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星屑が落ちる夜

『飛行機なう』


そんな文言とともに白い砂漠のような、それか雪のような写真が送られてきた。なんだろうこれ、とちょっと考えて、雲だとわかる。もくもくとした雲が、地平線……いや、なんて言えばいいんだろう、とにかくずっと先まで続いていて、青空との境界線が横一文字に引かれている。雲海の水平線、て感じかも。すごく綺麗。


茜は夏休みが始まると共にグアムに旅立つらしい、ということをお姉さんから聞いた。いいなーぐあむ、とわたしはスマホを胸に抱えて、ベッドに寝転んだ。


締め切った窓からは、微かにしゃーい、しゃいしゃいとセミの鳴き声が聞こえる。そしてそれより近くで聞こえるクーラーの機械的な音。


茜は今どこを飛んでいるんだろう。わたしのいる部屋の窓から見える広い広い青空には、ちぎれたような雲がぽつんと浮かんでいた。カサカサの筆で描いたみたいな、もさっとした雲。青空は絵の具と違って滲みもムラもなく、透き通ってる。透き通ってるけど、透明では無い。どこまでも青が続いていて、ずっと眺めていると、果ての無さに飲み込まれそうになる。


青空に酔ってきたので、体勢を変えてぼふー、と枕に顔を突っ込んだ。シャンプーの甘い匂いがする。最初はドキドキしていた香りだけれど、最近はもう慣れ親しんだ、日常の匂いになってきていた。


胸の下に潜り込んで押しつぶされているスマホの熱がTシャツ越しに伝わる。そういや、カバーをまだ買っていなかった。カバーをつけていなかったせいで右上の角が削れてしまったのも、もう一か月以上前になるんだ。


ぷはっと顔を上げてベッドの上で座り込んだ。どうにもこうにも気分が上がらない。夏休み初日だっていうのに。学校に行かなくていいのはとっても楽だけど、それはそれは例年に比べて何倍も楽なんだけど、でもわたしはお姉さんがいないと、どうしたって、誰といたって一人だ。とりわけ今日は、特に。


入れ替わって、初めてこの部屋に来た時の光景が嘘みたいな、整頓された部屋を見回す。そこかしこに転がっていたペットボトルも、空き缶も、もう見る影は無い。部屋が綺麗になって、よけい異物感の引き立った子供向けの勉強机の上には、夏休みの課題がどさっと置かれている。高校のものだ。


そういや、期末テストの成績は、やっぱりわたしとしては悔しい結果だった。お姉さんは、国語の点数私よりいい、なんて言って褒めてくれたけれど、それはさすがに冗談の範疇だと思うし、夏休みの課題だけでも完璧に仕上げる必要がある。


もちろん、わたしが山積みになっているそれをこなす訳では無い。お姉さんと課題を交換するのだ。そう、だから、たぶん、もうすぐ。


わたしは、期待してしまっている。お姉さんの足音を待っている。待っていて、それで、なにか言葉も。考えただけでうぐぐ、と沸き立つ感情を心臓を押えて落ち着ける。深呼吸。指先にあたるおっぱい。


その時、ピンポーンとチャイムの音が玄関から聞こえた。


わたしはベッドから半ば落ちるように飛び降り玄関に向かって走った。途中、躓いて転ぶ。脛が痛い。数秒痛みに悶えてから立ち上がって玄関の扉を開けた。


「おはようございます、お姉さん」


「だ、大丈夫?」


脛を押えているわたしを見て、お姉さんが心配そうに言った。


「なんのこれしきです」


セーラー服風の紺のワンピースを身にまとったお姉さんは、膨らんだトートバッグを肩に提げていた。


わたしはお姉さんを家の中に招き入れ、


「先に部屋、行っててください」


と声をかけて台所に向かった。


お姉さんのお母さんはもう仕事に行っている。今、この家にはわたしとお姉さんの二人きりだ。


誰もいない台所で、わたしはコップを二つ用意し、冷蔵庫からオレンジジュースを出して注いだ。わたしはいつもはお姉さんが入れ替わる前に元々使っていた、持ち手が猫のしっぽになっているコップを使わせてもらっているけれど、今日は迷った末に、そのコップはお姉さんに使って貰うことにした。わたしはお客さん用の、無機質な透明のコップを使う。


お盆はいらないかなと両手でコップを持って部屋に向かうと、手が塞がってドアが開けられなくなった。しょうがないので足でドアノブを押そうと片足をバレリーナのように上げて、くいくいしていると、


「どしたの?」


と言ってお姉さんが中からドアを開けたので、わたしはびっくりして持っていたオレンジジュースを、わたしの着ていたTシャツにぶっかけてしまった。


「……ほんとにどしたの?」


「どうしたんでしょう」


とりあえずオレンジジュースが半分ほど残ったコップ二つを机に置き、わたしは着替えることにした。


クローゼットを開けて、代わりの服を探す。


「本当に、どうしたんでしょう。お姉さんのズボラ癖が移ったみたいですよ」


前のわたしなら、絶対ドアを足で開けることなんてなかったのに!


