん、絶対神様に選ばれてる!」
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俺は森の風が少しやわらいだのを感じながら、帰り道を歩いた。
(……怖かった……でも助かってよかった……)
この時、俺は知らなかった。
あの狸がただの動物じゃないことを。
そして、この日からずっと、俺を見守る存在になることを。
読んでいただきありがとうございます。
本作品は生成AIと協力して執筆しています。
後で話が合わなくなったので改稿しています。




