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寄生スキル





《始まりの街にログインしました!》



――「おい見ろよアレ!」「無職が居る」「無職が居るぞ」――



降り立った瞬間コレである。

こういう時、普通は周りのフルダイヴの景色に感動するところなんだが。


周囲の目線が突き刺さってます。

これが――“特別”――って奴か。



「――なぁアンタ、スクショ良い?」

「!? い、良いよ」



人気者は辛い。

これが特別か……。


無職サイコー!



「あ、アタシも!」

「どうぞどうぞ」



掛かる声。当然快諾。

パシャパシャ。

おいおい人生で一番輝いてるんじゃない?




「写真――」

「いやもう勘弁して下さい……」



逃げる様に人目から外れた場所へ。

雑貨屋の裏である。


「はぁ……」


ようやく息を付けた。


ゲームさせて!!

さっきからスクショばっかりなんだけど。


というか、恐らく隠し撮りしてる奴らも居るし。どんだけだよ無職。



「……『ステータス』」



そうだスキルを見よう。

このFL、豊富なスキルが職業別にある。

いや無職のスキルって何だよ。


プレイヤー名:サトウ

職業:無職


LEVEL1


HP:1000

MP:100


STR(筋力値):5

INT(知力値):5

DEX(器用値):5

AGI(敏捷値):5

VIT(体力値):5

MND(精神値):5


ステータスポイント:残り0ポイント

罪ポイント:【0】


skill:

寄生LEVEL1  


装備 :なし

所持品:HPポーション(小) MPポーション(小)

所持金:10000G


取得称号一覧



《スキル説明:寄生》


無職専用スキル。

モンスターなど、あらゆる対象に発動可能。

状態異常『寄生』を対象に付与し、対象のスキルを一時的に使用出来る。

対象によって、付加効果が付くこともある。

スキルレベルによって、寄生時に使用できるスキルが変化する。






「えぇ……」


ふざけてんのかコレ?

寄生って、まんま無職じゃないか(憤怒)。


……とりあえず試してから考えよう。

もしかしたらクソ強いかもしれないし。



「まずは武器だな」






とりあえず歩いて、ハゲ頭の上にその表示があるのを確認。

流石フルダイヴ。このテカリっぷりも現実まんま。


《始まりの武具店》


『やぁ。武器を見ていくかい?』

「見ていくます」




ナイフ

120G

※職業制限により装備不可



ロングソード

120G

※職業制限により装備不可



ソード

120G

※職業制限により装備不可



アックス

120G

※職業制限により装備不可



ロッド

120G

※職業制限により装備不可


ハンマー

120G

※職業制限により装備不可




「……はぁ?」



どうやら無職に武器は使えない様だ(絶望)。そりゃそうだ、危ないもんね。

現実でも同じだ。というか犯罪。


……いやいや。

そんなとこまで忠実に再現しなくて良いって!


え、どうすんのコレ?

素手? 無職が素手喧嘩かよ?

もっとやばい奴じゃねーか!



「ああああああああ!!」



――「無職が叫んでる」「すげーRP」「どうせすぐ辞めるだろ」――



聞こえてくる声。

とりあえず、使えないけど買っておこう。

なんかこう、投げたりして使えるかもしれないし? ナイフとかね。



《ナイフを購入しました!》

《ロングソードを購入しました!》

《アックスを購入しました!》

《ソードを購入しました!》

《ロッドを購入しました!》



「……はぁ」



使えない武器を購入完了。

意味あるのかなこれ。何て考えてはならない。だって買うもの他にないし。

万を持していざ、戦闘エリアへ!




《スライム LEVEL1》


「はぁ、はぁ……」



草原っぽいエリアに出て、現れたのは青色のゼリー。

とりあえず普通に戦ってみた。

5分ほど殴る蹴るの暴行をスライムに浴びせた結果、ようやく半分ほど減りました。


……周りは一瞬で倒している風景を、うらやましげに見ながらね。



『ピギ』

「あぁ……」



もう疲れた。

……なんて。

ここからが無職の見せ所よ!



