最終話 『puppeteer』
カランカラーン…
「遅かったね、身体もまた変わってるじゃないか」
「今回は5人同時に相手してましたからね」
「…また、全員殺したのかい?」
「いえ、2人は生きてます。今回、あっちに行ってたのは1人の悲しい女性を助けるためですから」
「どういうことだい?」
「その女性は将来的に、大金持ちの変態キモオヤジに無理やり結婚させられる運命だったんですよ、姿形が綺麗ってだけの理由で。
ちなみにその女性の家庭は貧しく、女性は家族のために嫌々引き受けます。
その女性は稀に見る心の底から綺麗な人間だ。助けてあげたかったんです。」
「それがなぜ2人も死ぬようなことになるんだい?」
「簡単なことですよ。何かを救うために犠牲は必要なんです。前にも言いましたが、生物には運命が既に決まっています。でも、決まっているのはその生物の身体だけなんです。
つまり、心が入れ替わっても身体の運命は変わらない。運命を変えるには、運命を知る者が、運命に関わりのある人を殺すしかありません。
でも、それより『入替』を使った方が、過酷な運命から心優しい人間を解放できるだけでなく、汚い人間に押し付けることもできるんです。
だから、女性と入れ替わってもらう犠牲を探していた結果、将来的に犯罪を犯す4人の男に出会ったというわけです」
「老人には難しいね。それからどうしたんだい?」
「そうですねぇ…4人の男をA、B、C、D、女性をE、僕をFだとすると…
AとBを入れ替え、AはBの身体で自殺、死ぬ間際にAとCを入れ替えて、Bの身体のCが死亡。
次に、Cの身体のAと、Aの身体のBを入れ替え、Aは元どおり。
次に、EとFを入れ替える。
次に、Cの身体のBと、Eの身体のFを入れ替える。
次に、Cの身体のFと、Dを入れかえる。
そして、Eの身体のBは、AとCを殺すことを決意、まずはCを殺します。つまりここで死んだのはCの身体のD。
次に、BはAを崖から突き落として殺そうとしますが、突き落とした瞬間に、Aと、Eの身体のBを入れ替え。つまりEの身体のBはAの身体のB、自分自身を殺したというわけです。
そして、最後に残ったのはEの身体のAと、Fの身体のEと、Dの身体のF、ということです」
「なんだかもっとわからなくなったような…とりあえずむごいことをしたということだけはわかったよ…」
「まあ…全ては理解しなくてもいいんじゃないですか?
僕が理解して欲しいのは、心優しい女性が救われたってことだけですから」
「まあ、それはいい事だね…」
「ああ、ちなみにA、B、C、Eは同級生、Dは全く無関係の犯罪者予備軍で、Fの身体、つまり僕の前の身体はEのために用意した、幸せな運命が待つ身体です」
「やっぱり全部理解して欲しいんじゃないか…
ん?そういえば、Eさんの身体のA君も生きてるんだよね?」
「Aはあまりにクズだったので生き地獄の方がいいかなと。
今ごろ、あのキモオヤジと『アレ』でもやってるんじゃないですかね?中身は普通の男があんなオヤジとしなきゃいけないなんて、屈辱だろうな〜」
「あのね…君はそんな事をするために『入替』を手に入れたんじゃないだろう?」
「違いますよ。もちろん、女性の身体は返してもらいます。Aを殺してね。既に汚されたとはいえ、元は心優しい女性の身体です。次に心優しい人間を見つけた時に、新しい身体として使ってもらいますよ。
あとは、犯罪者予備軍をなくすためとはいえ巻き込んでしまったBの妹さんの手術代も全て、僕がキモオヤジを殺した後、入れ替わって払います。」
「君の力は人殺しじゃない。その力で人を殺すには、また別の人間が何人も必要になるんだよ?」
「僕の能力の犠牲者にふさわしい人間なんて腐るほどいますよ。それに、真っ白な心を持つ人を救い、少しでも黒い心を持つ人は消す、それが僕の仕事です。白は少しの黒が混じっただけでも汚くなりますからね…
マスター、コーヒー美味しかったです。また来ます」
………私は彼に協力しているが、それは本当に正しいのだろうか…『正義』とは難しいものだ…
とても短い物語でしたが、読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。語彙力の問題で、理解しづらい部分や記号の使い方の間違いも多々あったかと思いますが…
次回作については未定です。ただ、もし書くのなら今度はもう少し小説の書き方を学んでからにしようかと…
最後に、本当にありがとうございました!