「いくら私でもあんなことせんがな」


呆れたように言ったあと、お姉さんは何か思いついたようにわたしの横に来て、クローゼットから一枚の服を取り出した。


「紗奈ちゃん、これ着てよ」


お姉さんが取り出したのは、ネイビーのワンピースだった。白い襟が着いていて、シャツのようなデザインになっている。お姉さんの服にしては大人しめというか、シックな感じの服だ。


「私の今日の服と、色とかちょっと似てるでしょ」


お姉さんは、はにかんで言った。


「でもそれは」


どこか出かける時に着るような服なんじゃ。


「今日、このあとどこか出かけようよ」


「えっ」


急に世界の彩度が上がったような気がしてしまう。お姉さんとお出かけ。暇で暇で、無色だったはずの今日なのに、お姉さんが、どこか連れ出してくれる。嬉しくて、本当に嬉しいけど、最初からどこか期待してしまっていた自分もいたような気がして、心の中で頭をコツンと小突く。


「夏休み初日、ですしね!」


「うん、それに、」


お姉さんは、少し溜めて言った。


「今日、誕生日でしょ」


実際やっぱり期待、してたけど。朝から、というかずっと前から期待しちゃってたけど。それでもやっぱり涙が滲んだ。


「……はい!」


瞬きして涙を目の中に押し込んでから、溢れる笑顔を抑えきれず、にやけながら返事する。


「……じゃ、着替えてきてね」


お姉さんがぽん、とワンピースをわたしに手渡した。


洗面所で着替えを済ませ、部屋に戻るとお姉さんが残っているオレンジジュースをちびちび飲んでいた。猫のしっぽの持ち手のやつで。


「あ、コップこっち使って良かった?」


「はい。そっち使ってください」


お姉さんのですし。


「どう、ですか」


くるりと一回転をすると、ワンピースのスカートが、ふわりと広がって舞った。


「似合ってるよ。自画自賛だけど」


お姉さんはちょいちょい、と鏡の前にわたしを招いた。


「髪の毛、やったげるよ。ここ座りな」


お姉さんはわたしの髪をひとつにまとめてから、ちょっと待って、と言ってトートバッグの中をゴソゴソしたあと、なにか取りだしてわたしの頭につけた。手鏡を駆使して確認すると、ポニーテールの根っこに付いているのはレースのリボンだった。


「こんなの、持ってました?」


わたしが聞くと、お姉さんはふるふると首を振った。


「誕生日プレゼントみたいなものだと思って」


頬がじわりと熱くなる。


「ありがとう、ごじゃいます」


噛んだ。


「じゃあ、私も部屋戻って準備してくるから」


「はい!」


「課題、貰ってくね」


お姉さんはそう言って、トートバッグから小学校の宿題の束を出して机に置いたあと、代わりに、積まれていた高校の課題をぎゅうぎゅうに押し込んだ。


お姉さんの居なくなった部屋で、もう一度鏡の前でくるっと回る。正面に戻る寸前、頭に着けてもらったリボンが一瞬見えた。シンプルなデザインのワンピースにとっても良く似合う。


角谷紗奈、今日から十二歳。わたしは今日、誕生日。誕生日なんだ。お姉さんの言葉が嬉しくて、何回も反芻する。紗奈ちゃん、と呼ばれる度に、入れ替わる前の何倍も胸が高鳴って、弾けそうになる。


この一ヶ月、七海、と呼ばれることの方がずっと多かったし、それだって慣れてきたけど、お姉さんに紗奈ちゃんと呼んでもらうと、メッキの中の温かくてどろっとした部分まで受け止めてくれるみたいで、溶ける。固くなった何かが。


わたし達は、運命共同体だから。角谷紗奈に空いた穴を埋められるのは角谷紗奈しか、お姉さんしか居ないから。そうだとすれば。


「七海、さん」


ぼそっと呟いた自分の声に、体温が急上昇するのが分かる。慌てて、一人でぶるぶる首を振った。


やっぱり、お姉さんは、お姉さんだ。お姉さんをお姉さんと呼ぶのはきっとわたしだけだし。


わたしは、服に合うカバンを選んで、外に出た。玄関のドアを開けると、もわっとした熱気が押し寄せてきて、早々すくむ。覚悟を決めてわたしは夏の中に飛び込んだ。お姉さんはまだ準備しているのだろうか。角谷宅の前には誰もいなかった。


