第14話 絶対防御(おむつバリア)発動!?
――事件の発端は、俺の尻だった。
もとい、オムツ。
赤ちゃんに生まれ変わってはや一年。転生してからのこの期間、俺は命の安全と快適な衛生環境を求めて、地味に努力を積み重ねてきた。
(……濡れた部分だけを魔力で乾燥。焦がさず、蒸気で包み込むように温度調整……)
かつて救命士だった俺の職業病というか、執念というか――火傷のリスクを避けるため、温度は37.5度を厳守。肌への刺激もゼロを目指して微粒子制御。
そして今日、ついに“魔力による自動乾燥システム”が完成を迎えた。
(よし……! 時間差起動、成功。これで不意のオムツ事故にも対応できる……!)
だがこの日、“副作用”が起こった。
誰もが予想していなかった形で。
◇
「リヒちゃ〜ん。そろそろおむつ替えの時間だよ〜?」
姉のリリーナが部屋に入ってきた。
(まずい、起動中だ……!)
俺は慌てて寝たふりを決め込む。泡を一つ、ぷしゅーと。
「ふふ、よく寝てるね〜。あれ? でも……湿ってない?」
リリーナが俺のオムツに手を伸ばした、その瞬間だった。
「ん……?」
姉の指先が、オムツの手前で“何か”に触れた。
目に見えない“もにゅっ”とした柔らかな空気の層。
「……あれ? なんか……弾かれた?」
ピッ、と空気が揺れるような感覚に、姉の目が真ん丸になる。
「……リヒちゃん、今、結界張った!?」
(ちがぁああああう!!)
◇
「お父さ〜ん! リヒちゃん、なんかバリアみたいなの出してるー!!」
「ん? 何を言って――バリアだと?」
飛んできたのは父、そしてついでに兄たち。
「どれどれ……あっ、ほんとだ。空気の密度が違う」
「ていうか、触れようとしても押し返される感じ……まじで結界?」
兄たちが真剣に俺の周囲を調べ始める。
もちろんこれは「魔力の自動乾燥フィールド」であって、結界ではない。
たまたま俺の意思とは関係なく、魔力が身体の表層に漂っているだけだ。
……だが、説明できるわけがない。
なぜなら俺は赤ちゃんで、ぷしゅーと泡を吐くだけの存在だからである。
(いやほんと、これは乾かしてるだけで……結界とかじゃなくて……!)
「この均一な魔力分布……反応を受けて変質している……」
「魔力が外部干渉を拒んでいる? これ、まさか“自律型防御魔法”……?」
「すげぇ。まだ一歳だぞ? これ、完全に才能の塊だろ」
「しかもリヒちゃん、自覚なさそう……天才系か……?」
勝手に評価がインフレしていく。
(違う、違うって……!)
俺はどうにか否定の意志を伝えたくて、全力でぷしゅー。
「……ほら、泡吹いてる。たぶん、これは“無自覚発動”の証拠だね」
(まてこら!?)
◇
それからというもの、俺は“触れると弾かれる赤ちゃん”として注目されることになる。
特に厄介だったのが、母だ。
「リヒちゃん〜、今日はちょっとだけぎゅ〜ってしてもいいですか〜?」
ぽわぽわな笑顔を浮かべながら近づいてくる天然の母。
(まずい、今はフィールド展開中……っ!)
気づいたときには遅かった。
母が俺に抱きついた瞬間、ぴょんっと軽く跳ねた。
「わっ、押し返されちゃいました〜?」
本人は楽しそうだが、兄たちは一斉に顔を引き締める。
「これ……“選別反応”か?」
「防御結界にして、接触者を判断する高度魔法……!?」
「赤ちゃんの魔力量で、そんなこと可能なのか!?」
「天才を超えた“概念先行型の結界”かもしれない……!」
(いやほんと違うってば……! 熱がこもらないように魔力調整してるだけで……!)
俺の泡、ぷしゅー。
◇
そして事件は起きる。
その夜、兄のひとりが夜中に俺の様子を見に来た時だった。
「……リヒ、ちゃんと寝てるか?」
寝ぼけながら俺に近づいた兄が、布団をめくろうとした瞬間――
バチッ!
静電気のような反応が走り、兄が軽く吹っ飛んだ。
「うわっ……!」
軽傷だったが、その騒ぎに屋敷中が起きた。
「バリアに触れて吹き飛んだ」という話は、すぐに家族全体に広まり――
「リヒちゃん……寝てる間も自己防衛機能が働いてるんだねぇ……!」
「完全に結界型の魔法体質。これはもう、“神童”として報告すべきでは……」
(おねがいだから報告とかしないでください……!)
そうして俺は、“自動防御結界を持つ赤ちゃん”として正式に認識されたのであった。
◇
(……これもう、オムツ乾燥機能やめた方がよくない?)
ベビーベッドの中、俺は天井を見上げながら静かに反省していた。
慎重に、誰にもバレないようにやってきたつもりだった。けれど、魔力が身体の表層で留まり続けるせいで、物理的な違和感が出始めていた。
いわゆる“魔力の皮膜”だ。
(……これが本物の結界の原型だって、俺はまだ知らない)
泡をひとつ、ぷしゅーと吐く。
(次からは……もっと魔力を“下方向”に逃がそう。あと、誰かが来たら即オフにする仕組みを……)
次から次へと、対策ばかりが思い浮かぶ。
そう、すべては――誤解されないため。
……なお、翌朝。
『リヒちゃんが神殿に勧誘されたらどうする!?』
『魔導士ギルドからスカウトが来たら!?』
家族が騒いでいた。
(……いやほんと、ただの乾燥機能なんですってば……!)
――今日もまた、慎重すぎる赤ちゃんは、泡と共に誤解を生み出していく。
読んでいただきありがとうございます。
本作品は生成AIと協力して執筆しています。
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