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アヤツリdoll  作者: レモネード
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第三話 『疑は喜に消える』

 …ん?眩しい…ここは?…まだ視界がぼやけてる。俺、何してたんだ?そうだ、死んだんだっけ。じゃあここは天国…いや、地獄か……


 だいぶはっきり見えてきたな…なんだろう、懐かしい天井だ……



 ………違う!



 この天井は間違いなく俺の家だ!どういうことだ…


「…戻ってる。か、身体…身体は…」


 布団の横の机の上にスマホがあったので電源を入れず、画面に映る自分の顔を見つめる。


「俺の顔だ……本当に戻ったんだ!!」


 こんなに嬉しいことが今まであっただろうか。たとえ宝くじで10億円当てても今の喜びには敵わないだろう。

 

「今何時だ?」


 スマホの電源を入れ、時刻を確認しようとした時、自分の寝ころんでいる頭上で目覚まし時計が鳴っているのに気づく。そういえば引っ越す時に持ってきてたっけ。

 落合は俺のスマホのロックを解除できない。だからこれを使ったのか…てことは学校にも行ってたのか?まあいい。とにかく時刻を…

 いつも起きている時間と同じ…あいつは完全に俺になりすまして過ごしてたのか?

 とにかく大学に行こう、服着替えて…


 久しぶりに走った。色々状況を飲み込めずに、電車の時間ギリギリになってしまったからだ。


「おはよう、善財くん」


「おっ、おはよう、雨夜」


 良かった…いつもの雨夜だ…

 とにかく今日は、俺が入れ替わっていた間のことを聞き出すことに集中しよう。時間はたった30分しかないんだ!


「あ、あのさ…最近、俺と会わなかった日ってある?」


「いや、なかったよ」


「そ、そう?じゃあ、なんか様子が変だな〜って時は?」


「別に…いつも通りだったと思うけど?」


「そうか、じゃあいいんだ!気にしないで!」


 駅を降り、いつものように左の道に向かう。

 あれ、雨夜が自分のカバンをあさっている。


「どうした?」


「ちょっと忘れ物したかもしれないから探してて…」


「マジかよ、俺も手伝おうか?」


「い、いや、いいよ、先行ってて!」


「お、おう…またな」


 雨夜、焦ってたなー。まあそんな姿も良かったけど。あ、歩き出した。忘れ物ってのは勘違いかな?

 手伝ってあげたかったけど確かに俺自身、急がなきゃいけない理由があるんだった。


「おーい、アタルー」


 こいつもいつも通りだな、まあ心配はしてなかったが。

 大学に着き、いつも通りの会話。


「ゴウ、今日は何すんだ?」


「テニスやろうぜ!テニス!」


「またかよお前…」


「あ…そういえばお前、朝のニュース見たか?」


「いや、見てないけど…」


 嫌な予感が脳裏をよぎる。自分が元の身体に戻れた喜びですっかり忘れていた、あの事。


「落合が死んだんだってよ。今日の朝早く、まだ暗い頃だ。自殺らしいとか言ってたな…」


 予感は的中した。今1番聞きたくなかった言葉。実は少し、あれは夢だったんじゃないかと思いはじめていた。でも、やはり違ったんだ。

 自分がどうすればいいのかわからない。俺が殺したのか?…違うだろ…俺は、自分が死ぬ為に車に飛び込んだんだ。それで『入れ替わり』から戻って……

 そうだよ…これは仕方なかったんだ!不可抗力だろ?俺は殺ってない…やってないぞ!


「そ、そうなのか…自殺…あいつ、いろんなやつにいじめられてたっぽいし、借金…じゃなくてえっと…自殺願望が芽生えてもしょうがないっていうか…」


「…………なあ」


「ん?」


「落合を殺したのは…『お前』、だろ?」


「!!っ…は、はあ?今、お前が自殺だって言ったんだろ?何…意味わかんねぇこといってんだよ!?」


「………そうか…確かに変なこと言ったな…」


「ほ、ほら!早くテニスしに行こうぜ!」


「そうだな。し に行こうか」




 よし!全講義終了!久しぶりの講義で疲れがすごいな…これからバイト行ってゲーム…って今日は金曜だから行かなくていいんだった。じゃあ帰ってゲーム…

 あそこにいるのは…ゴウか。朝あんな事があってから一切喋ってないな…ゴウと喧嘩したのなんて小学校以来なかったのに…さっさと仲直りしとこ…


「おーいゴウ!今日は食堂行かないのか?今日はおごってやってもいいぞー」


「いや、今日はいいわ」


「そ、そうか。じ、じゃあな!」


 やっと帰ってきた…よし、早速ゲームだ!ゲームも3日ぶりか、明日は土曜だし、遅くまでやってても大丈夫だな。

 気掛かりなのはゴウだが…あいつ、なんかいつもと雰囲気が違った…もともと怖い顔だけど、もう付き合いも長いからそんなこと意識してなかった。でも今日のあいつは……『怖い』と感じた。

 でも落合は…仕方なかったんだ!俺にはどうしようもなかった!ゴウには明日にでも電話かけて誤解をといて、早くいつもの日常に戻ろう…

 そうだ、毎日に刺激なんて必要ない。何も変わった事のないいつもの日常が1番幸せなんだ!


 プルルルルルルル…


 突然電話のベルが鳴る。


「誰だ?こんな時間に珍しいな…」


 表示されていたのは『ゴウ』の文字。「今日は悪かった」的な電話か?俺が先に謝らねぇとな…


「もしもし?ゴウ、今日はごめ…」


「もしもし、雨夜です。…今時間ある?」















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