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近衛の姫、信長の妻  作者: 御幸
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1. 決意

初執筆ですので、温かい目でご覧いただければ幸いです。

歴史ものの逆行転生小説が好きで、自分でも書いてみようと挑戦中です。

天文十一年(1542) 七月 山城国葛野郡 近衛邸


「おぎゃあ、おぎゃあ」

夏の日差しが照りつける中、赤子の泣き声が近衛邸に響いた。

「おめでとうございます。元気な姫でございます。」

「ほんに可愛らしいのう。慶子にそっくりの美人じゃ。」

「まあ。面立ちは稙家様にそっくりです。」


天文十四年(1545) 八月 山城国葛野郡 近衛邸


「姫様、お待ちください。姫様、危のうございます。」

「大丈夫よ。書庫に行きたいだけ。」

とてとてと走る様は愛らしい。

だが、侍女の幸は、姫がいつ転ぶやもとヒヤヒヤしながら跡を追いかけていた。

三歳程の女児ー真紅の華やかな着物に、絹糸のような艶のある黒髪が映えている。

夏の日差しを浴びて煌めく黒曜石のような瞳、走ったせいか上気する薔薇色の頬。

幼いながらも将来の美貌が約束されたような容貌の姫。

近衛孝子ー五摂家筆頭の近衛家に生まれた名門貴族の姫である。


はてさて、この孝子には誰にも言えない秘密があった。

孝子には今から数百年後の令和の時代を生きた記憶がある。

その世界で自分はごく普通のありふれたOLで、毎日変わり映えのない日々を送っていた。

特に何かに懸命になるわけでも夢中になるわけでもなく、ただ漠然と、昨日と今日が入れ替わったとしても気づかないような平淡な日々を過ごしていた。


初めは自分の置かれた状況が理解できなかった。何度も夢ではないかと疑った。

だが、何度寝て起きても、見えるのは古びた木造の天井であるし、隙間風の通る障子を開ければ、うら寂れた日本庭園が見えた。

自分は姫と呼ばれ、なんと五摂家の近衛家の直系だという。

信じられない心地のまま、三年が過ぎた。


幼き身でできることは限られる。

だが、せっかく得た二度目の人生を、今度は懸命に夢中に生きてみたい。

戦国時代という未発達な社会では、数百年後の未来の知識はきっと役立つ。

二十数年生きた前世の記憶をもとに今から努力すれば、命が軽い戦国時代でも生き残る確率が上がるだろう。

そう、受け入れた。


それから孝子の挑戦が始まった。



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