魔法少女はみんなの夢だけど、魔法使いにはなりたくないよね。30までには卒業したいよね。
「ということで全然気にしなくていいですよ。別に前の世界への未練とかも特にないですし」
嘘です。好きなゲームの続編めっちゃやりたかったし、もうド○ペが飲めないというのはぶっちゃけめっちゃきつい。あ〜、もう食えないとなると急に食べたくなってくるなぁグ○コロ。ど○兵衛とか何とかして召喚できないかなぁ。お金ない時にはまさに英雄だと思うんだけどなぁど○兵衛。
まぁでもさすがにこのタイミングでクロリードさんを責めるのはさすがに出来ないしな。友達や彼女とかも特に……特に………いないし………
「タ、タカトシくん?大丈夫かい?顔色が悪いけど……」
「いえ!大丈夫です……」
何か嫌な思い出が頭によぎったが忘れよう。
「さて、とりあえずこれからどうしようか。タカトシくんは当然行く先がないだろうから……1度うちの家に来るかい?君がこの国で生きていけるように最大限協力しよう。もちろん君の家族探しにも協力する。」
「クロリードさん……!ありがとうございます。助かります。でもクロリードさんはいいんですか?何かを求めてアーツドペファに来てたんじゃないんですか?」
クロリードさんもなにか目的があって来たんだろう。それを中断させてしまっていいものか。
「……正直もう少しここを探らせて欲しい。家に帰るには少なくとも片道2日はかかるからね。それにタイムリミットも近い……」
「タイムリミット……ですか?」
「いや、すまない。なんでもない」
いやー、さすがに気になってしまうでしょ。え?時間ないの?ないの?
「クロリードさん、話してください。タイムリミットってなんですか?」
「……かなり個人的な話になってしまう。それに君を巻き込んでしまうのは忍びないんだが……」
「何か時間に追われているなら二人でやった方が早く済むでしょ?俺はこれからしばらくお世話になるんですから、できることは何でも手伝わせてください!」
「タカトシくん……ありがとう。……端的に話させて貰おう。僕の娘はとある病が原因であと1ヶ月で死ぬ。」
わーお、これ本当に手伝えることあるか?
「娘の病気はいわゆる不治の病にかかってしまってね。どこの医者にどうにもならないと門前払いされていた。そんな時にひとつの文献を見つけた。いわく、アーツドペファにはどんな病気も治す草、月永草が常備されていてその草のおかげで王家は病に伏すことがなかったと。」
なるほど、もしかしたら王が不死身だったって噂なんかはここから来ているのかもしれないな。
「つまり、クロリードさんはその月永草を求めてこの城までやってきたんですね」
「あぁ、この城の最下層には王家が秘匿している宝が隠されているなんて噂を聞いたからね。何日かかけてやっとここを見つけたのさ。まさか、月永草以上に秘匿するべきものがあるとは思わなかったがね」
たしかに月永草も世に広まったら世間を騒がせるだろうけど、異世界から英雄を呼び出す魔法陣なんてこの世界に大波乱を与えるかもしれない。まず信じられるか分からないけれど。
「ところでこの城って探索に何日もかかるようなところなんですか?いくら広いお城でも移動だけでそんな時間がかかるようには思えないんですが……」
「あぁ、この城には魔物が割と出るからね。どうやら時間の経過でこの城自体がダンジョンと化してしまったようなんだ。」
「え?魔物?ダンジョン?そんないきなりファンタジーな」
まぁでも魔法陣とかどんな病気も直す草とかが出てきてるからな。魔物とかダンジョンとかがあってもおかしくないか。
「でも、魔物って危なくないんですか?」
「この城にでる程度の魔物ならば苦労なく倒せるよ。僕も考古学者の傍ら、冒険者を始めて長いからね。タカトシくんには指1本触れさせはしないさ」
ヒューッ!おっとこまえー!
「ところでさっきの反応を見るに、タカトシくんの世界に魔物やダンジョンはなかったのかい?」
「えぇ、俺の世界では物語の中だけでの存在でした。剣や弓もさっぱり使えませんし、魔法なんかも空想でなら得意なんですけど……ですから正直倒せる気もしません。しょっぱなから足を引っ張ってしまいそうですいません……」
かめ○め波とかメラ○ーマとかこの世界なら打てるのかな。少し少年心がくすぐられるけども。
「なるほど、魔法も使えないのは不便だね。よし、幸いここはダンジョンだからね。もともと城にあるものだけじゃなくダンジョンから生成した宝もある。一応帰ってから売ろうと思って取っていた魔法書が沢山あるから。タカトシくん、魔法使いになってみないかい?」
えぇーーー!!わたしが、魔法少女ぉぉ!!???