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久々の休み

今日は少しだけ静かな1日になりそうだな。

マリアの部屋から外を眺め鍛錬に励んでいるポロを見るとそう思う。

騒がしいの原因は大体あいつが理由だからな。


今日はあの3人にポロが直々に手ほどきを受ける事になったし

少なくとも日が暮れるまではあそこで訓練するだろう。

となるとまぁ、俺も訓練したい所なんだけど相手が居ない。

剣を闇雲に振っても上達はしないだろうし


あの護衛の兵士達も仕事で忙しいことだろう。

あの4人の訓練に混ざったとしても俺とか速攻でダウンしそうだし。

うーん、ディルさんが居ればお願いできるんだけどな。


「ご主人、なんか暇なの、遊んで欲しいの」

「今までそう言うこと、殆ど言わないのに珍しいな」

「知らないの? 猫は気まぐれなの」

「知ってるよ、でも今回お前が退屈してる理由は分かるけど」

「何? あたちはよく分かってないの」

「自分で分かってないのか?」

「うん」


どうやら本気で分かってないみたいだな。ふーん、意外と鈍いんだな。

ミミが退屈してる理由とか、確実にポロが居ないからだろうに。

ミミはポロに対しては一切躊躇無くちょっかい出しに行くからな。

そんなだから、今まで退屈はなかったんだろうが、今日のポロは訓練だからな。


「答え知りたいか?」

「…いや、自分の事は自分で考えるの」

「意外と自分より他人の方が相手の本質って見抜けたりするんだぞ?」

「大丈夫なの、火急の事態なら聞くけど、これ位ならのんびり考えられるの」

「そうか、なら自分で考えてみ?」

「うん。でも、暇だから遊んで欲しいの」

「分かった、何して遊ぶんだ?」

「ご主人が決めて欲しいの」

「お、おぅ」


何だかさらっと難しい課題を俺に押付けてきたな。

しっかし、お互いに結構低いトーンだな。

やっぱムードメーカーが居ないと、どうも盛り上がりに欠けるな。


「そうだな、それなら俺と」

「暇をして居るというのなら!」

「うわ!」


俺達の話を聞いていたのか、マリアが寝室から元気に姿を見せた。

今日のマリアはこっちに来て以降、1番目を輝かせている気がする。


「私の為にこの国を案内しなさい! 今日は忙しかった書類の処理も終わって

 今日1日ようやく…ようやく1日全部フリーになったの!

 折角大国に来たと言うのに、城の中の似た風景ばかりで飽きてたの!

 と言うか飽きるわこんなの! 同じ部屋しか見てないわ!」

「闘技大会とか見に行ったと思うの」

「闘技だっけ? 武道大会だったような」

「どっちでも良いの、似たような物なの」

「いやまぁ、確かに似たような物だけどさ、でも殺風景でしょ?

 私、格好いいのは嫌いではないけど、どっちかというとさ

 こう和気藹々とした雰囲気を巡るってのが好きなのよ。

 やっぱり集団って良いと思うわ、楽しさ共有できるしね」

「意外と治安悪いの、この国。前回った時も絡まれたの」

「あの時ね…さらっと撃退したとか聞いたけど」

「それにマリアはお姫様なの、目立つに決ってるの」

「ふふ、馬鹿ね。いくら私でもそれ位分かるに決ってるわ!

 勿論、変装用の衣服も用意してるし、じゃーん! これメガネよ!