昨日あたりに梅雨は終わったらしい。あんなにずっと雨が降っていたのに、気付かないうちに季節は意外とぬるりと変わる。季節の区切りめは、やっぱり個人の心持ちの問題なのかな。


下の方からきゃっきゃと、幼い子がはしゃぐような声が聞こえた。マンションの柵から顔を出し、見下ろすと浴衣を着た小さな女の子が母親と思われる女の人と手を繋いで、マンションのエントランスから出ていく姿が見えた。そのまま彼女らは城跡の方へ歩いていく。それだけではない。若い男女の二人組が、たこ焼きか何かを手に持って往来を歩いている。


そういえば、今日は。


「お姉さん、お祭りに行きませんか」


部屋から、リボンのついた麦わら帽子をかぶって出てきたお姉さんにそう言うと、


「ああ、今日だったっけ」


夏祭り。


一年に一回、この近くでも屋台が出店し、夜には花火が打ち上がる、いわゆる夏祭りが開催される。場所は桜まつりと同じ、城跡の近くだ。夏祭りになると、わたしが昨日まで通っていた高校のすぐ前の道に、ずらりと屋台が並ぶようになる。非日常を体現したようなあの空間を頭に思い浮かべて、今すぐそこに身を投じたい衝動に駆られる。


ああ、もう夏なんだ。急にそんな実感が湧いてくる。やっぱり季節は気持ち次第だ。


「んー……」


お姉さんはというと、顎に手を当てて唸っていた。


わたしはどきっとする。もしかして、お祭り嫌なのかな。何か代替案を考えようと、お姉さんの好きそうな場所を考えてみる。……家?いや、でもわたし、お姉さんとお祭り行きたい!


悶々と頭を悩ませ、わたしがなにか言おうと口を開いた瞬間、


「うん、行こうか、お祭り」


お姉さんは、何か振り切ったように一度大きく頷き、そう言った。


「い、いいんですか」


「え?うん、もちろん。あと、お金は全部私が出すから。紗奈ちゃんは好きな物買ってよ」


「え、そ、それはさすがに悪いですよ!自分の分は自分で買います!」


「いいんだよ、誕生日なんだから。誕生日祝えるの、私だけなんだし。祝わせてよ」


「ほんとに、いいんですか。わたし、その、いっぱい、食べますけど」


「いいよ」


年上の余裕のようなものを感じて、なんだか悔しくなる。お祭りって、全部高いのに……。


「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えます!その代わり、」


お姉さんの誕生日にはわたしが全部奢ります、と言うと、お姉さんは、


「それは流石に私が情けないからやめて」


と苦笑しながら言った。


な、なんで!?


マンションを出て会場まで向かうと、やはり今日は町全体が活気づいているようで、駅前のコンビニや、いつも人通りの少ない商店街にも祭り目的と思われる人が溢れている。浴衣を着た人も多いようだ。


「お姉さんは、浴衣とか着ないんですか」


そう聞くと、


「あー……。小さい頃は、着てたかな」


「最近は着てないんですか」


「浴衣ってほら、暑いのなんの。それに動きにくいしね」


「そういうものですか」


「うん。でも今日はほら、」


2人でお揃いのコーデだし。その方がいいでしょ?と笑ったお姉さんにブンブンと首肯する。でも、


「いつか、二人で浴衣着て、お祭り行きたいです」


そう言うと、お姉さんは少し驚いたように目を見開いてから、そうだね、とはにかんで言った。


屋台の熱気と、人混みの熱気と、地面から立ち込める夏の熱気が合わさって、屋台がずらりと並んだ一本道には、視界の歪みそうな濃ゆい空気が蔓延していた。わたし達は着いて最早購入した、キンキンに冷えたジュースをずるる、と飲む。


時刻はちょうどお昼頃。ちょうど人混みのピークに来てしまったということだ。


「すげえ……」


「すごいですね……」


いつもの閑静な雰囲気はどこかに吹き飛んだようだ。あっちから来る人、こっちから来る人、立ち上るソースの匂い、ぐるるるる。お腹がすいた。


食欲削がれる灼熱地獄の中でもよだれを誘う罪な匂いが、会場全体に漂っていた。ジュース片手に人混みを縫うように進んでいくと、あれもこれも美味しそうで目移りしてしまう。


一本道をそのままずっと進むと屋台は途切れ、その先には道が別れ、小さい公園がある。遊具もいくつか設置してあるが、今日は遊んでいる子供はいなかった。その代わり、そこかしこに座り込んで、屋台で買ったものを食べている人が大勢いる。


