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休日を全力で

「いやぁ、やっぱり大きいわねぇ」


ポロが着替えを終わってすぐに俺達は街へ繰り出した。

今はお昼時だし、やっぱり人が多いと感じた。

飲食店は何処も満員。こりゃ栄えてるな。


「しかし人が多いわね、やっぱり。流石の人口ね。

 人が増えるには、やっぱり他国から人を入れるのが。

 あ、へぇこの建物こんな感じになってるんだ。確かに頑丈そうね。

 うんうん、でもそうね、ちょっとだけ」

「マリア-、今日は休みなんだよね?」

「あ…」


もはや職業病なのか、街へ出ても観光ではなく勉強ばかりしてるな。

人口の事を考えたり、建造物の勉強をしようとしたりと流石マリア。


「うぐぐ、な、なんて言う」

「この調子だと、美味しい料理を食べたとしても味付けを気にしそうなの」

「あり得そうね、我ながら仕事熱心ね…さ、流石私」

「笑顔が引きつってるよ?

 自画自賛するならミミちゃんくらい堂々としないと。

 中途半端にやってたら恥ずかしいよ?

 ミミちゃんレベルだと本人は恥ずかしくないだろうけどさ」

「馬鹿犬、さらっとあたちの行動が恥ずかしいとか言ってるの?」

「うん!」

「笑顔で堪えるななの!」

「いやぁ、少なくとも僕は恥ずかしいもん。そんな事したら」

「馬鹿犬ぅ!」


いやぁ、本当思うけどポロってたまに容赦ないよなぁ。


「まぁまぁ、騒いだら目立つから落ち着けって」

「く…仕方ないの」

「目立つと動きにくいからね~」

「ちぃ、馬鹿犬め」


仲良きことは美しきことかなってね。ま、楽しそうだしな、この2人。


「ま、まぁ、何処を観光しましょうか」

「そこはマリアが決めてくれよ。今回は休みを謳歌するんだろ?

 それとも、お勧めとかの紹介とかの方が良い?」

「いやいや、ここは私の生きたい場所でって事にしましょうか。

 じゃあ、まずはそうね…城壁に」

「マリアー」

「うぐ! ま、またしても職業病が…とりあえず運動できる場所が良いわ」

「運動?」

「そう! たま蹴りをしたいわ! ボールを足で蹴ってゴールに運ぶ奴!」

「サッカー?」

「多分それね! 分からないけど、きっとそれ! それが出来る場所へ連れてって!」


デザートとか、そう言うのじゃなくてスポーツなんだな。

いやまぁ、そりゃあ毎日の様に書類と格闘してたら身体も動かしたくなるか。


「うぐぐ…まさかスポーツなんて…あたち的には結構しんどそうなの」

「ミミちゃんは運動できないからね」

「くぅ! なんで体力が衰えたのか訳が分からないの。

 ぐぬぬ、元々あたちはかなりアクティブだったの」

「いや、お前は前から家で寝てばかりだっただろ」

「そんなの、わざわざしんどい思いをする必要も無いの。

 ご飯も食べられて、遊び相手も居るなら出る必要も無いの」

「だから体力無くなったんじゃね?」

「いや! あの頃のあたちはもっと輝いてたの!」

「あの頃っていつよ…え? ミミって実は結構年取ってるの?

