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第5話 『訓練が終わったと思ったら、まだ誤解は続いてた件について』



「リヒト、そろそろ戻るか」


父の声が、まるで神の啓示のように耳に届いた。


(あ、助かった……)


泡を吹き、マントにビビり、ウサギの影を避けては誉められ。

ビビりすぎて体はガッチガチ。すでに乳酸祭りだ。


俺はこの日、命が助かっただけで十分な達成感を得ていた。


それなのに――


「……それにしても、リヒト。お前、想像以上だったな」

「三歳とは思えない立ち回りだった」

「泡も素晴らしかった! また見たいなぁ〜♪」

「ふふ、母さんね、ちょっと感動しちゃった……」


(んんん??)


「ていうか……なんでみんな、当然のようにここにいるの???」


今さらだが、重大な事実に気づいた。


全員、ついてきてる。


父。兄×2。姉。母。全員、森の中にフル出場。

誰か一人だけお見送りとか、そういう配役は存在しない。



「いやいやいや、普通こういう訓練って、父と兄一人とかじゃないの!? ねぇ!? なんで全員森に入ってるの!?」


俺の全力の訴えに対し――


「なにを言ってるんだ?」

「初訓練なんだから、当然じゃないか」

「だってリヒちゃんの晴れ舞台だもん♪」

「どこに危険があるかわからないからな」


返ってきたのは“当然ですけど何か?”という顔と言葉。


(感覚おかしい! うち、たぶん世間とズレてる!!)


「……お父さん。森の訓練って、毎回こんなフルメンバーで行くの?」


「いや、初めてだな」


(なにが“いや”だ! さらっと異常行動を肯定するな!)



帰宅してからも状況は変わらなかった。

リビングは、もはや“今日のリヒトを称える会”と化していた。


「魔力の泡でスライムを葬った……」

「あの慎重な動き、まさに百戦錬磨の兵士……」

「野生の気配を読んでの回避行動……まさに“感じる”男」


全部、ビビってただけだっつってんだろ!!!!


それを泡で誤魔化して、勢いで足が当たっただけなのに!


「これはもう、明日は森の中盤まで行ってもいいかもな」

「ふむ、あの子なら問題ないな」

「リヒちゃん、明日も泡ふいてね〜♪」


(いやいやいや、なんで次のステージ前提なの!?)



俺は、強く、静かに決意した。


(このままだと本当に連れて行かれる……! しかもどんどん難易度が上がっていく!!)


誤解で評価が上がる。

評価が上がると訓練がキツくなる。

訓練がキツくなると、泡の量も増える。


つまり――


(自主的に“ここまで”ってラインを引いておかないと、俺が死ぬ!!)


俺は自分の命と尊厳を守るため、家族に申し出た。



「きょ、今日行ったとこまで……なら……ひとりで訓練……する」


その言葉に、家族全員が静まり返った。


そして次の瞬間、全力の感動タイムが始まった。


「……なんて自立心……」

「三歳にして……覚悟が違う……」

「自主的に訓練を選ぶその姿、まさに“選ばれし者”……!」

「リヒちゃんが……旅立ってしまう……」

「母さん、涙が……!」


(いや、誰も旅立たねぇよ!? すぐそこに行くだけだよ!?)



父が、少しだけ真面目な顔で言った。


「……わかった。ただし、なにかあったときにすぐ戻れる範囲。今日の訓練で到達した場所まで。いいな?」


(えっ、OK出るの!? ほんとに!?)


「はい……! やる……」


と答えながら、俺は心の底からほっとした。


(これで、今日の深さまでなら“自主訓練”として安全に継続できる……!)


母と姉がこそこそと水晶を並べていたが、俺は見ていなかった。

いや、正確には見ていたけど、“飾り”か何かだと思ってた。


 

翌朝、森の入口。昨日と同じ場所。


でも今日は、誰の手も引いていない。


俺は、自分の足でここまで来た。


(ここまでなら……安全圏。逃げ道も確認済み。地形も把握済み。リスク管理、完璧……!)


深呼吸ひとつ。


誰にも見られてないつもりで、静かに構える。


(よし……今日も、防災訓練だ……!)


(今日は、誰にも見られてない……)


そう信じていた。


……水晶の向こうで、母と姉が「がんばれ〜!」「泡はまだ〜?」と実況しているとも知らずに。




ビビりと慎重の狭間で、

ひとりの三歳児が、静かに“備え”の第一歩を刻んだ。


次回、ついに自主訓練スタート――!


読んでいただきありがとうございます。

本作品は生成AIと協力して執筆しています。


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