第47.5話 世界の管理者的には、もう少し世界に優しい仕様になって欲しいナ。
精霊王から見た、ルインの変化です。
ギャグってるかな?
よろしくどうぞ‼︎
その日、この世界に異常が発生した。
『なっ……大精霊‼︎今すぐに来い‼︎』
精霊王たるわたしの命令で、四大大精霊が慌ててやって来る。
それを見ながら、わたしはその異常に接触しようとしては弾かれていた。
『何事ですか、精霊王』
『一エリアだけ、わたしの干渉外になった。世界が、そこだけ隔離されている』
『………なっ⁉︎』
『ルインが、いた場所なんだ』
それを聞いた大精霊達の顔が強張る。
精霊王の息子であるルインがいた場所が限定的に干渉不可となる。
そんなの、何かしらの問題が起きたとしか思えない。
それも、わたしの干渉を受け付けないなんて……わたしよりも格上の存在による現象だとしか。
『ですが、この世界に精霊王よりも上の存在はいないだろう?』
『ですわね』
『大丈夫なのかなぁ〜?』
『………どうしてそうなったのか、手がかりはないのですかな?』
そんなこと言われたって、わたしにもこんな事態は初めてなのだ。
一体……どうすれば……。
しかし、そんなわたしの杞憂は直ぐに解消された。
数十分後、その隔離が解除されたのだ。
『あ‼︎解けーーーーぶふっ⁉︎』
しかし、わたしは精霊王にあるまじき噴き出し方をしてしまう。
それはそうだろう。
世界の隔離が解けたと思ったら、息子が自分よりも強くなってたのだから。
『…………え……ちょっと待て、精霊王。この気配は……』
大精霊達もルインの力の危険さを把握してしまっているのか、顔面から汗をダラダラ流す。
と……取り敢えず‼︎
『ル、ルイン‼︎』
わたしは人の世界を見るために、精霊術で鏡を出現させ……息子に声をかける。
すると、ルインは至っていつも通りの顔で返事をした。
『ん?あぁ……父さんか。何?』
『いや、何じゃなくて……お前がいた場所が、わたしの支配下から隔離されたから、心配して……』
『あー……大丈夫だよ。ちょっと《穢れの王》と戦っただけだから』
『はぁっ⁉︎』
それから、ルインが語ったことはまさに信じられないことばかりだった。
異なる可能性のルイン。
彼が時を超えて、今のルインに成り代わろうとし……逆に殺したという話だった。
『もしかして……世界から隔離したのは、ルインという存在が二人いることによる矛盾を、成立させるため……?』
水の大精霊の言葉に、わたしも納得する。
同じ人間が二人もいたら、世界の防衛機能がその異常を排除しようとするだろう。
ゆえに、排除されないように世界から隔離した……。
『それに、〝時渡り〟なんて……できる存在がいたんだね……』
風の大精霊の言葉にも頷いてしまう。
流石の精霊王であるわたしでさえ、〝時渡り〟はできやしない。
つまり、《穢れの王》となったルインは……確実にわたしより格上の神であるということだった。
『…………ちなみに……その異常量の精霊力は……』
『ん?あぁ……《穢れの王》を吸収したからじゃないかな?』
『吸収っっ⁉︎』
『あ、そうだ。《穢れの王》の力ってなんか凄い穢れてたんだけど……俺の中で浄化されたんだよね。その理由って分かる?』
…………………流石の精霊王でも、知らないことがあるんダヨ。
わたしは、周りで頭を抱える大精霊達を遠い目で見ながら……適当に答える。
『………あれじゃないか……その…シエラ嬢への愛情で浄化された的な』
『………〝的な〟なんだ?』
『精霊王ニモ分カラナイコトガ、アルンダヨ』
………なんかもう考えるのも嫌になって頭を抱えてしまう。
しかし、これだけは聞かなくては。
『ルインよ……ちなみに、今のお前はやろうと思えばわたしを殺して、世界を創り直すコトさえ可能なんだがー……』
『そんな面倒なことしないよ。俺の目標はシエラとのイチャラブ甘々ライフだからね。面倒ごとは全部、そっちがやって』
『…………お前がシエラ嬢至上主義で良かったよ……』
もしルインが世界を望んだなら……もう誰にも止められないだろう。
息子よ、世界の管理者として言おう。
お前、なんという化物に進化してるんだっっっ‼︎
どうかっ、これ以上面倒ごとを起こさないでくれっっっ‼︎
わたしの心の声がどうか、ルインに届きますように……。
まぁ、そんなに甘くないよな。
『父さん。多分、これからシエラのためにこの力使ったりするだろうから、後始末よろしく』
『えっ⁉︎』
『じゃあ、そろそろシエラが帰ってくるから』
ブチンッッ‼︎
…………通信が途切れて、この場に沈黙が満ちる。
ルインが、面倒ごとを、押し付けてキタヨ。
『…………ハイエナ君と絡むよーになったら、超強かになったね……』
『じゃの……』
風と土の大精霊の言葉に、わたし達は黙り込んでしまう。
アレは……強かと言うより、狡賢くなったと言うのだ。
……………うん、どうせ。
お父さんはもう、完全に息子を止められないからさ。
言われた通りにするしかないんだけど。
世界の管理者的には、もう少し世界に優しい仕様になって欲しいナ。




