第22.5話 本人達が知らないところで将来が決まったようです。
いつも読んで頂きありがとうございます‼︎
ちょっともう一つの「悪役令嬢、五度目の人生を邪竜と生きる。–破滅の邪竜は花嫁を甘やかしたい–」がラストスパートなので、そっちの更新に専念するかもしれません‼︎
読んで頂いてる方には申し訳ないのですが、ご了承下さい‼︎
今後もよろしくどうぞ‼︎
『結婚式の準備は大変そうだなぁ……』
ルインの父親であり精霊王であるわたしは、人の世で息子が息子嫁とイチャイチャしながら結婚式準備を進めている姿を、水鏡で覗いていた。
水関連の報告でわたしの元に来ていた水の大精霊は、呆れたような顔で言ってくる。
『精霊王……ルインのことばっかり気にかけてないでちゃんと働いて下さいませ』
『息子のことが気になるのは親の性だろう?』
『親らしいこと何もして差し上げてない癖によく言いますわぁ……』
『いや、それはお前達が人の世に干渉するの禁止したからだよな?』
そう言った瞬間、水の大精霊は般若のような顔になって、わたしの胸倉を掴んだっ⁉︎
『あたりめぇでしょーがっ‼︎貴方、あのヤンデレエルフに殺されかけたんですわよっ⁉︎貴方が死んだら我々、大精霊に皺寄せがくるじゃないですかっ‼︎それにまだ光と闇の大精霊も決まってませんのよっ⁉︎これ以上、面倒ごとは御免こうむりますわ‼︎』
………お淑やかな性格が崩壊してるぞ、水の大精霊よ……。
というか……一応、わたしはお前達の上司みたいなものだぞ……?
息子といい息子嫁といい扱いが雑じゃないか?
『あ。そういえば』
『サラッと話変えやがりましたわね』
『結婚式というのは親が参加するものだよな。わたしも参加していいか?』
『………我々精霊は人の世に干渉することを禁止しています。参加していいはずないでしょう⁉︎』
『だが、精霊ではなく父親として参加すれば問題ないだろう⁉︎』
『問題ありますわ‼︎』
水の大精霊は『あーもーこのダメ精霊王はぁぁぁぁ‼︎』と文句を言いながら頭を掻き毟る。
こいつ、見た目はお淑やかだが中身は粗雑……。
『なんか失礼なこと考えておられません?』
『いや?』
『とにかく‼︎貴方様がすべきことは光と闇の大精霊の任命ですわ‼︎』
余談なのだが……〝大精霊〟とは言ってしまえば役職名のようなものだ。
数多の精霊の中で強い力を持つようになった個体をわたしが任命することで大精霊として、世界の管理を補助することになる。
そして……四大大精霊と言われているが、本当は六大大精霊が正確なのだ。
光と闇の大精霊は、その役割を放棄して受肉した。
要するに精霊を辞めたのだ。
精霊を辞めたら何になるか?
上手く言い表すことができないが……永遠の生命を持つ精霊から有限の存在になるとだけ言っておこう。
分かりやすいように《堕精霊》と言い表そうか。
まぁ、つまり……寿命ができるのだ。
力も精霊時ほど使えなくなるし、色々と制約がある。
それでも光と闇の大精霊は、とある女性について行くことを決めた。
わたしはいい上司だからな。
光と闇の大精霊が選んで後悔していないのなら、それでいいと思っている。
まぁ、その代わりに他の大精霊達の負担が増えたんだがな‼︎
『うーむ……面倒だから、ルインとシエラ嬢にやらせたりは?』
『はぁ?何をおっしゃってるんですの?二人は精霊じゃないでしょう?』
『いや、精霊から受肉したら不可逆だが……生身の人間が精霊になるのは問題ないぞ?』
『……………え゛?』
水の大精霊の顔が固まる。
そして……壊れた操り人形のように歪な動きで首を傾げた。
『…………そんなの聞いたことないんですけれど?』
『うむ。初めて誰かに言ったからな』
なんとなく言ってみたんだが、それもいいかもしれない。
人間として数十年、数百年暮らせば二人も満足するだろうし。
精霊にとっては取るに足りない時間だ。
『我ながらいい考えかもしれないな』
『え?えぇっ⁉︎』
水の大精霊は容量過剰になったのか、呆然と固まる。
あ、そうだ。
その旨を伝えるついでに結婚式に参加するというのはどうだろうか?
参加するいい理由ができたな‼︎




