第39話 強制力にも負けない、愛の証明
ちょっとR-15かな?
短めルイン視点です‼︎
よろしくね‼︎
屋敷に帰ってきた俺を玄関まで迎えにきたシエラは、それはもうとっても険しい顔をしていた。
やっぱり、ヒロイン(?)とかいうのが何かやらかしたのかな?
「大丈夫?」
「………大丈夫…じゃなくて。お帰りなさい、ルイン」
「ただいま、シエラ。後、大丈夫じゃなさそうだよ」
俺は彼女の身体を強く抱き締める。
セバティンとかギークとか、ミリーがニヨニヨしてるけど、シエラを慰めるのは俺の仕事だからね。
玄関で抱きつくぐらいどうってことないよ。
(精霊。今日のシエラとアイラ・ジキタリスの情報を)
それだけで、精霊達は学園での情報を教えてくれる。
……………なるほどね。
一応、転生者とかいうヤツじゃないみたいだ。
なら、積極的にシナリオを変えていくことはないよね?
でも、ゲームはあのヒロインの行動で進んでいくんだっけ?
じゃあ、ゲーム通りの展開になる可能性も……。
「部屋、行こっか」
「………………うん……」
俺は彼女をお姫様抱っこして、部屋に連れて行こうとする。
あ、その前に。
「明日まで出てこないだろうから、夕飯はいらないよ」
「………畏まりました。ごゆっくり」
セバティンは苦笑、ギークとミリーはケラケラ爆笑しながら俺達を見送る。
そこそこ豪奢な(前はシンプルだったんだけど、セバティンに整えられたんだよね。夫婦の寝室だからってさ)部屋に入った俺は、ソファに座り……その膝の上にシエラを乗せた。
「どうしたの?そんなに疲れた?いきなりフラグ(?)とか言うのを立ててきたの?」
「………そうね……」
情報は手に入れたけど、俺はシエラの口からもう一度聞く。
クリストファー殿下のエスコートから始まり、転けそうになったヒロインがエイブラハム先生に抱きとめられたり、侍従の青年に抱きついたり。
加えてシエラには「お姉様っ‼︎」って抱きつきまくっていたらしいし。
…………うん、凄いね。
俺のシエラに抱きつくなんて……。
許セナイカナ?
「ルイン。黒いオーラが出てるわよ?」
「おっといけない」
シエラの指摘に俺は、負のオーラを抑える。
でも、仕方ないじゃないか。
俺のシエラに抱きつくなんて、許さない。
潰してやりたい。
………まぁ、やらないけどさぁ。
後でシエラとイチャイチャして、鬱憤を晴らそうっと。
「で、ひよこと皇子は?」
「……ひよことは同じクラスだったんだけど……何故か気絶して、医務室で休んでたわ。皇子は一つ歳下だから分からないわ」
………気絶ねぇ…。
俺のシエラと一緒のクラスだから、驚いちゃったのかな?
前に殺気を当てたから、トラウマになってそうだしね。
というか、皇子は歳下なのにフェロモン系って設定なんだね。
確かあの王女も歳下だっけ?
(精霊、皇子と王女の情報も)
シエラの頭を撫でながら、二人の情報も得る。
………………えっと……え?
これは……その……調教されてるよね?
というか、かなり倒錯的なんだけど……大丈夫?
年齢にそぐわないよ?
年齢規制かかると思うんだけど?
「………ルイン…?」
「……いや…その……精霊に情報を集めてもらったんだけど……予想以上に皇子と王女の関係が危なかったというか……」
「……………私は何も聞いてないわ」
シエラはどこか遠い目をする。
……そうだね。
これ以上考えたりしたら面倒そうだもんね。
よし、知らないフリをしよう。
「確か、一週間後には軍部、近衛騎士団、王宮魔術師団への見学があるんだよね?」
「そうね」
「そっちも注意した方がいいかな」
「えぇ。ルインとトイズ様、アダム様は問題ないと思うけど……総帥と女男がねぇ」
憂いを帯びたシエラの顔に、俺は少しムスッとしてしまう。
俺はシエラの唇に噛み付くようにキスをする。
そして、そのまま深く貪った。
「……んっ……ぅ……ルイン……?」
「で?シエラは何が不安なのかな?」
「………っ…‼︎」
シエラは大きく目を見開いて、顔を歪める。
だってさ?