「紗奈ちゃん、何か食べる?」


お姉さんが聞いた。わたしは、並んだ屋台の最後尾にある、唐揚げの屋台を指さした。


「唐揚げ、食べたいです。いいですか?」


お姉さんは分かった、と言って屋台に向かった。


「じゃあ、公園で座って待ってて」


「はい!」


わたしは辺りのベンチを見回した。が、空いているところは無いようだ。仕方ないので、公園に植えてある大きな木の、盛り上がって段差のようになっている根っこに座り込んだ。


わたしの前を、たくさんの人が行き交う。全体的に若い人が多いようだ。友達同士で来ている小学生、浴衣姿で手を繋いで歩いているカップル、わたしの妹くらいの子が、両親と思しき人にわたあめを買ってもらって、嬉しそうに笑ってたり。すぐ横で小さな悲鳴が聞こえたと思ったら、高校生くらいの男の人がたまごせんべいを地面に落としていた。それを周りの友達らしき人がはやし立てて笑っている。それぞれの人の声が、高い声が、低い声が、合わさって、飽和して、溢れる。お祭りだなあ、と思った。


「あれ、野々村さん?」


聞いたことのある声がした。数歩ほど離れた位置に、同じクラスの、体育館で話した……また、保健室で手当をしてもらった、例の彼女が立っている。たたたっとこちらに駆けてきて、野々村さん来てたんだ、とわたしの横に座った。ふわりと香水のような甘い香りが鼻腔をくすぐった。


淡い水色の浴衣を身にまとって、髪の毛も器用に編み込んでいる。浴衣の色に合わせた花の髪留めが、黒髪に映えていた。気合いが入ってるなあ。


何かあったのだろうか、最後に会った時とは見違えるような、明るい表情をしていた。


「野々村さんは誰と来たの?」


「おね……えっと、近所の、仲良い年下の子とです」


「へー、そうなんだ。私は友達と来てるんだ」


「え、友達って。仲直り、したんですか」


彼女は笑い飛ばして、首を振った。


「ううん。別の子だよ。あの子たちとはもう仲良くしない」


「そうなんですか」


「うん。今は、その子が食べ物買ってきてくれてて、待ってるの。野々村さんも?」


「はい」


そっか、と晴れた顔で頷いて、彼女は後ろの地面に手をついて、ぐわっと天を仰いだ。


「あーっ、でも本当は彼氏と来たかったなあ」


「へ、へえ」


「野々村さんは、彼氏と来ると思ってた」


彼女はそう言って、後ろに手をついて体重を乗せたまま、どこか探るような目でわたしを見てきた。


わたしは考えるより先に、反射で口が動いていた。


「彼氏、いませんから」


そっか、と答えて、彼女は思ったよりすんなりと納得したようだった。


「野々村さん可愛いのにね」


お姉さんは確かにすごく可愛いですが彼氏はいません!


彼女はふう、と息をついて元の体勢に戻ったあと、なぜか神妙な顔でわたしを見た。


「野々村さんにはね、ほんと感謝してるんだ」


「な、なんでですか」


「愚痴、聞いてもらったでしょ。あれで言いたいこととか吐き出せて、大分すっきりしたんだ。ほんと救われた。だから」


「そう、なんですか」


「うん、だから二学期からは授業にも出られると思う」


「それなら、良かったですが」


彼女は、ふと、懐かしむような顔でわたしに言った。


「野々村さん、結構印象変わったよね」


「そうですか?」


「うん。めちゃくちゃ変わったよ。なんか前はもっと、こう、なんて言うんだろうな。掴みどころがなかったって言うか。私は、今の野々村さんの方が接しやすいかも」


「接しやすい?」


「うん。なんか可愛いっていうか。子供っぽいって言うか。いい意味でね」


「子供っぽい……」


「いい意味でだよ?」


彼女は笑いながら、念を押した。


「野々村さんにはなんでも話せちゃうっていうか」


反応の仕方が分からず、そうですか、と返した。


「あ、買えたみたい」


彼女の声に、屋台の方を見ると、彼女の友達と思しき浴衣を着た女の子が、焼きそばを持って手を振っている。


「じゃあね、野々村さん」


「はい。また」


「二学期には、文化祭もあるから」


「はい」


「一緒に、頑張ろうね」


「……はい」


彼女は、友達の方へ駆けていった。


入れ替わるように、お姉さんが唐揚げを両手に持ってこちらに歩いてくる。


「ありがとうございます」


紙のケースに入れられてある唐揚げは、受け取ると手のひらに熱が伝わってきた。ケースには、店名のロゴが書かれてある。各地で出店している、名の知れた店のもののようだ。改めて屋台を見ると、他に比べて並んでいる人も多い。