 こう、魔法を極めすぎて若返る魔法を使えるようになったとか」

「いやいや、あたちは見た目通り10才程度なの」


まぁ、ミミの年齢を人間に換算したらそれ位だからな。

ポロの場合も実年齢を人間に換算すれば16くらいだしな。


「じゃあ、あの頃って何?」

「猫時代なの」

「……パペットビーストの出生とかよく調べてなかったけど

 そうなの? 普通の犬猫が何かの拍子で変化してパペットビーストになるの?」

「さぁ? あたちは知らないの」

「…駄目だ、付いていけないけど多分そう言う事だという風に自分に言い聞かせないと」


そりゃあ、当事者の俺達でも色々と理解できてないからな。

話を聞いただけのマリアが分かるわけ無いんだよなぁ。


「まぁいいや、ひとまずこのまま街の探索よ」

「パペットビーストの話は良いの?」

「これ以上はより混乱しそうだからね…」

「ふーん、そうなの」

「まぁ、それよりそのサッカーって言う奴をやりたいわ!」

「分かったよ、手頃なボールとかあるかな」


ひとまず街を少し回って、程よい大きさのボールを買った。

このボールを買って、人気が少ない公園へ移動する。

一応、広々と使うから人が多いとやりづらいからな。


「じゃあ、ここら辺だな」

「よーし、さぁ早くそのサッカーとやらのやり方を教えて欲しいわ」

「分かった、ちょっと待っててくれよ」


ひとまず4人だし、あまり広い範囲ではなく狭い範囲で。

ゴールとなる部分を線を引いて出してっと。


「よし、これで良いか」

「この線は?」

「サッカーをやるために必要なんだよな。

 普通はゴールポストとか、そう言うのがあるけど無いからさ。

 で、代わりに線を引いたんだ。じゃあ、軽く説明すると」


サッカーのルールを軽く説明した。

必要な情報なんてあまり無いし、細かい説明は必要無いだろう。

今回は線の外とかはないから、楽で良いだろう。


「ふむふむ、ボールを手ではなく足で蹴りながら運べば良いのね。

 で、そこの線の上をボールが通ればそれで良しと」

「そうなるな、手で触った場合は駄目だから、面倒なの抜きで失点って事にしよう」

「なる程、しかし結構走りそうね」

「これでも大分楽だと思うぞ? かなり狭いからな」

「うへぇ、これで狭いのね」


普通のサッカーコートと比べればかなり狭いからな。

そりゃあ、4人だけでやるのにあの広さは流石にな。

そもそもサッカーは4人でやる競技ではないからあれなんだけど。


「とにかく、これを運べばいいわけよね、良しやるわ!」

「ポロ、お前は加減しろよ? お前がマジでやったら悲惨なことになるからな」

「うん! 僕もそれ位は弁えてるよ」

「ミミも魔法とか使うなよ?」

「まぁ、分かったの。じゃあ、チーム分けは」

「ご主人と僕対マリアとミミちゃん!」

「ふざけるななの! 最悪の組み合わせなの! 最もあり得ない組み合わせ!