ヒロインがどう動こうが、実際のところシエラには関係ないしね。
………いや…濡れ場を見る可能性はあるのか。
それは、多分……いや、かなり嫌だろうけど。
でも、こんな憂いを帯びた顔をするのは?
そこまで警戒するのは?
「俺がシエラの異母妹に靡くとでも?」
シエラが息を飲む。
「……………」
その沈黙が答えだね。
俺は彼女の頬を撫でながら、その首筋に噛みついた。
我慢するような小さな声が聞こえても。
僅かな血の味がしても。
噛み跡を残すように、強く噛む。
「シエラ」
「………だって…アイラは転生者じゃないし……となると、ゲーム補正って展開が……あるかもしれないから……」
「ゲーム補正?」
「強制力ってヤツ……どうあがいても、シナリオ通りになる展開……」
………なるほど。
それが原因で俺がヒロインを好きになると思ったんだ。
それは……困るね。
「俺が君だけを好きだってこと疑ってるの?」
「疑ってないわ‼︎でも……でも……」
………ふむ…俺がシエラを好きだってのは疑ってないけど、不安で仕方ないってことかな。
…………こればっかりはずっと俺の愛を伝え続けるしかないかなぁ……。
「シエラ。俺は君を愛してるよ」
「知ってるわ……でも、前世ではゲームの強制力に負けるって物語が沢山……」
「他所は他所。ウチはウチだからね。そんな話があろうが俺達には関係ないよ」
「…………うぅぅぅ……」
はぁ……これは根深いみたいだ。
仕方ないね。
なら、目で分かるカタチで俺の愛を刻みつけていこうか。
シエラの頬にキスをする。
制服のボタンを外して、鎖骨部分に強く吸いつく。
「痛っ……」
チュゥ……と強く吸えば、そこには赤い印が残って。
それを肩に、腕に、どんどん赤い花を咲かせていく。
「ルッ……ルイン……?あの、何を……」
「キスマークだけど?」
「いや、それは分かるのよ?でも、なんでこんな……」
「取り敢えず、俺の愛を肉体言語に訴えてみようかと」
「……………えっ…⁉︎」
シエラはギョッとしつつ、顔を真っ赤にする。
あぁ……そうだねぇ。
結婚式を挙げた時、ちょっと一週間ぐらいイチャイチャしたもんね?
でも、安心してね。
明日も学校だから、一晩しかイチャイチャしないよ?
「大丈夫。無理はさせないから」
「…………あぅ…」
目を潤ませて、顔を真っ赤にして。
そんな可愛い顔は、男を煽るだけだよ?
「結婚式で言ったでしょ?俺は君のためなら運命すらも捻じ曲げてみせるって。シエラが不安になるたびに、俺が本気で愛してあげるから……任せて?」
そう……だから、強制力にも負けない、愛の証明をしてあげよう。
ニコッと笑ったら、シエラはピシリッと固まってしまった。
あははっ、可愛い。
翌日ーー。
目が覚めた俺は、まだ腕の中で爆睡するシエラの身体を見てちょっとギョッとしてしまう。
理性がぶっ飛んじゃったから覚えてないんだけど……制服で隠しきれない場所にもキスマークがあるんだよねぇ……。
そんだけイチャイチャしたっていう証拠だし、俺の愛情ってことで許してくれるかな?
………でも、やっぱりシエラに怒られそうだから、アリーに化粧で隠すように伝えておこうっと。
俺は眠るシエラの唇に、もう一度キスをした。




