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明日が来ないなら

作者: 淀川十三

初投稿です。

朝起きてリビングに入ると同棲しているガールフレンドが虚ろな目で窓の外を見ていた。

「おはよう。どうしたの? ボーッとして」と僕は言った。

「明日はもう来ない」

「えっ?」

彼女は窓の外の景色を見続けていた。

「さっきニュースで言ってたの。明日はもう来ないって」

「それじゃ、今日で世界は終わりってこと?」

そういうことね、と彼女は言い残して立ち上がった。



まさか。

僕はリモコンを手に取りテレビを付けた。そしたら確かにNHKのニュースキャスターがいつも通りの神妙な表情で「繰り返しお伝えしましたが、明日はもう来ないと言うことです。」と伝えていた。やれやれ。

僕はテレビを消した。タバコに火を付けてアパートの二階から窓の外を見た。通りに人の気配はなく、ウグイスの鳴き声だけが聞こえた。清々しい快晴。本当に今日で世界が終わるなんて僕は信じられなかった。


彼女がノートとマジックペンを持ってリビングに戻ってきた。

「何をするの?」と僕はたずねた。

「今日でこの世が終わるのよ。やる事リストを作らなきゃね」



やる事リスト 2020年3月6日

・新幹線に乗って富士山を眺める

・シャネルのドレスを着る

・上等なステーキを食べる

・大阪のお笑い劇場に行く

・ビールをいっぱい飲む




「こんな日にお笑いなんかやってるかな?」と僕はリストを眺めながらつぶやいた。

「こんな日だからこそ、お笑いが必要なのよ。やってるに決まってるじゃん」と彼女は言った。たしかにそうかもしれない。

「あ、録画してたドラマの続きも見なきゃね」と彼女は微笑みながらノートに顔を向けていた。



数十分後。

僕たちのリストは今日中には到底出来ないほど増えた。

「キースリチャーズには会えないよ」

「もう来日してるっていう噂よ。もしかしたら会えるかもしれないじゃん」

まさかツアー中に突然世界が終わると知らされるなんて、ローリングストーンズの誰も予期しなかっただろうな。と僕は彼らに同情した。


「そういえばさ」僕は大事なことを思い出した。

「もっと先にやらなきゃいけないことがあるじゃないか」

「何よ?」

「セックス。ゴム無しで」



僕らは寝室に駆け込み、裸になった。ローリングストーンズをBGMにしてひたすら愛し合った。何度も何度も腰を動かした。僕は彼女の中で温もりを感じながら明日が来なくてもどうでもいいじゃんと思った。


感想あれば是非聞かせてください。よろしくお願い申し上げます!

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