第2話:魔力って、体力使いすぎじゃない?気絶ギリギリ訓練日誌
魔力は、危ない。下手をすれば命に関わる。
けれど、この世界で生きていくには、その危険と向き合わなきゃいけない。
(つまり、扱いを誤れば爆弾。だが、制御できれば消火器)
魔力訓練を“防災訓練”と割り切ることで、ようやく気持ちの整理がついてきた。
俺の目標は、あくまで「目立たず生きること」だ。そのためには──
(いざというとき“自分だけ”守れる力が必要なんだ)
◇
というわけで俺は、魔力の感知と流動を「赤ちゃんっぽくないタイミング」でやっている。
たとえば、深夜の授乳直後とか、昼寝と見せかけた午後の訓練とか。
今日も訓練タイムだ。
(よし、まずは昨日と同じように……魔力を“そっと”流す。慎重に、慎重に)
すーっ……。
おお、成功。ちゃんと流れた。量も昨日より自然。
どうやら俺の魔力は、気持ちを落ち着けてる時のほうが反応が良いらしい。
(よし……次は、“一周させる”イメージ……)
魔力を、心臓から始めて、腹→胸→肩→腕→手→指へと、ゆるやかに巡らせて──
(あっぶね!? 指先で逆流しかけた!)
慌てて呼吸を整え直す。
魔力が変に引っかかると、体が痺れたようになる。前回はそのまま気絶した。今回もギリギリだ。
(はーっ……危なかった。これ、思った以上に……燃費悪くない?)
◇
結論:魔力訓練、めちゃくちゃ体力を使う。
なにせ赤ちゃんの体は、そもそも体力がない。
ハイハイすらしない状態で魔力を巡らせるとか、控えめに言って「やってはいけないこと」だ。
(なのに……)
「リヒちゃんはよく寝るね〜♡」「また寝てる〜、天使か〜」
周囲は「健康優良児」扱い。むしろ“育てやすい”認定までされている。
(ちがう。俺、毎日全力で魔力トレーニングして気絶してるだけなんだって……)
でも誤解されたままの方が都合がいい。
むしろ“赤ちゃんらしい赤ちゃん”を演出するために、訓練前にはしっかり泣くことにしている。
「ふぇぇ……」
「お? リヒちゃん、泣いてる〜、どうしたの〜?」
(泣き声→抱っこ→ミルク→訓練→気絶。完璧なルーチン)
この“赤ちゃん業務”の中に魔力訓練を挟み込む。
まさに“誰にもバレないスケジュール構築型成長戦略”だ。
◇
今日の訓練では、新しい気づきがあった。
魔力の流れには「パターン」がある。
まっすぐ進もうとする流れと、渦を巻くように回転する流れ。両方が混ざっている。
(たぶん、“属性”ってやつがあるんだろうな)
まだ判断はできない。けど感覚的に、熱っぽい流れと冷たい流れがあった。
ただ、俺はまだ1歳にもなってない。焦る必要はない。
(まずは、“巡らせる”ことを安定させよう。話はそれからだ)
それが俺の方針だ。焦らない。無理しない。死なない。
目指すは、安全第一での成長。あくまで“防災意識”がすべての根底にある。
◇
そんなある日のこと。
昼寝タイム訓練中、母さんがふと俺を見つめてつぶやいた。
「リヒちゃん……最近、寝てるとき変な顔してるのよね〜。夢でも見てるのかしら?」
(ヒィッ!?)
やばい。ばれかけた。夢で誤魔化された。危なかった。
「ふにゃ〜……」
「きゃ〜! リヒちゃんの寝言かわいい〜♡」
(よし、ごまかせた)
こうして、今日も俺の訓練は続いていく。
誰にも気づかれず、誰にも期待されず。
ただひたすら、生き残るために備えるだけ。
(いいぞ、俺。バレずに着実に成長してる。……って、また気絶しそう)
ふわぁ……視界がぐにゃりと歪んでいく。
(魔力って、ほんと体力使いすぎだろ……)
──世界一ビビりな赤ちゃんの成長は、
今日も気絶寸前の修行で少しだけ進んだのであった。
読んでいただきありがとうございました。
こうなったら面白いとかこんな人を登場させてみてとかなんでもいいのでコメントと評価お願いします。
なお本作品は生成AIと協力して執筆しています。