 ふふん、似合うかしら?」


ドヤ顔で懐からメガネを出したと思ったら、すぐに自分に掛けた。

そして、両手を組み、ドヤ顔でこちらに意見を求めてきた。

うん、確かに似合っている気はする。


「にゃはは! 似合わないの!」

「え!? そ、そうかしら。一応鏡で見たときは似合ってるって思ったけど」

「外出するって感じには見えないの! 書類にあたふたしてるインテリ系お姫様なの!」

「しょ、書類からは解放されたから! す、少なくとも今日1日は…」

「いやでも、俺は似合ってると思うぞ?」

「ほ、本当!?」

「ご主人本気なの? 金髪にメガネは似合わないと思うの。

 金髪はやっぱりサングラスが似合うの」

「いや、それは完全にただのヤンキーだから」


でも確かに金髪でメガネのキャラクターは少ない気がする。

だけどそれは多分、日本限定なんだろうけどな。

海外なら割と居るのかも知れない。


「それにしても、やっぱりメガネを掛けるとより知的に見えるよな」

「よりを付けてるところがご主人らしいとは思うの。

 ただ知的に見えるだけなら、普段はそう見えないって事って会話がなるの。

 まぁ、あたちは普段のマリアを知的には見てないの」

「さらっと酷いわね…やっぱりあなたって結構な毒舌家よね」

「ま、あたちの超絶天才的な頭脳と比べれば大体の奴は馬鹿に見える物なの。

 あたちは凄すぎるの。もっと称えると良いの」

「あなたが天才的なのは認めるけど、その自意識高過ぎる発言って小物臭いわよね」

「何とでも言うが良いの。誰が何と言おうと結果が全てなの。

 現にあたちは天才的な魔法少女なの」


この台詞、絶対に言った相手がマリアではなくポロなら怒っていただろうな。


「ま、メガネを掛けたマリアが少し知的っぽいのは認めてやるの。

 後、外に出るなら髪型も変えるの。帽子とか無いの?」

「帽子なんて居るかしら?」

「馬鹿なの、マリアは髪の毛めっちゃツヤツヤなの。

 そんな髪の毛が露出してたら注目されても不思議無いの。

 もう少し自身が容姿端麗であると言う事を自覚すると良いの。

 出来ればスタイルも隠すべきだとあたちは思うの。大きいし」

「あら、ありがとう。意外と褒めてくれるのね、あなたって」

「ほ、褒めてはないの!」


うーん、やっぱりミミは素直になれない感じなのかな。

褒めるところは結構褒めてるし。


「じゃあ、ひとまずあなたのアドバイスに従って着替えてみるわ」

「それが良いの」


マリアが再び部屋に戻った。それを見届けた後ミミが小さくため息をつく。


「やっぱりあいつがいないと退屈か?」

「まさか、ご主人が一緒に居るだけで気持ちは軽いの」

「でもお前、俺に対してかなり引いた態度取るじゃ無いか。

 ポロやマリアには結構辛辣なのにさ」

「引いた態度ではないの……ま、まぁ! ご主人は恩人だし!

 そりゃあ、1歩引いてご主人を立てるように振る舞うのは当然なの!

 ……でもやっぱり、ポロが羨ましくはあるの」

「羨ましい?」

「いや! 何でも無いの! さぁ、マリアが来るまで待機なの!

 そ、そうなの! ひとまずどんなルートを巡るか考えるの!」

「気になるが、言いたくないなら言わなくても良いよ。

 だけどその内、なんか言ってくれよ?

