第四話 『見えたのは、死』
「もしもし、雨夜です。今時間ある?」
確かに雨夜の声だ。でもこれ、ゴウの電話からだよな…まさか…付き合ってる、とかないよな…
「聞こえてる?」
「ふぇ?あ、うん」
思わず変な声が出てしまった。まさかとは思うが、確かめなくては…
「雨夜、なんでゴウの電話使ってんの?」
「あー…それは、直接電話しようと思ったんだけど、そういえば善財くんの電話番号知らないことに気づいて、困ってたらたまたま馬養くんと会ってさ」
「へーそうなんだ(よかった)、で、何の用?」
「えっと…明日暇だからどこか出かけようかなって思ってて、それで、よかったら一緒に…土曜日だし予定空いてるかなって…」
「いきます。」
こんなことあっていいの?これって『デート』ってやつなんじゃないのか?そんなの即答に決まってんだろ。
「それで、どこに行くかって決めてんの?」
「いつも使ってる駅から大学前を過ぎていくつか次の駅で降りたら、海が綺麗な場所があるらしいんだよ、その景色を一望する所もあるとか」
「へ、へぇ〜」
「明日は休日で人気の観光名所なんかは人がたくさん来るだろうから、穴場スポットを調べてたら割と近くに良いところがあって…休日でも人少ないだろうし、そこならゆっくりくつろげるかなと…」
「そこにしよう。」
いきなり海かよ、レベル高いな。俺をわざわざ誘うってことはもしかして…いやでも、人が少ないから誰かに襲われるのが心配で男の人を…って可能性もあるから期待しないでおこう。
それにしても今日の雨夜はよく話すなあ、よっぽど海が楽しみなんだろうな。
あ、そういえば、近くにゴウがいるんだよな、ちょっと気まずいけど、話しといた方がいいか…
「雨夜、そこにゴウ、いるだろ?ちょっと代わってくれる?」
「えっ、ああ、なんか馬養くんも誰か…多分友達だと思うけど…と話し込んじゃってて、話しかけられる感じじゃないんだよね…じゃ、じゃあ、明日、9時にいつもの駅でね」
電話が切られた。結局ゴウとは話せなかったけど…まあいい。ゲームをするつもりだったが、明日を楽しむ為にももう寝よう…
もう目が覚めた。いつもよりさらに早く起きてしまった。やっぱ緊張してるからかな…そういや水着とかあったっけ。
そうこうしているうちにはや8時半。家を出る。
おいおい、今日はくもりかよ…こういう時ぐらい快晴にしてくれよ…
駅に着いた時、雨夜は既にベンチに座っていた。
「おはよう、善財くん」
「おっ、おはよう、雨夜」
「ちょうど電車来たね」
今日の電車はいつもとは違う。1時間以上も車内で雨夜と会話できるのだ。ありがとう、神様。
しかし、その期待とは裏腹に雨夜は口数が少ない。もしかして緊張しているんだろうか。昨日とは大違いだ。あれは深夜テンションってやつだったのか?
着いた!…あれ、思ったより綺麗な海じゃないな、くもり空が反射してるからそう感じるだけだろうか…
「まずは何する?…海泳ぐ?」
「…いや、風も強いし今泳ぐのは危ないんじゃないかな。先に景色が一望できる場所、行こう」
雨夜の後をついて行く。こういうのは男が引っ張っていくもんじゃないのか?情けない…
そんなことを考えているうちに到着。
「へぇ〜これは確かに景色がいいな、あたり一面見渡せるじゃん」
「…ねぇ、ちょっとこっち来て、崖の下に何か見えるんだけど…」
雨夜は眼鏡かけてないけど意外に目が悪かったりするのか?よし、ゲームをアホほどやってもいまだに視力2.0の俺が見てやろう。
「どこ?何が見えんの?」
「ほら、あそこあそこ」
雨夜の指差す崖の下を見ても、目に映るのは打ち寄せる波のみ。そこに何か浮いてるのか?
………ドンッ
「死ね」