「『寄生(パラサイト)』」



そう唱え、スキル発動。

対象は勿論目の前のスライム。


発動と同時に――スライムに灰色のオーラの様なものが現れる。



《スライム LEVEL1 状態異常:寄生状態》


『ギ……』



めっちゃ嫌そうな顔するじゃん……。

そりゃ寄生されてるもんな。



『ギィ――!』

「!?」



いや、コレバグってない?

なんかさっきよりスライム、動き良いんだけど?


間違いなくこれ怒ってるわ!



「ぐぁ……!」

『ギ』


「ッ――」



何とか追撃は跳んで避けて。


目が“本気”になっているスライムに対峙。

……いや、これじゃタダのバフ――



《スライムの寄生段階が上昇しました》

《スキル:スライムタックルを取得》



「は?」

『ギ……』


「ッと――!!」



と思ったら、鳴るアナウンス。

スライムの動きは変わらないが、何か手に入った。


……こういうのは、とにかく叫んで試すに限る!



「『スライムタックル』!!」

『ギ!?』



刹那、身体に働くモーション。

前向きに慣性が行き、そのジェル状の身体に追突!


『ギィ……』

「めっちゃ減ってる」


さっきまでの無職パンチ(俺命名)は、せいぜい5%しかスライムのHPを削らなかった。


だがこのスライムタックルはどうだ?

なんと30%!

おいおい桁が違うぞ。


『ギ!』

「ッ、『スライムタックル』!」


「ギ……」


《経験値を取得しました》

《寄生対象が居なくなった為、『スライムタックル』スキルが消去されます》


「……消えるのかよ」


まあ良い、分かってきた。

この無職の使い方が。

とにかく『寄生』しろって事ね!



「ギ……」


《経験値を取得しました》

《寄生対象が居なくなった為、『スライムタックル』スキルが消去されます》


《経験値を取得しました》

《寄生対象が居なくなった為、『スライムタックル』スキルが消去されます》


《経験値を取得しました》

《寄生対象が居なくなった為、『スライムタックル』スキルが消去されます》




「……いやいや」



アレからスライムタックルをぶちかまして、スライムを倒す事早一時間。

レベルは早くも3になったが。


気付いてしまった事がある。

この職業、完全に相手依存じゃない?


もし寄生スキルが効かない相手とか居たら詰み。

しかも効いたとして、スライム相手じゃ『スライムタックル』のみしか使えない。


……周りの剣士とか魔法士とか、ソロでも凄い勢いでモンスター狩ってるし。


対して無職の俺は、寄生してスライムタックルを繰り返すのみ。

そして倒したら失って終わり。



「……この先大丈夫なのかな」



無職のままだったら。

いつか何も出来ないまま、無職パンチを繰り返すだけのカスにならないか?


というか、せっかく寄生スキルで相手のスキル? を奪っても倒したら消えるし。


成長した感じがない。

この先、未来への不安が生まれてくる。


……あ、あれ?

俺、無職のままで良いのかな……?



「現実と同じとか笑えねーよ」



ふざけんな。

なんでこんな気分にならなきゃならないんだ。このゲームの製作者は天才か?


「……」


ああ。


でも。

なんか、燃えてきたな。


「無職上等!」


呟いて、スライムに立ち向かう。

先行き不安、それでも良い。


どうせ今の俺はゼロ以下のマイナス。

それなら――這い上がってやる。



この職業(無職)と共に。



《スライム LEVEL1》


「『寄生』」

『ギ……』


さあ、楽しいレベル上げの時間だ。

現実と仮想世界の俺がリンクしていくのを感じながら、俺は戦っていき――





《レベルが上がりました! 任意のステータスにポイントを振って下さい》

《『職業訓練』スキルを取得しました》



その、新たなスキルを手に入れた。


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