 でも、誰かに隠したいことなんて誰でもあるか」

「伝えたい事が隠したいことになる事は良くあるの」


ミミが小声で小さく俺に聞えないように呟いた…つもりだったんだろうな。

だけど、聞えてしまってる。だが、言及しない様にしよう。

伝えたい事なら、いつか伝えてくれることだろうしな。


「よーし、準備完了よ!」


しばらくしてマリアが部屋から出て来た。

どことなくマリアの服装はポロを彷彿とさせる物だった。

全体的に何処かボーイッシュ。色合いは茶色で統一されていて

茶色のハンチング帽を被り、赤渕のメガネを掛けていた。

探偵みたいな服装だな。下もスカートではなく長ズボンだった。


「スカートじゃないの?」

「いやぁ、普段ドレスでスカートは履いてるしたまにはね?」

「長ズボンじゃなくハーフパンツとかそこら辺にすれば良かったんじゃないの?」

「いや、生足見せるの恥ずかしいじゃない。それにはしたないし」

「いや、馬鹿犬とかあたちとか生足見せてるの。それをはしたないというの?」

「私、一応これでもお姫様だからそこら辺は厳しく叩き込まれてるのよ。

 他人が生足を見せているところに関しては特に何も無いわ。

 それは個人の主義思想とか、色々あるし強制するべきではないからね。

 でも、私自身に関してはそうは行かないから、徹底するってだけよ」

「はぁ…人の上に立つなら、たまには強制とかをするべきだとあたちは思うの。

 統一されていない思想って、やっぱり何処かでぶつかると思うの」

「やるところはやるわよ。でも、プライベートの服装は関係ないでしょ?

 制服とかはね、意思統一や集団意識を持つために必要だとは思うけどね」


こう聞くと、やっぱりマリアはフリーな指導者って感じだな。

反感をあまり受けるタイプじゃないって事だな。


「まぁ、面倒くさそうな仕事っぽい話は無し! 今は街へ出たいのよ!

 この同じ光景しか見られない、地獄の様な時間から解放されたいの!」

「分かったの、それじゃあ案内するの」

「そう来なくっちゃ!」


マリアの案内をすることを決め、俺達は街へ出る事にした。

だが、城から出ようとした瞬間、急ぎ足のアイ達の後ろ姿が見えた。


「んー?」


そしてその後、珍しく落ち込んでいるポロがトボトボと歩いてくる。


「うぅ、訓練中断だなんてぇ…」

「ポロ? どうしたんだ?」

「あ、ご主人! ミミちゃん! と、誰? その可愛い頭が良さそうな女の子。

 僕、そんな子知らないよ?」

「あら可愛いなんて、嬉しいわ」

「むむ、その声。そしてこの匂いは…ハッ! まさかマリア!?

 おぉ! マリアが凄い珍しい格好してる! 似合ってるよ!」

「ポロは素直に褒めてくれるから嬉しいわね」

「でー、馬鹿犬。何があったの?」

「うん、なんでも急なお仕事が入ったんだって。

 パペットビースト部隊って国の精鋭だしさ。

 確か小型モンスターの襲撃とかなんとか」

「マジか、それなら城に居た方が良いんじゃ無いか? マリア」

「うぅ…な、悩み所だけど…あなた達が居れば何処でも多分安全だし

 それに小型モンスターならあの3人なら大丈夫そうだしね。

 いやでも、救援に行くべきなのかしら。うーん、だけど国からは何も…

 でも、援軍要請があるかも知れないから、このまま城に待機が良いかも…」


この事態を受けてマリアはかなり本気で悩んでいる。

本人としては折角の休みをリフレッシュに当てたいだろう。

だけど、自体が自体ってなると…


「別に街を回ってれば良いの。あたち達は自由行動が許可されてるの。

 それなら、仕事を済ませて外出しても問題無いに決まってるの。

 後、お前は他人第一に考えすぎなの。たまには自分本位で動くのも良いの。

 ストレス溜めてぶっ倒れるより何千倍もマシなの。ほら、行くの。

 馬鹿犬、どうせ暇なら一緒に来るの。護衛はあたち達の仕事なの」

「でも…私は姫だし」

「マリア、良いじゃ無いかたまの休みくらい。そんな時まで姫にならなくても。

 たまの休みくらい、お前らしく過ごすのも悪くないんじゃ無いか?

 こんな時位、責任から解放されても罰は当らないって」

「……そ、そうよね。うん、決めたわ! 私今日はお姫様を止めて

 一般人として休みを謳歌するわ! さぁ、案内しなさい!」

「おー! じゃ、僕も行くね! あ、服着替えてくる-」

「さっさとするの馬鹿犬!」

「はーい!」


今日くらい、マリアは自分の仕事から解放されても良いよな。

こいつはよく頑張ってる。ご褒美がなくちゃやってられないだろうしな。

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