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第3話 『最初の敵、それは……木の陰の“何か”』



スライムに泡を吹いて勝った(?)衝撃の森デビューから数分後――


「すごかったぞ、リヒト」

「うんうん、恐怖に飲まれず、魔力で立ち向かって……」

「泡を……ぶしゅーって……ふふっ」


兄姉から称賛される中、俺はひとり静かに後悔していた。


(違う……あれは“魔法”でも“秘術”でもない……ただの過呼吸だった……)


でも言えない。というか、三歳の語彙力じゃ真実は何ひとつ届かない。

このまま黙ってたら、そのうち“伝説の魔法泡使い”とか言われる気がする。


(せめて……もう泡だけは吹かないぞ。誓う……)


そう、固く心に誓った直後のことである。


「……ん? あれ……なんだ……?」


先を歩いていた兄が、木の根元を指差した。



そこにあったのは、木陰に潜む――“黒い何か”。


ぬらりとしたシルエット。地面にへばりつくような異様な形。

風にあおられて、かすかに揺れる黒い影。


俺の目が、ガチでバチンと見開かれた。


(……出た……! スライムの次のヤツ……!!)


緊張が一気に身体を締め付ける。


「リヒト、止まったな……」

「ふふっ、慎重なのね……怖くないよ〜♪」

「いや、あれは“相手の出方をうかがう兵士の構え”……!」


構えてない! 固まってるだけ!!



だが俺の思考はすでに異常事態レベル5の防災モードへ。


(おい待て、さっきのスライムと違って、こいつは動いてない……)

(そうか、擬態型!? これは擬態して獲物を待つタイプのやつか!?)

(森の恐怖ベスト3に入るヤツじゃんそれ!!!)


元救命士の知識が、まったくファンタジー世界に役立たないままに警戒だけが高まっていく。


(でも近づかないと“訓練”は終わらない……俺、試されてる!? いや誰に!?)


「リヒト、行けるか?」

「無理しなくていいからね〜? ……でも、信じてる♪」

「行くなら……今だぞ」


やめて!! 圧かけないで!!! 無理してるから!!!



俺は震える足で一歩踏み出す。

“黒い何か”はまだ動かない。


(これは……相手の罠だ……俺が近づくのを待ってる……!)


しかしこの状況、逃げたら誤解が加速し、近づいたら死ぬ可能性があるという、積んでるボードゲーム状態。


(だったら……俺がやるしかない!)


勇気を振り絞り、気配遮断+魔力皮膜フル展開モード。

鼻息ひとつすら漏らさぬよう、全神経を集中――


「……気配が消えた!? 魔法で自分の存在を……?」

「兄さん、あれ……見えてる?」

「見えない。消えた。まじで気配ゼロ。え、怖……」


違う違う! 息止めてるだけ!!! 肺が限界!!!



俺はそろりと近づいた。木の陰へ、地面の“それ”のすぐそばへ。


(よし、ここで観察だ……。落ち着けリヒト……これは訓練……これは……訓……)


ガサッ


(!!?!?!?!?!?)


風で揺れた枝が地面に落ちただけ。

ただそれだけなのに、俺は反射的に


「ぴしゅーっ!」


泡、噴出。


(あああああああああああ!!!!!!!!)


兄「今だっ!攻撃の合図か!?」

姉「ぷしゅーって可愛い……けど、威力がありそう……」

父(遠目)「なるほど、あの子は“音”を媒介にした魔法系か……!」


もはや泡=魔法という誤解が公式設定になりかけている。



――そして、泡を吹いたその勢いで、俺は木の陰に倒れこむ。

手が、“それ”に触れる――


「…………布?」


よく見ると、それはただの……ボロボロの黒いマントだった。

多分、前に訓練した誰かの落とし物。


(…………)


(おいマジか)


泡まみれで倒れたまま、俺は空を見上げた。



「お見事だったぞ、リヒト」

「マントの擬態にすら一切の油断を見せない……」

「やっぱりリヒちゃんはすごいね〜♪」

「え、マントってことに気づいたの……最初から……?」


いや、今知ったわ!!!!



その後、俺は全身泡だらけのまま帰還。

兄たちは「冷静な判断力に脱帽」と評し、姉は「ふわふわ〜って泡を吹くリヒちゃん可愛い〜」とにやけていた。


違う、泡は感情の結果じゃない。生理現象です。


でも――誤解は進む。止まらない。


いやいやいや、変わってない! 増幅してる! ビビり倒してる!!!



そうして俺は、「マントにすら気を抜かず、泡で敵意を探る三歳児」として、さらなる誤解の階段を登ることになる。


(こ、これが……“生き延びるための訓練”か……)


ビビりすぎて覚えたのは、極端な索敵行動、泡ブレス(誤解)、そして新たなる恐怖耐性。

読んでいただきありがとうございます。

本作品は生成AIと協力して執筆しています。


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