イケおじとの邂逅、CV大塚○夫
はじめまして。
俺は佐久間貴利。
私立の大学に通うごく一般的な大学生です……でした
これはそんな俺の大切な家族の足跡を辿る物語です
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「ああ~~、疲れたぁ~!!」
大学の帰り道、錆びかけたママチャリをキーキーいわせながら俺は坂を上る。
夏の日差しが照り付け額から首筋に汗が伝う。
俺は暑さに耐えきれず、とおりにあった自販機でド〇ペを買う。
「ぷはー!やっぱコーラはド〇ペだな!コーラは邪道だよ」
そんなことを言いながら俺が一息ついているとき、それは唐突に起きた。
「えっ……なんだ?!前がっ!くっ!?」
突然目の前の景色が歪み、耳鳴りが思考を邪魔し、目の前がいきなり真っ白になった。
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貴方はきてはいけなかった何故ここに辿り着いてしまったのか全ては既に終わったはずなのに貴方がここに来る意味など何一つないのにいくら探しても仕方が無いことだからせめてこの世界で貴方は何も気にせずに自分の事だけを考えて幸せで平凡な人生を送ってほしい貴方は優しいから気づいてしまったらきっと私を探すだろうだからは私のことなど思い出さないで何があってもここにはだれも辿り着けないのだから
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それからしばらくたつと、光が収まった。
車酔いのような感覚に陥り、軽く吐きそうだ。
目の前には先ほどまで休んでいた自販機の姿はなく、今にも崩れそうな石造りの壁と口をあんぐりと開けたダンディなおじさまがが立っていた。
唐突なことに声も上げられずに呆然としていると、白髪をオールバックにしためっちゃかっこいいおじさまが話しかけてきた。
「キミは……もしかしてあの英雄かい?」
「いえ、多分人違いです」
人違いだった。
俺は生まれてこの方英雄と呼ばれたことはないのでこのハリウッド俳優みたいなおじさまは何か勘違いをしているのだろう。
いや、もしかしたら持っている携帯のキャリアを聞かれたのかもしれないがあいにく俺はソフ〇バンクユーザーだった。
「ごめんなさいおじさま。俺はもう白戸家の一員なんです。犬派なんです」
「え?しら……え?よくわからないけどキミはあの英雄ではないんだね?」
「はい」
そう答えるとおじさまはうーんと唸りなにか考えているようだった。
おじさまが思索にふけている間に俺は周りを見渡し状況の把握を試みる。
ド〇ペ飲んでいたらいつの間にか、なぜか半壊してるけどそれでも厳かな雰囲気が漂うような洋風の部屋にいたと。
そしてそこにいたイケおじに英雄かと聞かれたと。意味が分からない。
とりあえず白戸家だし犬語で喋ろう。
「わんわんわわん!わん、わわん?」
「うん、キミもとつぜんのことでこんらんしているんだろう。とりあえずテントに案内しよう。スープをご馳走するよ」
おじさまは疲れたような笑顔でそういった。
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「いや〜、お恥ずかしい限りですが混乱していました。このスープ美味しいですね。おかげで落ち着けました」
本当にいきなりのことで混乱していた。
混乱のせいで犬語で喋ってしまった。
白戸家にいる犬は人語を喋っているじゃないか。
「最近はCMでもあんまり見ないしねぇ」
「CM?何の話だい?」
おっと、そうだ。俺は今1人じゃあないんだった。
「いえいえ、こちらの話です……あちらの話ですけど……」
とりあえず意味深に笑みを浮かべてみました。
こういうことを学校とかでやると友達が出来なくなるから皆気をつけてね?
「あちら……もしかしてキミは異世界から来たのかい……?だとすればあの魔法陣の輝きにも合点がいくな……」
はて?異世界?魔法陣?俺を置いて納得しないでくれ〜。
「あっ、あのよく分からないんですけど……ここは日本……地球じゃあないんですか?」
ハッと俺の存在を思い出した様子のおじさま。
そんな顔してもさまになるんだからイケメンはずるいわぁ。
「あぁ、すまなかった。そうだね。ニホン?やチキュウ?などという地名は聞いたことがないなぁ。」
んー、ここは日本じゃあなさそうだし、この人も日本人のようには見えないけれど、日本語が通じるのはなぜなのだろう。
「俺が今話してる言語は日本語というのですがあなたはなんという言語で話していますか?」
「日本語?僕が今話しているのも君が話しているのも大陸共通語だと思うけれど……?」
大陸共通語ときたか。いやしらないけど。なに大陸だよ、そもそもここは。
んー、よくラノベで見るようなご都合主義的万能翻訳スキルを会得したのか?いやーでも喋っている内容と口は一致してるように見えるしなぁ……?
まぁ、分からないことを考えすぎても仕方が無いか。
「ふむ、とりあえず今更ではあるが自己紹介でもしないかね?」
おっと、そういえばおじ様の名前も聞いていなかったな。
「失礼致しました、ムッシュ。俺の名前は佐久間貴利、気軽にタカッチとお呼びくださ「サクマ?!!!!やっぱり魔法陣で呼び出された英雄じゃあないか!」
「………………え?」
どうやら知らない間に異世界の英雄になっていたようです
なんて、ラノベみたいに語ってみた
ここまで読んでくださりありがとうございます。
感想等頂けますと作者が小躍りして喜び、執筆のモチベーションが上がり投稿速度が気持ち上がります。