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第28.5話 結婚式のいざこざについて(というか《騎神》に迷惑かけられただけ)


.5話は小話です。

29話で一気に話が進む予定なので、もう一つ小話突っ込もうかと思います‼︎







その日、俺は信じられないことを聞いた。



目の前には、俺の執務室にやってきた二人の人物。

亜麻色の髪に碧眼の騎士服を着た男性は、近衛騎士団のマックス団長。

金髪に榛色の瞳を持つ青年は、《騎神》アダムと言うらしい。

いや、まぁ……そこら辺はどうでもいいんだけど……。


「………すみません…今、なんと?」

「……信じたくない気持ちも分かる。国王が新興貴族の結婚式に参加するなど滅多にないことだからな」


そう……団長は、〝国王が俺とシエラの結婚式に参加するから、警備の相談をしたい〟と言ってきたのだ。


「………えっと……その……まず、国王陛下に招待状書いてないんですけど?」

「……………何?」

「というか、来るということ自体初耳です」

「…………婚約者殿が招いたのでは?」


俺は直ぐにシエラに連絡を取る。

今は学校の時間だけど……緊急事態だから、仕方ないよね。


(シエラ、授業中にごめんね)

(大丈夫よ?どうしたの?)

(国王陛下、結婚式に招いてたりする?)

(えっ⁉︎招いてないわよ⁉︎)


俺はそれを聞いて額を押さえる。

そして……騎士団長に答えた。


「招いてません」

「「…………」」


騎士団長とアダム氏は互いに顔を見合わせる。

そして、アダム氏が俺の執務机に拳を叩きつけた。



バキンッッ‼︎



「そんなはずないだろうっ‼︎陛下がそう仰られたんだぞ‼︎」

「…………………」


………俺の執務机が、真っ二つになっている。

俺の執務机が真っ二つになって、机の上に乗ってた書類が全部グチャグチャになっている。


「…………トイズ……」


………かなりドスの利いた声が出た。

部屋の隅っこで待機してたトイズは、「はいはい」と返事をして騎士団長に声をかける。


「請求は近衛騎士団でよろしいですか?」

「…………申し訳ない……」


騎士団長はいつものことなのか、呆れたような顔になっている。

なのに、まだ目の前にいる男は止まらない。


「聞いているのか、ルイン・エクリュ中佐‼︎」

「……………この人、こんなに話が通じないの?」


思わずトイズに聞くと、彼は肩を竦めた。


「騎士としては相応しい能力を持っていますが、馬鹿正直で融通が利かないらしいです」

「ルイン・エクリュ中佐‼︎陛下を馬鹿にするのは許さんっ‼︎」

「止めろっ、アダムっ‼︎」


騎士団長が止めようとするが、アダム氏は既に抜刀していた。

いや、そもそも馬鹿にしてないし……。

というか、これ、やり返していい感じ?


「ねぇ、これ、本当に騎士団に置いといて大丈夫なの?どちらかと言えば軍部よりの考え方してない?」


脳筋じゃないかな、この人。

そのまま、アダム氏は俺に剣で斬りかかってくる。

俺は横に、椅子から転がり落ちるようにして回避する。

えぇ……なんでこんな事態になってるのかなぁ……。

というか、護衛の相談って名目だったのにその話し相手に剣向けてるって……本末転倒じゃないかな……。


「止めろっ‼︎アダムっ‼︎どうしてお前はそんなに馬鹿なんだっっ‼︎というか、どうして今日はいつもよりも馬鹿になっているっ‼︎」

「煩いっ‼︎」


騎士団長はアダム氏を止めようとするが、彼に蹴り飛ばされて壁に背中を強打する。

うわぁ……痛そう。


「はぁっ‼︎」

「よっと」


剣の連撃はとても素早く、とても鋭い。

確かに才能があるみたいだけど……性格に難ありだね。

まぁ、人のこと言えないけど。

というか、こいつ、本当に愚直なのかな?

俺は精霊術を使ってアダム氏の心の中を……。

………………。


「……………君、本当に騎士団辞めて軍部に来れば?」

「何っ⁉︎」

「取り敢えず、君の自己満足に付き合う気はないから……ごめんね」


俺は彼の顎に掌底を打って意識を刈り取る。

脳震盪を起こしてぐわんっと身体を傾けた彼の首根っこを掴んで、騎士団長に差し出した。


「騎士団長ー。こいつ、単なる戦闘狂って一面もあるらしいので。守護専門の騎士団より戦闘専門の軍部の方がいいですよ」


アダム氏が扱い辛いのはよく分かった。

それに拍車をかけている理由が、〝戦闘狂〟だからだ。

騎士団は守護専門だから軍部ほど戦闘してないからストレスが溜まっているらしい。

だから、簡単に剣を抜いてしまう。

それが余計に彼の扱いにくさを増長させているみたいだね。

加えて、ドラゴンスレイヤーおれっていう強い存在が目の前にいたから、戦闘狂の血が騒いだと……。

……………まるで動物みたいだね。


「……………誠に、申し訳ない……」

「謝るなら連れてこないで欲しかったですね」

「………一応、こいつが騎士団内で一番強いヤツだからな……」


トイズの手を借りて立ち上がった団長は、アダム氏を見てちょっと困惑したような顔になる。

どうしたのかな?


「………ウチの騎士団では最強だと言われていたんだがな……」

「まぁ、相手が悪いですよ。エクリュ中佐に勝てるのは婚約者たるシエラ様だけです」


ケラケラ笑ったトイズは、「まとめて騎士団に請求しておきますね」と言って、執務室の片付けを始める。


「取り敢えず、国王陛下が俺達の結婚式に参加するかどうかを確認してから護衛の相談でよろしいですか?」

「分かった。申し訳なかったな」






その後、俺が念話で国王陛下に問い質したら勝手に参加するとか言ってたことを知ったり。

来ると面倒だから来るなとおはなししたり。



………《騎神》が本当に騎士団を辞めて軍部に来たりしたんだが、それはまた別の話ってことで。




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