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第14話 絶対防御(おむつバリア)発動!?

 


 ――事件の発端は、俺の尻だった。


 もとい、オムツ。


 赤ちゃんに生まれ変わってはや一年。転生してからのこの期間、俺は命の安全と快適な衛生環境を求めて、地味に努力を積み重ねてきた。


(……濡れた部分だけを魔力で乾燥。焦がさず、蒸気で包み込むように温度調整……)


 かつて救命士だった俺の職業病というか、執念というか――火傷のリスクを避けるため、温度は37.5度を厳守。肌への刺激もゼロを目指して微粒子制御。


 そして今日、ついに“魔力による自動乾燥システム”が完成を迎えた。


(よし……! 時間差起動、成功。これで不意のオムツ事故にも対応できる……!)


 だがこの日、“副作用”が起こった。


 誰もが予想していなかった形で。



「リヒちゃ〜ん。そろそろおむつ替えの時間だよ〜?」


 姉のリリーナが部屋に入ってきた。


(まずい、起動中だ……!)


 俺は慌てて寝たふりを決め込む。泡を一つ、ぷしゅーと。


「ふふ、よく寝てるね〜。あれ? でも……湿ってない?」


 リリーナが俺のオムツに手を伸ばした、その瞬間だった。


「ん……?」


 姉の指先が、オムツの手前で“何か”に触れた。


 目に見えない“もにゅっ”とした柔らかな空気の層。


「……あれ? なんか……弾かれた?」


 ピッ、と空気が揺れるような感覚に、姉の目が真ん丸になる。


「……リヒちゃん、今、結界張った!?」


(ちがぁああああう!!)



「お父さ〜ん! リヒちゃん、なんかバリアみたいなの出してるー!!」


「ん? 何を言って――バリアだと?」


 飛んできたのは父、そしてついでに兄たち。


「どれどれ……あっ、ほんとだ。空気の密度が違う」


「ていうか、触れようとしても押し返される感じ……まじで結界?」


 兄たちが真剣に俺の周囲を調べ始める。


 もちろんこれは「魔力の自動乾燥フィールド」であって、結界ではない。

 たまたま俺の意思とは関係なく、魔力が身体の表層に漂っているだけだ。


 ……だが、説明できるわけがない。


 なぜなら俺は赤ちゃんで、ぷしゅーと泡を吐くだけの存在だからである。


(いやほんと、これは乾かしてるだけで……結界とかじゃなくて……!)


「この均一な魔力分布……反応を受けて変質している……」


「魔力が外部干渉を拒んでいる? これ、まさか“自律型防御魔法”……?」


「すげぇ。まだ一歳だぞ? これ、完全に才能の塊だろ」


「しかもリヒちゃん、自覚なさそう……天才系か……?」


 勝手に評価がインフレしていく。


(違う、違うって……!)


 俺はどうにか否定の意志を伝えたくて、全力でぷしゅー。


「……ほら、泡吹いてる。たぶん、これは“無自覚発動”の証拠だね」


(まてこら!?)



 それからというもの、俺は“触れると弾かれる赤ちゃん”として注目されることになる。


 特に厄介だったのが、母だ。


「リヒちゃん〜、今日はちょっとだけぎゅ〜ってしてもいいですか〜?」


 ぽわぽわな笑顔を浮かべながら近づいてくる天然の母。


(まずい、今はフィールド展開中……っ!)


 気づいたときには遅かった。


 母が俺に抱きついた瞬間、ぴょんっと軽く跳ねた。


「わっ、押し返されちゃいました〜?」


 本人は楽しそうだが、兄たちは一斉に顔を引き締める。


「これ……“選別反応”か?」


「防御結界にして、接触者を判断する高度魔法……!?」


「赤ちゃんの魔力量で、そんなこと可能なのか!?」


「天才を超えた“概念先行型の結界”かもしれない……!」


(いやほんと違うってば……! 熱がこもらないように魔力調整してるだけで……!)


 俺の泡、ぷしゅー。



 そして事件は起きる。


 その夜、兄のひとりが夜中に俺の様子を見に来た時だった。


「……リヒ、ちゃんと寝てるか?」


 寝ぼけながら俺に近づいた兄が、布団をめくろうとした瞬間――


 バチッ!


 静電気のような反応が走り、兄が軽く吹っ飛んだ。


「うわっ……!」


 軽傷だったが、その騒ぎに屋敷中が起きた。


 「バリアに触れて吹き飛んだ」という話は、すぐに家族全体に広まり――


「リヒちゃん……寝てる間も自己防衛機能が働いてるんだねぇ……!」


「完全に結界型の魔法体質。これはもう、“神童”として報告すべきでは……」


(おねがいだから報告とかしないでください……!)


 そうして俺は、“自動防御結界を持つ赤ちゃん”として正式に認識されたのであった。



(……これもう、オムツ乾燥機能やめた方がよくない?)


 ベビーベッドの中、俺は天井を見上げながら静かに反省していた。


 慎重に、誰にもバレないようにやってきたつもりだった。けれど、魔力が身体の表層で留まり続けるせいで、物理的な違和感が出始めていた。


 いわゆる“魔力の皮膜”だ。


(……これが本物の結界の原型だって、俺はまだ知らない)


 泡をひとつ、ぷしゅーと吐く。


(次からは……もっと魔力を“下方向”に逃がそう。あと、誰かが来たら即オフにする仕組みを……)


 次から次へと、対策ばかりが思い浮かぶ。


 そう、すべては――誤解されないため。


 ……なお、翌朝。


『リヒちゃんが神殿に勧誘されたらどうする!?』


『魔導士ギルドからスカウトが来たら!?』


 家族が騒いでいた。


(……いやほんと、ただの乾燥機能なんですってば……!)


 ――今日もまた、慎重すぎる赤ちゃんは、泡と共に誤解を生み出していく。


読んでいただきありがとうございます。

本作品は生成AIと協力して執筆しています。


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