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第12話 『くしゃみを我慢したら、風の精霊に選ばれたと誤解された件』


森の風が強い日だった。


木々がざわめき、乾いた葉がバサバサと舞い、地面の土ぼこりが空気に混ざってくる。

ときおり吹く突風に、頬をピシッと打たれて思わず身をすくめた。


(うわっ……今日は風がキツいな……)


風そのものよりも、俺を襲ってきたのは──


(……むずむずする……)


鼻への猛烈な刺激だった。

そう、これは──くしゃみの前兆!!


(やばい! やばいぞこれ!!)


くしゃみ、それは危険。

音で魔物に気づかれるし、魔力操作の最中に発動したら暴発もあり得る。


(落ち着け……俺は準備型の男だ……備えが命を守る……!)


そう思い、俺は咄嗟にポケットに手を伸ばした。


(こういう時のために……俺は昨日の教訓を生かして……!)


が、そこには──


「…………ッ!?」


……なにもなかった。


(ああああああああっっっっ!!!!)


(また、ハンカチ忘れたぁぁあああああああ!!!!!!)


3歳児の顔に絶望が浮かんだ。


(なぜだ……なぜ俺は……命より大切なハンカチを……連続で忘れるんだ……!)


まさかの2日連続。準備魔を自称する者としての最大級の屈辱である。


(でも……今は動揺してる場合じゃない!)


俺は鼻を両手で覆い、咄嗟に魔力で鼻腔を圧迫。

鼻腔抑制術──なんて名前はついてないが、要はくしゃみを止めるための“魔力鼻押さえ”だ。


(頼む……今だけは、成功してくれ……!)


息を止め、魔力を集中──

そして……!


スンッ……と引っ込んだ。


(止まった……勝った……俺は……勝ったぞ……!)


鼻との闘いに勝利した瞬間だった。


 


──だが、その瞬間の俺の姿を“遠見水晶”で見ていた家族は、またも別の方向に大勝利を確信していた。


 


***


──領主邸・水晶ルーム。


「リヒちゃんの周囲だけ……風が止まった!?」


姉が絶叫する。


「くしゃみしそうだったのに、風の流れが静まって……」


「しかもあの手の当て方……精霊と会話してた……?」


「これはもう……」


「“風の精霊に選ばれた”としか考えられないッ!!」


長兄「地脈、炎、そして風……次は水か……?」


次兄「いや待って、もうツッコミ追いつかない……」


父「風を制する者は、世界の流れをも制す……」


母「やっぱり天使だったのね〜♡」


 


***


一方その頃、森の中では──


「ふぅ……なんとかなった……」


俺は鼻をスンスンさせながら、魔力を少しずつ元に戻した。


(それにしても……)


(なぜ俺は……ハンカチだけ……何度も忘れるんだ……!?)


森の冷気を感じながら、心の中は別の意味で震えていた。


(ハンカチ魔法……作れないかな……?)


(いや、絶対また誤解される未来しか見えない……!)


 


***


訓練後の帰宅。


「リヒト、今日もよくがんばったな」


父がにっこりと迎えてくれる──が。


「風の精霊が力を貸してくれたようだな」


「……は?」


姉「くしゃみ、止めてたでしょ? 風が優しくなって……」


長兄「間違いない。選ばれたよ、風に」


次兄「なあ、本人の意思とかって関係あるの? 加護って」


「いやいやいや! 違うから! 鼻、抑えてただけだから!」


「またハンカチ忘れたのに!? むしろよく乗り切ったよね〜♡」

母がなぜか褒めてくる。


(なんかもう……褒められてるんだけど、涙が出そうだ……)


 


こうして、“くしゃみを止めた”というただの自己管理は──

“風の精霊との邂逅”として家族内で神話化されることとなった。


(お願い……誰か、俺に……ハンカチをください……)



読んでいただきありがとうございます。

本作品は生成AIと協力して執筆しています。


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