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空と空  作者: 東京 澪音
4/16

the end of the sky ~ 空side~ 4


6時限目の英語の授業。

相変わらず集中できないでいる自分がいる。


今日はこの授業さえ乗り切れば解放される。

そんな事を考えていると、不意に誰かが英語で私を叱責する。


Stand up! Miss Aoyama!


私は窓の外から黒板に視線を戻すと、腕組みをしてこちらを睨みつける女教師がいた。


少しだけ教室がざわめく中、私はその場に立った。


彼女はGurandmaグランドマザーというあだ名の先生で、今年35歳になる女の先生だ。

全然年配ではないのに何故こんな仇名が付いたのか?


それは昨年、新任の若い英語教師がこの学校に赴任してきた為、誰かがそれを区別する為にGurandmaとあだ名をつけた事が始まりで、今はそれが全校生徒及び全教師に浸透している。


本人もその事実を知っているようで、そのせいか、最近少し苛立っているようにも見える。

おかげで彼女のあだ名は、GurandmaからHysteric Gurandmaに変わりつつあった。


そんな彼女が、授業そっちのけで空ばかり眺めている私に嫌味全開でこんな質問をしてくる。


Where do you want to go?

(あなたは何処に行きたいのですか?)


at the end of the sky

(この空の果てまで)


Gurandmaは、一瞬凄い形相をしたが、私は構わず着席した。


彼女の質問に事実を答えただけであり、それについて睨まれる筋合いなんかない。

教室内の時が一瞬止まったかの様な静けさに包まれたが、私は構わず視線をまた窓の外に移す。


それからしばらくすると6限目終了のチャイムが鳴る。

授業中の静寂な雰囲気が嘘の様に騒がしくなる教室内。


私はカバンに教科書をしまうと、帰りの支度を済ませる。

5分位すると担任がやってきて帰りのホームルームが始まる。


特に伝達事項等がない為、ホームルームはすぐ終わった。

私はカバンを手に持つと、一瞬だけ彼に視線を移し、足早に教室を出た。


一瞬だけ見た彼は、ほお杖をつき、私と同じで窓の外を眺めていた。

たったそれだけの事なのに、なぜこんなに胸が高鳴る?

恋ってのは少し厄介ね。


そんな事を考えながら、私は図書館に来ていた。

昼間の続きをリサーチする為に。


恋愛関連のものをピックアップし、目を通していく。

色んな事が書いてあって、ためになりそうな事もあるが、どこかシックリとこない。


それは何故かと言うと、私の恋と本の中の恋では明らかに違いがあるからである。


確かに、恋はこのように進めていけば・・・的な事は書いてあるし、それに対して結果こうなった的な事も書いてあったりもする。


恋をするとこんなにも胸が高鳴り、好きな人の顔さえ見れなくなり、その場から逃げ出したくなる。恋について共感できるトコもあり、間違いなくこの本は女性中心に売れたであろう。


でもそれはその本の著者の恋愛であって私の恋ではない。

私に今の胸の家とこの本の著者の胸のうちが同じとは限らないのだ。


私は為になりそうな事だけを書き出して、本棚に本を戻した。

どれもこれも私のバイブルになりそうなものはそこにはなかった。


恋も考え方も十人十色だし、幸せの形だってそれぞれみんな違う。

私のこの感情は私だけのもので、その辺のベストセラー的なもので簡単に片づけられるほど安いものじゃない。


などと考えつつも、こうやって図書館で恋について書物をあさっている辺りは、自分でも滑稽に見えてくる。


まるで三文コントだ。

私は自分で自分を失笑していた。


そう、これが今までの本来の私だ。

何処か世界を斜めに見ていて、醒めている。


でも今はその隙間に恋が入り込んでしまっている。

そのおかげで、熱いものが込み上げてくる瞬間がある。


そんな時はいつも何かにしがみつきたくもなるが、むなしく空をきるだけだった。


それが今。


書物と言う名の知識にしがみつきたかったが、結果どこか悟ってしまった自分がいて、掴むことが出来なかった。


このままこの気持ちを野放しにしておくのはまずい。

答えが見つからないなら、自分でそれを見つけるまでだ!


そこにはさっきまでとは違い、探求心に心ときめかす私がいた。




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