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第0話 前世の記憶を思い出したけど、何故にこのゲーム⁉︎


初めての人もそうじゃない人も、こんにちは‼︎

これは著者がなんだーかんだーと考えて、書いてみちゃった作品です。

もう一つの連載作品も引き続き更新していきますが、こちらも連載していくつもりです。

不定期になるかもしれませんが、私がやりたいと書きたいと思って書いてるので……ご了承下さい‼︎

取り敢えずは明日も19時に更新します。

よろしくどうぞ‼︎







ある日、私、シエラ・ジキタリスは前世の記憶を思い出した。




まぁ、第一声はテンプレきたーっ‼︎って感じですね。

前世の私ってば至って取り柄のないOLさんだから。

ブラックな企業に就職しちゃって、深夜回る帰り道で居眠り運転のトラックに轢かれて死んだんですよ。

死んじゃったけど、そのおかげ(?)で第二の人生で前世を思い出したからまぁオッケーとしとこう‼︎

私、楽観主義なので、こう深く考えるのが苦手なのです。



さてさて。

前世の記憶を思い出したってことは、この世界の話をしなくちゃね。

この世界の舞台となっているのは、《精霊と乙女と愛のワルツ》という十八禁(グロいじゃなくて、エロゆえに)乙女(?)PCゲーム。

普通は健全乙女ゲームに生まれ変わると思うんだけど、何故に十八禁⁉︎と思ったのは仕方ないと思う。



で……私ことシエラ・ジキタリスは主人公ヒロインかつ異母姉妹であるアイラ・ジキタリスの恋敵(それも悪役じゃなくて当て馬)令嬢(悪役令嬢は別にいます)になりました。


だからなのか分からないけど、私はアイラに負けないくらいに美少女になる。

アイラがパステルピンクのゆるふわヘアーに翡翠エメラルドの瞳っていう可愛いを詰め込みました♡みたいな外見に相対して。

私はストロベリーブロンドのストレートヘアーに葡萄酒色ワインレッド翡翠エメラルドのオッドアイを持つ綺麗系タイプだ。



簡単なシナリオは……アイラが学園で王子様や騎士、その他諸々のイケメン達と想いを通じて……涙あり、別れあり、悲しみありの末に運命の人と結ばれて、その愛の力で世界を浄化(設定が凄過ぎて笑った)するっていう内容になっております。


その過程で現れる恋敵ライバル令嬢=私(姉)は、選んだルートの攻略対象達にアイラと同じように恋をして散っていく当て馬だ。

ルートによっては婚約までしてる時もあるけど、まぁ、ことごとく散ります。

ちなみに……貴族としては微妙なラインの伯爵令嬢の私が王子とかの婚約者になれた理由は簡単。



それは……私が強力な精霊術が使えるからなのです。



タイトルにもあるようにこの世界における精霊ってかなーり重要なポジションにあるんですよ。

世界を管理する存在であり、精霊力(分かりやすく言っちゃえば、魔力のこと)を捧げることにより、その力を貸してくれる偉大なる存在。

何もないところから火や水を生み出すのも然り。

癒しの力や、豊穣をもたらすこともある。

小さい精霊から強い精霊まで……その力は様々だけど……姉妹だからか、私とアイラはその精霊力が多いから、どんな精霊術も行使できる。

で、加えて言うと……精霊術っていうのは、あくまでも精霊達が善意で力を貸してくれることで成り立つ。

要するに、精霊達の好き嫌いによってもその力は様々な訳で。

まぁ、どんな人でも好ましい人に協力したいよね。

つまり、私は精霊に好かれやすい体質でもあるから、余計に強いのです。






「シエラ嬢?どうされましたか?」


そこでハッと我に返る。

目の前には金髪碧眼の王子様……いや、リアルに王子であるクリストファー・エン・エディタ王太子がいた。

キラキラとしたエフェクトをガチで背負ってるタイプだ。

うん、眩しい。


「申し訳ありませんわ。王族の方とお話しするのに緊張していますの」

「そんなに緊張しなくて良いのよ?」

「えぇ、母上の言う通りです。僕のことはただのクリスだと思って頂けたら」


思える訳ねぇーだろ。

とは言えませんが……私は笑って誤魔化した。



現状。

王宮の絢爛豪華な庭園の東屋ガゼボで、強力な精霊術が使える私(八歳)。

王族に接触されて、王妃様&王太子(九歳)のお二人とお茶してます。



まぁ、簡単に言えば見定められてるんですよねー。

自国に強力な精霊術ちからを持つ、危険因子になり得る人間がいる。

でもそれはまだ子供だ。

なら、警戒されないように金髪碧眼の美人……王妃アリアドネ様と同年代であるクリストファー殿下に様子見してもらおう……場合によっては王家で囲い込もうってことなんでしょうね。

ちなみに、何故ここにアイラがいないかというと……彼女、幼少期は病気をしがちで、療養中として自然が多い領地に引っ込んでるから。

まぁ、要するにあの子が本格始動するのは十七歳あたりって訳ね。




あ、そういえば。

このクリストファー殿下は隠しキャラ含め六人いる攻略対象の内の一人だったりする。

うん、これ、下手したらクリストファー殿下と婚約させられてこの国に歯向かえないようにとかさせられるんじゃないかな?