爪楊枝でひとつ齧ってみる。肉汁が口の中に溢れて、噛むとほろ、と柔らかく溶けるようだ。お、美味しい。


「おいしー?」


隣に座ったお姉さんが、わたしを覗き込む。


「こ、これ、おいひーです!」


「へー……、あ、ほんとだ、おいしい!」


お姉さんも一口食べて、思わず声を上げた。


隣のベンチに座っているカップルも、同じものを買ったようで、彼女の方が爪楊枝を唐揚げにさして、自分の口に持っていくかと思えば、手が伸びていくのは、え、彼氏の口?あーん、と猫撫で声で言いながら彼女は彼氏の口に唐揚げを押し込んだ。彼氏はおいし~と恍惚の表情だ。


わたしとしては、む、負けてられないぞ、という気持ちだ。雄々しく、勇ましく、爪楊枝にさした唐揚げを持って、お姉さんに向き直る。お姉さん、と声をかけて。


「あ、ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぅ」


果たして、お姉さんは、はて、という表情でぽかんとしていた。わたしはただ、唐揚げを手に1人で呻いただけであった。


叫び出したくなる。お姉さんの顔を見ると途端に恥ずかしくなって、最後の方、なんか発音できてなくて、それでこうなって。何かに向かって心の中で解説を始めてしまう。お姉さんは困ったようにあはー、と笑っている。隣のカップルはなんかまたいちゃいちゃしている!


「あの、えっと、あ、わたしの、唐揚げ。一個、あげます。あ、いえ、その、お金、払ってもらって、ますし」


目を背けながらのしどろもどろの弁解に、お姉さんは、あー、と納得したように頷いた。


「なるほど?うん、ありがと」


ひょいと身を寄せて、わたしの差し出した唐揚げにパクついた。な、なんとか成功しましたたぶん。隣のカップルを見ると、イチャつくのをやめて、わたしたちに微笑ましいなあ、なんて感じの温かい目を向けている。そうか、傍から見ると小学生に食べさせてあげている高校生って図なんだ。じゃ、じゃあそんなに恥ずかしくない、かも?


唐揚げを食べ終わって、屋台を回っていると、わたしはふりふりポテトなるものに心を奪われた。買った人は紙袋を勢いよく上下に振って、なんか楽しそう。あれで粉を混ぜるんだ。


お姉さんに言うと、


「私は買わないから、紗奈ちゃん好きなの買っといで」


と、五百円玉を渡してくれた。なんかお母さんみたい。


「それにしても、紗奈ちゃんってお子様ランチみたいなの、好きだよね」


とも言っていた。いいじゃないですか、美味しいんですから。


迷った末に、味はバーベキューを選んだ。ポテトの入った袋を受け取ってお姉さんの所に戻ろうとした時、思わず足が止まった。


お姉さんは誰かと話していた。誰か、というのは少し近づくと直ぐにわかった。小学校のクラスメイトだ。わたしの後ろの席に座っていた子。わたしはちょっと、苦手だった子。


彼女は、オフショルダーの丈の短いトップスにダメージジーンズを合わせていた。おしゃれで、華やかで、大人っぽい格好してる。


わたしが屋台の前で動けないでいると、彼女はこちらに近づいてきた。無意識に身を硬くしていると、そのままわたしを横切って、わたしの背後のふりふりポテトの屋台に向かっていった。


ああ、そうか。わたしがわたしだと、分からないんだ。ほっとした気持ちと、一抹の寂しさと、ごちゃ混ぜになった感情が渦巻く。


「おじちゃーん、ふりふりポテト、コンソメ味ひとつちょうだーい」


どうやら屋台の人とは顔見知りの相手らしい。顔の広い子だ。


「おっよく来たね。いいカッコしてんじゃーん。特別にちょっと増量しちゃうね~」


え!?増量!?なんでなんでなんでずるいずるいずるい。


「オフショル着たら増量てどういうことですかぁ!」


お姉さんに訴えると、呆れたような顔でわたしを見た。


「んなもん、私に言われても」


ずるいぃぃぃ、とポテトを力任せにふりふりふりふりふりふりふりふり。


「あれ、その人がさっき言ってたお姉さん?」


振り向くと、ポテトの袋を持った彼女がわたしを見ていた。ぎゅっと自分の身体が固まるのが分かる。ポテトをフリフリするのも思わず止まるくらい。ほんの一か月前まで同じ教室にいた同級生に、どんな反応すればいいんだろう。


「ああ、うん。そうだよ」


お姉さんはというと、なんだかすごく平然と彼女とお話している。な、なんで。その子と仲いいの。わたしよりポテト多く貰ってるその子と仲いいの!?


