第7話 『傷を見て焦ったら、回復魔法が出た件』
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朝。森の入口。今日もひとり。
俺は静かに息を吐いた。
(よし、魔力の循環は良好。視界よし。風向きよし。逃走経路もよし)
昨日の防御壁騒動から一夜明けて、俺は誓っていた。
(今日は……絶対、暴発しない!)
慎重すぎるほど慎重に準備し、今日こそ“普通の訓練”をこなしてみせると決めたのだ。
──のだが。
「うわっ!?」
盛大にこけた。
石につまずいて、仰向けにすっ転んだ。
(いった……)
肘を軽く擦りむいていた。皮がちょっと剥けて、血がじんわり。
その瞬間、頭の中の“救命士スイッチ”が入った。
(出血! 微出血! 破傷風!?)
(まず止血……圧迫止血……いやその前に清潔な布だ!!)
俺は慌てて腰のポーチ(子ども用)に手を突っ込む。
「……あれ?」
さらに中を探る。
「……あれぇぇぇ!?!?!?」
(ない……ない!? ハンカチがない!?!?)
「ぬあああああああああッ!!!!」
森に響き渡る、三歳児の絶叫。
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「……リヒちゃん、なんて声出してるの……?」
姉が水晶の前で顔を青ざめさせる。
「……まさか、ケガ……?」
「いや、見て。肘だ。ちょっと擦りむいてる」
「出血確認……でも、あれくらいなら自然治癒でいけるわ」
「なのにこの反応……いや、待って……まさか――」
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一方俺は、脳内でセルフ反省会を展開していた。
(これは痛恨の準備ミス……! 備えが足りてなかった……!)
(俺はビビリなだけじゃない。慎重主義者であり、計画主義者であり、予防重視の救命魂の体現者なのに……!)
(ハンカチ、忘れただけでこのパニックって……どういうこと!?)
泡が出るレベルの混乱の中、俺は思わず両手を合わせて祈った。
「神様、もしこれが業なら、せめて──」
「ぽふっ」
突如、手のひらから温かい光が漏れ出した。
(!?)
その光はふわりと肘の傷に触れ、皮膚がスゥッと回復していった。
(え……い、今の……)
(回復魔法……!?)
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「き、きたわぁぁあぁああ!!!!!」
姉が床に転がった。興奮しすぎて転がった。
「今の、完全に回復魔法!!」
「無詠唱・非接触・対象自動認識式……っ!」
「傷口のサイズと深さを魔力で測定して、最適量を照射してる……!」
「やばい、こっちが泣きそう……」
「リヒちゃん……ついに“癒しの加護”まで……」
母はぽわぽわ顔でハンカチを握りしめていた。自分が持っていた。
「ハンカチ、持ってるわよ……リヒちゃん……!」
父は黙って立ち上がると、そっと拳を握った。
「……備えを超えた備え。もはやそれは、自動回復能力という名の信念だ」
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俺は地面にへたり込んだまま、真顔だった。
(これは……)
(俺の魔力が、俺の意思とは別に、体の異常に反応して回復した……?)
(自動化? 感応? 適応?)
(怖い!!)
俺はぶるぶる震えながら森を見渡した。
「……これが、俺の体に……起こってる異常なのか……?」
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家では。
「異常じゃない……奇跡よ」
姉が涙目でノートを抱きしめる。
兄たちは同時に立ち上がった。
「これで、“防御+回復+泡”の連携スキルが完成したな」
「次の段階は、おそらく診断魔法か補助系の展開」
「ハンカチ忘れすら計算に入れてるのでは……?」
「自己強化のための布忘れ……逆転の発想……!」
父は額に手を当てて、ポツリと呟いた。
「……やはり、こやつ……“備えの怪物”か……」
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「ぬあああああ、備えが……備えが足りなかったぁぁ……」
森の端で三歳児が泡を吹いていた。
ぷしゅ~~~
(次は絶対、ハンカチ持ってくる……!)
心に深く刻み込む俺。
だが──家族はまた別の勘違いを強めることになる。
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そうして俺は、“回復魔法すら自動でこなす三歳児”として、さらなる誤解の階段を登ることとなった。
(回復って……こんなに軽率に出るもんなの……?)
次回、さらなる誤解がリヒトを包む──!
読んでいただきありがとうございます。
本作品は生成AIと協力して執筆しています。
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