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第12話 赤ちゃん、魔法を使う? いえ、オムツがちょっと汚れてただけです


 俺は今、非常に深刻な問題に直面していた。


(……なんか、ムズムズする)


 気配遮断の訓練で、日中ほぼ無音・無臭・無感覚状態で過ごしたせいか、体のわずかな変化にめっぽう敏感になっていた。


 そして今日――はっきりと“違和感”を感じたのだ。


(……こ、これは……オムツが湿っている……!?)


 俺は生まれてこのかた、オムツというものを軽く見ていた。

 だが、今になってようやくわかった。これは一種の“装備”であり、同時に“衛生リスク”そのものなのだ。


(油断すると、かぶれる……! しかも、それが原因で発熱や感染症……!!)


 赤ちゃんだからこそ、皮膚が薄い。抵抗力が低い。

 衛生環境を甘く見るわけにはいかない。


 俺の職業は元・救命士。衛生管理は命に関わる。

 つまりこれは――**命を守るための“準備案件”**だ!


(よし……乾燥ではなく、“部分クリーン”からいこう。熱による乾燥は難しいし、誤爆すると火傷リスクがある)


 俺は魔力を手のひらに集中させる。


 そのまま、おしりのあたりの“湿っている領域”に向けて、極細魔力糸を注ぐ。


(対象:オムツ。部位:湿潤部分のみ。魔力属性:水除去&汚れ分解。範囲は1平方センチ以下で……!)


 繊細な魔力制御が求められる。


 だが俺は、気配遮断で培った“無駄のない魔力流”に自信があった。


(これで――いける……!)


 スッ――と、湿っていた感覚が抜けていく。


(……成功した! 完ッ璧!)


 俺は心の中でガッツポーズを決めた。

 もちろん外見は無表情で、泡をぷしゅーっと軽く吹くだけに留めた。


 だが、その直後――。


「ちょっと!? なにこれ!?」


 姉さんの声が響いた。


(しまった!!)


 振り返れば、姉が俺のおむつをチェックしていた。

 そして、驚愕の表情を浮かべている。


「おむつが……一部だけ、めちゃくちゃキレイになってる……!」


「え? どういうこと?」


 兄さんたちも駆け寄ってくる。


「しかも、表面は乾いてるのに、匂いもない……。なにこれ……」


「まさか……リヒト、魔法を?」


「癒しの手……浄化の指先……!」


(いやいやいやいや!!)


 心の中で全力ツッコミ。


(違うんだ!! ちょっとだけ魔力を通して、衛生を保ちたかっただけで、浄化魔法でも聖属性でもない!!)


 その間にも、姉さんは俺のおしりをぺしぺし触っては感動していた。


「リヒちゃん……すごい。キレイ好きだとは思ってたけど、ここまでとは……」


「うーん、やっぱりこの子、“神様の加護”受けてる説あるよね」


「母さんに相談してみる?」


(やめてぇぇぇぇ! 宗教方面に広げるのはやめてぇぇぇぇ!!)


 俺はあまりの羞恥と混乱に、耐えきれず泡をぷしゅーと大きく吹いた。


◇ ◇ ◇


 その後、母上にも報告が行き、何やら神棚の前で手を合わせているのを目撃した。


「リヒちゃん、今日も清らかでありがとうね〜」

「きっとこの子は“清めの御子”なんだわ〜」


(俺の魔力量がもったいなくなってきた……)


 でも――成果は確かに出ていた。


 魔力を“対象を限定して通す”という技術は、間違いなく次の訓練に繋がるものだ。


(これを応用すれば、温度調整、衣服乾燥、果ては消毒までできる……!)


 俺は泡を吹きながらも、次なる訓練計画を脳内で立てていた。


 この生活魔法の始まりが、“ただのオムツ”だったとは、きっと誰も思わないだろう。


◇ ◇ ◇


 夜。


 ベビーベッドに戻った俺は、天井を見つめながら今日の訓練を反芻していた。


(少しずつ、だけど確実に成長している)


 魔力量も、制御も、観察力も、すべて積み重ねてきた。


 今日の浄化操作はわずか1秒だったが、魔力の流れは精密で、誤作動もなかった。


(でも――やっぱり、また誤解されたな……)


 俺は泡を吹いて、小さくため息をついた。


 そのとき、部屋の外から姉の声が聞こえてきた。


「ねえねえ、リヒちゃんって、やっぱり“祝福持ち”だよね!?」


 兄の声も続く。


「もしかしたら、将来すごい聖職者になるのかも」


(ただオムツを清潔にしたかっただけなのに……)


 準備こそ、すべての戦いの始まりだ。


 こうしてまた、世界一慎重なビビりは、

 今日も訓練していただけなのに、周囲の勘違いがさらに強化されていくのであった。


読んでいただきありがとうございます。

本作品は生成AIと協力して執筆しています。


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