「へー。紗奈ちゃんのお姉さん、ポテト何味買ったんですか?」


「……バーベキュー、です」


思ったより露骨に拗ねたような声が出てしまい、気まずくて目をそらす。


「私、コンソメです!あの、良かったら私のちょっと食べません?多く貰っちゃったんで、手伝って貰いたいです!」


彼女は、わたしの態度は特に気にとめなかったようで、にこやかにポテトの袋をわたしに差し出した。


「え……。いいの?」


「はい!どうぞ!」


せっかくなのでちょっと貰う。口に入れると、コンソメの香りが広がった。美味しいじゃないですか。


「あの、わたしのも、食べる……?」


わたしの中の、彼女に対する黒っぽい感情が後ろめたくなって、手に持ったポテトの袋をおずおずと彼女に向けた。バーベキュー、です。


「いいんですか~!じゃあお言葉に甘えます!」


ポテトを二本ほど、パクッと口に入れると、頬に手をついて、ん~、と高い声を漏らした。


「美味しいです!」


「そ、それは良かっ、た」


お姉さんには、じゃーまた二学期にねー、と手を振り、わたしには、ポテトありがとーございましたー、と声を張って、彼女は公園の方に走っていった。友達と待ち合わせをしているらしい。


残ったわたし達は、ちょうど背後にあった道の端の段差に腰掛けて、ちびちびとポテトを食べ始めた。


「お姉さん、あの子と仲良くなったんですか」


お姉さんはんー、と誤魔化すように苦笑した。


「まあ、ね。話せるくらいの仲にはなった、かな」


「そう、ですか」


わたしは、と言いかけてちょっと言葉を切る。わたしは。迷うわたしを振り切るように口が勝手に動いた。


「わたしは、あんまり仲良くなかったです」


「……うん、そうかもね」


「わたしに、あんな風に笑いかける子じゃ無かった」


なのに。


「さっきのあの子、いい子だなって思いました。でも、わたしずっと、あの子あんまりいい子じゃないなって思ってました」


お姉さんは膝に肘をついてぼうっと行き交う人を見ていた。


「仲良くなったら、いい子になるんですか。わたしは、あの子のこと、勘違いしてたんでしょうか。どうでしょうか。間違ってたんでしょうか」


「んー……うん?うん……んー」


お姉さんはなんか変な声を出し始めた。


「どうしました?」


いやなんか、とお姉さんは自嘲気味に話し始めた。


「年上っぽくいいこと言おうと思ったけど、なんも思いつかなかった。うーん、なんか分かるけど、分かんないや、なんて言ったらいいのか」


ごめんよぉ、と言ってお姉さんはポテトをちょっとつまんだ。


「ん、これ美味いね」


「はい、おいしいです。とても」


あ、そうだ、とお姉さんが、思い出したように声を上げ、トートバッグをゴソゴソし始めた。何か薄べったいものを取り出したと思うと、


「これ、あげるよ。プレゼント」


わたしに差し出したのは、スマホケースだった。淡い色のラメが散りばめられてて、宝石みたいで、これって。


「お姉さんの?」


「うん、私のとお揃いだよ」


お姉さんが、持っているお姉さんのスマホを、ケースを見せるように掲げた。


「紗奈ちゃん、スマホ割れたままケースつけてなかったでしょ?だから、」


スマホケースとか、プレゼントにいいんじゃないかなって。お姉さんの言葉で、自分でも驚くほど感情が昂る。覚えてくれてたんだ。見ててくれてたんだ。


「で、でも、もうレースのリボン、貰ってます」


お姉さんはちょっと苦笑した。


「あー、それはまあ、いいよ。日々の感謝のしるし、的な感じです」


「そ、そうなんですね!」


わたしは早速、貰ったスマホケースをつけてみる。薄っぺらかったスマホに、厚みができる。キラキラで、なんか大人で。自慢するようにお姉さん見せた。へへ。


「お姉さん、ありがとうございます。一生の宝です」


「そんなに?」


「そんなにです」


わたしは空を見上げた。さっきより、ちょっとだけ太陽が傾いたかもしれない。雲は見当たらなかった。快晴だ。地上の人々の群れも、喧騒も嘘みたいに空は広い。広い。高層ビルも観光タワーもないこの町の空はすごく広い。


それから、わたし達は、というか主にわたしは、たこ焼きを食べ、じゃがバターを食べ、りんご飴を食べ、チョコバナナを食べてから金魚すくいをした。


「お姉さん、意外と少食ですよね」


「紗奈ちゃんの胃がおかしいんだよ……」


横でポイを持って金魚と格闘しているお姉さんが、げんなりした顔で言った。水に濡れたポイに追われた金魚が、スイ、と器用に逃げていく。


「知ってます?金魚って、何もしなくても人間の方に寄ってくるんですよ」


「へー、そりゃなんで」


「金魚は影の方に寄ってくるんです。だから、」


身を乗り出して、自分の影を水面に作るんです。ちまっとした赤い金魚が、示し合わせたようにわたしの前に集まって水面を赤く染める。おそらく小赤、だろう。水中を縦横無尽に泳ぎ回る彼らは一匹一匹は無個性で判別がつかない。


