表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

決闘


無職の可能性。

それは、とにかく他職と絡む事で発見出来る。



「すんません無職とどうでしょうか」

「……は? いや良いです」


「無職ですけどパーティー……」

「ムリ」


「……無職」

「(無視して去っていく)」



と思って一時間が経過。

さっきの彼女が世間知らず(クソ失礼)だったのか、ただの興味本位か。


それなら、そんな世間知らずか興味本位のプレイヤーに当たるまで繰り返すのみ。





《ヒロ LEVEL10 剣士》



「無職だけどパーティ組まない?」

「あ?」



おめでとう!


恐らくコレで……君が丁度百回目のお誘いだ。

何もプレゼント出来ないけど。



「ハハハッ! やだよバーカ」

「……そっか。 邪魔したな」



ゲスた笑いで拒否する彼。

もう慣れちゃったよ断られるの。


次行こう次。

俺……もしかしてキャッチの才能ある?


次のバイト決まったな(無職)。

安い店知ってますよ!



「無職とかマジでアホなんじゃねーの?」



と思ったらその声が響く。

だが、ここまで突っ掛かれるのは初めてだ。



「一体どこが阿呆だって?」

「ハハハ! さっきからバカみてーにお前がフラれてんの知ってんだよ!」

「でっていう(死語)」

「あ?」



イカつい顔がすぐそこまで。

野郎が至近距離に来ても何も嬉しくない。


良い店知ってますよ!



「無職の何処が“阿呆”なのか、もっと納得出来るように言ってもらえる?」

「チッ……この街で誰も就いてねぇのが何よりの証拠だろうが」

「で? もっと頂戴、もっともっと」

「……攻略じゃスキルもゴミ、武器も何も持てねぇカス扱いだろ――」


「――じゃあ」


そろそろ良いだろう。

俺は、彼の言葉を遮ってこう言う。



「お前、そんな“無職”に負ける訳ないよな?」

「……は?」



呆気に取られたヒロの顔。

スクショに撮ってやりたいが――ぐっと我慢し彼に告げる。



「決闘しよう、剣士さん」

「……は?」

「どっちが“下”か、分からせてやるよ」

「んだと――」



始まりの街、そんな宣戦布告。

『決闘』――その名の通り、PVPだ。



「なあ皆! コイツが言った事聞こえたー?」



街中。

俺は、周りのプレイヤー達にそう叫んだ。



――「何だ?」「また誰か騒いでるぞ」「ってあの職業見てみろよ!」――




「――剣士様だったら、無職なんて余裕だってよ!」

「てっ、テメェ黙れ――」

「今から俺達決闘するんで!」




――「え? あれマジ?」「剣士と無職ってどんな組み合わせだよ」――




俺達の周り、空気が変わっていく。

ああ――狙い通り。




「なあ、受けてくれるよな?」

「……ッ」



この大衆の面前――彼が逃げるとは思えない。



「勿論決闘には賭け(ベット)が必要不可欠」

「次は何――」

「敗者は勝者にインベントリ内の全てを明け渡す」

「はぁ!?」



『決闘』。

このLFにおいて、それはかなり滅茶苦茶だ。

何が滅茶苦茶かと言うと、その“ベット対象”による。


所持金は全額賭け可能。

そしてもちろん、アイテムも。

課金アイテムですらベット対象。


決闘を重ねていくと、『経験値』やNPCの『好感度』すら賭けの対象に出来るようになるらしい。

滅茶苦茶である。

でも、俺好みだ。



「もう一度言うぞ。受けてくれるよな?」






「ッ。ざけんなよテメェ」

「俺は至極真面目だが」



気付けば周囲にはプレイヤーが集っている。

そりゃそうだ。

超絶レア職(ものは言い様)の無職と、剣士様が決闘を始めようとしているんだから。


「インベントリの中身全部って――そんなもんテメェの方が確実に得じゃねぇか」

「いや、お前は無職になら“確実”に勝てるんだろ?」


「ッ!」


――「おい剣士チキッてんじゃねーぞ~」「無職相手にびびってんのか?」――


周りの聴衆も味方になった。

あと一押し。



「……メニュー。ショップ」



《クレジット決済を完了》

《アバターチケット:10000円分を購入しました!》



「っと、ほら。勝てたらコレはお前のもんだ」

「!?」



手に示すは、一万円分の課金チケット。

コイツが富豪なら価値無しだが――



「――はっ、ハハッ!! そんなもん無くてもやってやるよォ雑魚が!」


「良いね。それじゃ早速――」



その声とは真逆に、目がチケットに吸い寄せられている。

素直な子は嫌いじゃないわ!



《ヒロ様に決闘を申し込みました》

《決闘時間:無制限》

《賭け対象:全アイテム》

《観戦不可》



「行こうか、決闘場へ」



《決闘申請が受諾されました》

《決闘場へ移動します》

《決闘は30秒後に開始します》



そこは、いかにもな決闘場。

古代のコロッセオさながら――観客席に包まれた砂の地面が広がっている。


そしてそこに立つのは、たった二人。


無職()と剣士。



「ハハハ! 観戦不可って負けんのが恥ずかしいのか?」

「俺の優しさだよ、バーカ」


「……あ?」

「“無職”にあっけなく負ける所なんて、見られたら一生の恥だろ」


「テメェ……!」

「こわっ」



《決闘を開始します》



鳴り響く、そのアナウンス。

楽しいPvPの始まりだ。





【職業説明:剣士】

スキルによりSTR、AGI、VITに追加ステータスが掛かる。

近接武器である長剣、片手剣を装備可能。

攻撃防御バランスの取れた、FLでの人気職。


代表スキルなど


《アタックハート》

STR・AGI・VITが増加するバフスキル。


《長剣スキル》

長剣を扱えるようなるスキル。

また、以下の武技を扱えるようになる。

レベルの上昇により武技は増えていく。



『スラッシュ』

対象に長剣を振り回し、ダメージを与える。

隙が少なく扱いやすい。


『パワーブレイク』

対象に長剣を叩きつけ、大ダメージを与える。

隙は大きく使用には注意が必要。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] とても続きが気になる! [一言] エタらないことを期待しています! 自分のペースで頑張ってください!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