 なんで運動能力高い2人対低い2人でやらなきゃ駄目なの!? 無理に決ってるの!」

「うん! 知ってる、冗談だよ~」

「お前の冗談は冗談に聞えないの、普段馬鹿だから」

「え~、酷いなぁ~、僕だって少しくらいは頭良いよ?」

「ふふん、それもまた馬鹿な冗談なの」

「まぁまぁ、喧嘩しないでくれよ」


ま、たった4人だしそんなにチーム分けに討論にはならなかった。

最終的にマリアと俺のチームとポロとミミで別れることになった。


「よし、やるわよ!」

「うぅ、不味いの。あたちの格好はどう考えても運動できる格好じゃないの」

「スカートだからね-、僕はハーフパンツって奴だけど!」

「まぁいいや、あたちはサボりながらやるから馬鹿犬頑張るの」

「僕はあまり本気を出したら大変だから、ミミちゃんも動いてよ~」

「べたつくななの! 分かったの! あたちもやるにはやるから離れるの!」

「いえーい!」

「やっぱりあの2人、仲良いわよね-」

「あぁ、ずっと仲良いからな、あの2人」


とまぁ、そんなこんなでサッカーをする事になった。

サッカーなんていつ振りだろう。随分と久しい気がする。


「よーし、じゃあ行くよ!」

「うぅ、走りたくないの…」

「さぁ、走るわよ!」

「だな、運動不足は身体に毒だろうしな」


最初はポロがボールを蹴り、ゲームが始まる。


「はい、ミミちゃん!」

「えぇ!? ちょ、い、いきなり過ぎ、え、えい! あぁ!」


ポロのパスを受け取ろうとしたミミだったが、まぁ全力で空振り。

そのままずっこけてボールは転がっていった。


「あれを取れば良いのよね!」


そのボールを目をキラキラしながら追いかけ、マリアがボールを運び始めた。


「おぉ! マリア速い!」

「ふふふ、私も中々出来るわね! あ!」


とは言え、ドリブルが苦手みたいで、ボールが独りでに転がっていく。


「わはは! じゃあ、このボールは僕が貰うよ-!」

「あ、ま、待ちなさい! す、スルガー!」

「分かったよ、さぁポロ、取らせて貰うぞ」


流石にポロは足が速いな、すぐにこっちまで来た。

本気を出されたら簡単に抜かれるだろうけど

どうも、ポロは本気で遊んではいるが、本気を出すつもりはないらしい。


「ふっふっふー、僕の動きが読めるかな-」


すぐに駆け抜けることはなく、読み合いで突破しようとしてるみたいだな。

それなら、中々に面白い取り合いになりそうだ。


「そこだー!」

「残念、読んでたぞ」

「わー!」


だが、ポロはどうも尻尾が素直みたいで読み合いには向いて無いな。

何処に行こうとしてるか、意外と尻尾を見てたら分かってしまう。


「ほれ、マリア」

「流石ね! よし、そのままシュートよ!」

「負けるのは尺なの! ブファ!」

「うげ!」


マリアがゴールに向ってシュートを決めようとしたところ

丁度ミミが飛び出し、シュートを顔面に受けた。

とは言え、マリアのシュートだからそこまで強力ではなかったが。


「だ、大丈夫!?」

「ふ、甘いの…マリアのヘロヘロシュート程度じゃあたちは余裕なの」

「あ、なら良かったわ、それ」

「にゃ!」


だけど、ミミが得意気にしてる間に転がったボールをマリアが蹴ってゴール。


「やったわ!」

「ひ、卑怯なの!」

「ふふん、ゲーム中に得意気になってる方が悪いのよ。

 怪我をしてたなら手当てするけど、してないなら問題無いでしょうし」

「くー! 悔しいの! 次はあたちがゴールするの! 馬鹿犬は手を出すななの!」

「おぉ! ついにミミちゃんが本気に!」

「楽しんでるみたいで安心したよ」


それからしばらくの間、こんなグダグダなサッカーが続いた。

だけど、良い運動にはなっただろう。やっぱり楽しんで動く方が良いな。


「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…ケホケホ…う、ぜぇ…」

「ミミちゃん大丈夫?」

「ふぅ、ふぅ、私より体力無いのね、ミミって」

「ま、まだ、あ、あたちは…ヒュゥ…ぜぇ…」

「いやいや無理だよ、休もうよ。お水飲んで」

「も、もう空っぽなの」

「ありゃ、それなら僕のあげるよ」

「あ、ありがとうなの…」


ポロから受け取った水をがぶがぶと飲んでいるが、まだ優れてないようだ。


「うぅ、まだ喉が…」

「じゃあほれ、俺のもやるよ」

「あ、ありがとうなのご主人…」


俺の分もがぶ飲みして、ようやく顔色が回復した様に見えた。


「よ、よし、体力回復なの…ぜぇ、さ、さぁ、つ、次なの…」

「いやもう無理だよ、ほら無茶しても良い事無いよ?」

「大丈夫なの、まだまだ退くときじゃないの」

「いやいや、服凄い事になってるよ? 埃だらけだし…

 後、よくよく見たら、もしかしたら汗で透けてない?」

「にゃ! ば、馬鹿犬! この変態! は! じゃあご主人にも!

 止めるの! あたちを見ないで欲しいのー!」

「下着とか着けてないの? あなた」

「…あ、そう言えば馬鹿犬と違ってあたちは下着を着けてたの。ふぅ、ならセーフなの」

「いや! さらっとポロの方は下着付けてないって言ってるわよねそれ!」

「窮屈だからさ、あ、でも下はちゃんと履いてるよ?」

「馬鹿! 上もちゃんとブラジャーなりなんなりしなさいよ!

 急いで帰るわよ-! もぅ! スルガも速く!

 あ! でも2人を見たら駄目よ!? 分かってるわよね!」

「わ、分かってるよ」


ポロがブラジャーとかを着けてないのは何となく予想出来てたけどな。

あいつ、元々はオスだし、そもそも元は犬なんだから下着を着けるって習慣はないだろ。

ミミが下着を着けてたのは流石とは感じたけどな。

でもまぁ、楽しい時間を過せた。有意義な休日にはなっただろう。

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