一匹だけ、黒い金魚がいることに気づいた。いつかの国語の授業で読んだとあるお話を彷彿とさせる。どうも目立つものだから、すくってやろうと狙いを定めるが、反対側にいるそいつは水面に写したわたしの影に寄ってくる気配がない。頑固なやつだ。


金魚すくいのコツは、ポイを斜めに入れること。金魚を追いかけないこと。金魚の頭からすくうこと……。でも結局、わたしは一匹もすくえなかった。


お姉さんは赤い金魚を一匹すくえたようだった。ビニールの巾着に、水とともにすくった金魚は入れられた。水槽に比べ遥かに小さいその空間で、金魚は特に不満も漏らさず、めいっぱい尾ひれを動かして泳いでいる。


金魚すくいの屋台を後にして、けれどわたしは一度水槽をちらりと振り返った。あの黒い金魚はいつか誰かにすくわれるのだろうか。巾着の中に入れられる黒い金魚を思い浮かべる。すくわれることが得てしてすくいかどうかは分からないけど、黒いあの子は水槽にいた方が、こう、全体的にアクセントになる、気がする。絵面的にね。


「紗奈ちゃん、この金魚いる?」


お姉さんが、わたしに見せるように金魚を掲げた。


「いいんですか?でも、お姉さんがすくった子じゃ」


お姉さんは首を振った。


「世話とかめんどいし。もちろん、紗奈ちゃんがいらなかったら責任もって飼うつもりだけど」


「わたし、飼いたいです!いい、ですか?」


もちろん、と頷いてお姉さんは巾着をわたしに渡した。受け取ると、水がたぷんと揺れる振動が手に伝わった。意外と重いそれに途端に愛着が湧いてくる。これが命の重さというやつでしょうか。それともただ単に水が重いだけかしら。


「たしか、うちの押し入れに水槽あったはずだから。詳しいことは母親に聞いて。何年か前、うちで金魚飼ってたことあるから、多分色々残ってると思う」


「はい!分かりました!」


「わかんないこととかあったら、連絡してね」


「はい!」


じゃあそろそろ帰ろうか、とお姉さんが言った。淡い青に染まっていた空は、いつの間にか暖色のグラデーションに彩られている。西の空に浮かぶ薄い雲の隙間から、灯火のような光が差し込んでいた。


わたしはこくりと頷いて、お姉さんと共に歩き始めた。まだ賑わいの残る屋台の横を、少しばかりの寂寥感を抱えて進む。手に持った金魚の泳ぐ巾着を、目の前に透かしてみた。視界がビニールでぼやける。歪んだ人混みの中を、金魚が泳いでいる。笑ってる人、誰かと盛り上がってる人、何か食べてる人、歩いてる人、立ち止まってる人、走ってる人……。ふと、周りの全てが遠くなって、わたし以外の全員が、わたしと違う世界を生きているような感覚に襲われる。目の前のおじちゃんも、浴衣着た女の人も、親におぶわれてる赤ちゃんも、わたしの横を歩くお姉さんでさえも。わたしの周りに薄い膜が張られたようだ。なんの膜だろう。世界の膜かな。


その膜をどうしても破りたくなって、急いで金魚の巾着を逆の手に持ち替えて、お姉さんの手を握った。お姉さんは、ふぇ、と一瞬不思議な声を出したあと、なにかに納得したように、何も言わずにわたしの手を握り返した。


膜が破れたかどうかは分からなかったけど、でもお姉さんの手は熱くて、わたしの手はきっともっと熱くて、それでいいやと思った。唯一わたし以外に、いや、わたし以上に確かなものだと感じたから。それが嬉しかったから。


「じゃあね」


お互いの部屋の前で別れる寸前、わたしは意を決して声を張った。


「花火、一緒に見ませんか」


お姉さんは、分かっていたように柔和に笑った。


「うん、見よう」


その言葉で心臓がぎゅん、と熱くなる。


「八時半、からです。あの、階段の踊り場から、見られると思います。だから、」


「うん、そこで待ち合わせね」


はい。わたしは深く頷いた。階段の踊り場。わたし達はそれだけで通じ合える。きっと、わたしだけじゃない、と思いたい。


夕飯を済ませて、花火が始まる十分ほど前。わたしは約束していた階段の踊り場で、お姉さんを待っていた。花火は城跡の近くの公園内で打ち上げられる。ここからでも充分綺麗に見られるはずだ。