それは嫌だな……。


『大丈夫?シエラ』


普通の人には見えない精霊達が私の周りに集まって普通の人には聞こえない声で、聞いてくる。

私は心の中で彼らに語りかけた。


(あんまり大丈夫ではないかなぁ。今ね、前世の記憶を思い出したの)

『前世の記憶?』

(うん。説明が難しいから、私の記憶でも覗いてみて)

『分かった』


彼らは意識を共有している。

一人の精霊が私の記憶を見たら、周りの精霊達もそれを知れるのだ。


『うわぁ、本当だ。シエラはどうしたいの?』

(それは勿論、アイラ達のために自分の学園生活を犠牲にするのは嫌だから……早々にシナリオから脱出したいかなぁ)


そうなんです。

私は当て馬ですからね。

早々に散った後はアイラのために協力するサポートキャラになるのです。

なので、学園生活はアイラのために使うと言っても過言ではない訳で。

うん、とても面倒……。


『でも、婚約者になるかもなんでしょ?っていうか、妹に略奪愛されるけど良いの?』

(それなんだよねぇー。もういっそ、シナリオと関係ない人と婚約でもすれば……)


と、そこまで考えて私は目を見開く。

そうだよ、わざわざあんな面倒な恋敵ライバルなんてやりたくないんだから、初めからそうならないようにすれば良いんだよ。


『シナリオと関係ない人と婚約する?』

(うん‼︎どうせなら恋愛結婚したい‼︎)

『なら、ボク達がシエラが好きなタイプ、探して来てあげようか?』

(本当っ⁉︎なら、黒髪爽やかイケメンが良いわ‼︎)

『分かった〜』


精霊達は楽しそうに飛んで行く。

いやぁ、マジで精霊様々だね。

あれ?でも、これって恋愛結婚って言えるのか?

………よし、深く考えないようにしよう。

………そういえば…この世界ってファンタジーだからか、黒髪キャラなんていなかった気が……。


「シエラさん?黙ってしまってどうしたのかしら?」


そこで声をかけられて、私はまたハッとする。

そうだ、今は目の前に王族の方がいるんだから……黙り込んだりしたら、失礼にあたる。


「申し訳ありません、王妃様」

「……いいえ、そんなに畏まらないで大丈夫よ。ただ難しそうな顔をしたり嬉しそうな顔をしたり、また難しそうな顔をしたりと忙しかったから……」

「申し訳ありません」

「ふふっ、そんなに申し訳なさそうにしなくて良いのよ」


柔らかく言っているけれど、その目は何かを見定めるようで。


うわー、こ・わ・いっ‼︎


無言の笑みがその場を支配して、腹の探り合いをする。

晴れやかな空の下なのに漂う空気が不穏なのは仕方ないと思っておこう。



そんな時、場の空気を変えるように聞こえてきたのはとても暢気な声で。


『シエラ〜。シエラ好みなの、死にかけてる〜』

(死にかけてるっ⁉︎)


流石の私もびっくりだよね。

だって、まさかの私好みの人が死にかけてるだよっ⁉︎

この穏やかな昼下がりに何事っ⁉︎


「王妃様っ‼︎申し訳ありませんっ‼︎」

「え?」

「精霊達が人が死にかけていると騒いでいるので、治してきます‼︎」

「えっ⁉︎」




王妃様の返事を聞く前に私は精霊術で空へと飛ぶ。

えぇ、不敬罪でしょうけど人命優先です。












王宮の裏にある森の中。

精霊達に案内された先に降り立って、目の前に倒れている男の人に目を見張る。


そこにいたのは、火傷を負っているようだけど、白皙の美青年と分かる美しい顔。

艶やかな黒髪に、若干尖った特徴的な耳はエルフのもので。

臙脂色の軍服に身を包んだ彼は、その怪我さえなければ、完全に芸術品とも言える美しい人だった。



「って、見惚れてる場合じゃないっ‼︎」


私は急いで精霊術を発動する。

癒しの光は柔らかく彼を包んで、その痛々しい火傷の痕を治していく。


………まぁ、火傷を負ってても美しかったんだから、治したら余計にだよね。


火傷を治し終えて、彼の柔らかな黒髪を撫でる。


どうか無事に目覚めますように。

どうか、彼に幸せが訪れますように。


今はまだ他人であるのにそう願ってしまうほどに、私はこの人に一目惚れしていた。


「………んっ……」


小さく、色っぽい声を出しながら彼が呻く。


そして……ゆっくり開いた彼の瞳は、燃えるような真紅。



………十八禁乙女(?)PCゲームもびっくりな…私好みの爽やかイケメンがいた。



「………っ‼︎」


彼は目を見開いて、私を見つめる。

その瞳に私と同じ熱が宿ったのを、見逃すほど私は鈍感ではない。


「………天使、様?」

「………ふふっ、違いますよ」

「……こんなに、綺麗なのに?」


………あぁ、なんて嬉しいの。

そんな風に言ってくれるなんて。

でも、そんな偶像化されては困るから。



「一目惚れしました。私の旦那様になって下さいませ」




要約。

告げるのは早いと思いながらも、名も知らぬ爽やかエルフにシエラ・ジキタリスは告白プロポーズをかましたとさ。







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[良い点] コミカライズからきました!コミカライズの方が、今までにみたことがない感じの書き方で、原作の方が読んでみたいと思って飛んできました! まだ数話しか読めてませんが、キャラがたってて好きです!…
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