わたしがいつも通学に使っていた池沿いの道は、花火を見に来た人でひしめき合っている。踏切が鳴ったと思えば、駅に着いた電車から浴衣を着た人々が吐き出されるのがここからでも分かった。


「よっ」


階段を登ってきたお姉さんが、右手を上げた。わたしはてっきり上の階から降りてくるものとばかり思っていたので、予想外の方向からの声に驚く。


「お姉さん、どこか行ってたんですか?」


「うん、まあね」


お姉さんは、左手に持っていたビニール袋の中をごそごそやり、何かを出した。


「これ食べながら見ようよ」


お姉さんの右手には、アイスクリームが握られていた。


「アイス、買ってきてたんですか」


「うん、二人分買ってきたよ」


「ありがとうございます。でも、」


始まる前に溶けちゃうかも。そう言いながら、わたしは、バニラの棒アイスを受け取った。


「先食べちゃおうか」


お姉さんはアイスを包んだビニールをペリっと剥がし、はむっと先端を咥えた。わたしもならって同じようにする。冷たくて、優しい味が広がった。


「金魚、大丈夫だった?」


お姉さんが聞いた。


「はい。水槽も見つかりました。今、玄関で泳いでますよ」


「そっか。それはよかった」


「あの、名前」


「名前?」


「名前、決めたんです。金魚の」


「金魚に、名前。……へえ、どんな」


「ニジュウイチです」


「うん?」


「ニジュウイチ」


「……うん?」


「ニジュウ」


「あ、いや、それは分かったけど」


「とぅうぇんてぃわんのニジュウイチです」


「えっと。それは……明日の日付、だね」


「そうですね」


「紗奈ちゃんってネーミングセンス独特よね」


「そうですか?金魚に出会った今日この日を、忘れない、という……」


「それならニジュウでいいんじゃない?」


「そんな感じのアイドルグループ、いるじゃないですか」


「あ、被っちゃダメなんだ……」


「明日への希望、という意味を込めたんですよ」


「へーえ……?」


「ほんとですよ?」


「そっかあ」


「……もう、だいぶ経ちますよね」


「ん?金魚?」


「いえ、わたし達が入れ替わってから」


「そうだねー。この場所だったね」


「はい、この場所でした」


「意外と小学校楽しかったよ、ほんとにね」


「それは、良かったです」


「紗奈ちゃんは、どーさ?」


「わたしは……分からないですね」


「分からないかー」


「はい。分からないです。小学校に行かなくなって、いろんなこと、さらに分からなくなりました。でも、」


「でも?」


「今日、何となく分かりました」


「……ほう」


「分からないってこと、分かったんです。色んなこと、ほんとに色んなことが分からないんだなって、思いました」


「それは発見だ」


「はい。発見です」


「じゃあ、逆に分かること、ある?」


「……それは、秘密です」


「そっかー。まあそうかもね」


「そうかも、です」


「でも、私はさあ、……あの、さ」


「はい」


「もし、これから元に戻ることがあったとしてもさあ、」


「……はい」


「ずっと、仲良くしてようね」


「え?」


「私、紗奈ちゃんのこと好きだからさ」


空気が、震えた。


わー綺麗、と漏らしたお姉さんの声で、初めて花火が打ち上がったことに気づく。


花開いた後の火の粉が、流星のように軌道を描いて夜空に降り注いでいた。


時を待たず、もう一回。


小さな星が天へと昇って、深い深い孤独な暗闇で爆散した。四方八方に光を撒き散らして、爆ぜた。町中に破裂音のような重い音が響いて、腹の底が揺れる。花火が星の死骸なら、遅れて届くのは断末魔か。ああ、でも。


「綺麗……」


わたしの言葉に、お姉さんが頷いた。


「あの、お姉さん」


「ん?」


「わたしも、お姉さんのこと、」


好きです。


わたしの声は、ちょうど打ち上がった花火の音にかき消されてしまった。でも、それでいい。だってそうなるように合わせたんだもの。ベタだとは思うけど、そういうのわたし結構好きだし。


お姉さんは無邪気に、にっこり笑った。


「えーほんと?うれしいなあ。具体的にどんなとこが?」


「ん?」


「え?」


「え、お姉さん……」


「あ、ちなみに私は紗奈ちゃんの性格とかすごい好きだよ?」


「え……」


顔が火照るのがわかる。なんかもう、涙が滲んでくる、恥ずかしくて。わたし、恥ずかし泣きなんて生まれて初めて。


「え、ど、どした?」


「……なんでもありません!」


わたしの絶叫とともに、また夜空に花が咲いた。


七月二十日。角谷紗奈、十二歳。


未来のことなんて考えられないけど、でもいつかどうにかなりますようにと花火に願いながら、残ったアイスにかぶりついた。

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