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空と空  作者: 東京 澪音
2/16

the end of the sky ~ 空side~ 2


まだ胸が少し高まったままだ。


なぜ?


屋上から走って教室まで来たからだろうか?


いや、それは違う。

あれから一時間以上経っている。


さっきから私の頭の中は、なぜ?ばかりが巾を利かせている。


午後の授業、いつも以上に上の空な私がいた。


気が付くと授業もホームルームも終わっていて、教室は人も疎らだった。

カバンに教科書を詰め込むと私は席を立った。


少し気になって振り返った斜め後ろの席に、彼の姿を確認する事は出来なかった。

少し残念なような、ホッとしたような、ちょっと複雑な気持ちになる。


なぜ?

まただ。


さっきから奥歯にものが挟まったままの様な、スッキリしない気分が続いている。


考えれば考えるほど深みにはまっていく。

この苛立ちの矛先をどこにも向けられないまま、私は校舎を出た。


なんなのよ一体!


私は駅前まで早歩きで出ると、あまりの気分の悪さに本屋に立ち寄る。

私は医学書を手に取ると、同機の原因について調べ始める。


”動悸”


心拍は、交感神経と副交感神経からなる自律神経によってコントロールされています。

不安・緊張・ストレス状態にあると、交感神経の動きが高まり、筋肉が緊張し血圧や心拍があがり、呼吸が浅くなります。


また、カフェイン・アルコール・ニコチンは自律神経を刺激し、血圧を変化させて脈拍を早める作用があります。摂取し過ぎには十分気をつけましょう!・・・か。アルコール・ニコチンは私には関係ないからこの辺は大丈夫そうね。


その他色々な本を調べてみたが、コレだ!という確信めいたものを発見できないでいた。


一通り読んでみて共通していることは、自律神経を整えるという事。

その為には副交感神経を優位に立たせる事が有効だとか。


私はその中から、副交感神経を優位にするいくつかの方法をピックアップし、家に帰る事にした。


途中、コンビニによりHOTのストレートティーを買う。


店の奥に飲食できるスペースがあるので、そこの窓際に腰を下ろす。私は少し冷えた身体を温める様にストレートティーを口に含む。


身体が少し暖かくなる。


ただボーっとしてるのも性に合わないので、私は人間観察を始める。

見渡すと、一組の男女が目に入る。


彼らはとても仲がよさそうに見える。

私にはとても縁遠い事なので、興味が湧く。


異性にはどう接するのべきか?


二人とも他愛もない会話をしている。見た目に緊張している様子は伺えない。

距離はとても近い。


それだけ二人の関係値が高い事になる。


観察を続けていると、女の子が男の子のポテトを不意に一つ奪った。


「一つ頂き!」


不意にポテトを奪われたにも関わらず、男の子は怒った様子はない。むしろ悪戯っ子をあやす親の様に女の子に接している。


なぜだ?


なぜあんな顔が出来るのだろう?


人のものを勝手に奪えば怒られて当然だ。でも、怒る様子はない。

つまり、彼らはある程度関係が親密であると推測できる。


つまり、彼らの心の距離はとても近い事になる。


心の距離。


若干もどかしさが残るものの、奥歯に挟まったものが少し緩んだ気がした。


私はペットボトルをごみ箱に捨てると、お店を出て駅に向かう。

電車はすぐに来た。


4つ駅をやり過ごし、そこからバスで10分程揺られて、徒歩3分で家に着く。

部屋に入ると窓から西日が差していた。


私はカバンを机の上に置くとベットに倒れ込む。


今日の事を考えていた。


私の質問に真面目に答えてくれた彼。

何故私はあんなにも胸の内を話してしまったのだろうか?

彼の声、彼の顔、彼の仕草。


彼の事を考えると、胸が少しドキドキする。

もどかしいような、この感情はどうしたら収まるのだろうか?


私は高まる気持ちを抑える為、さっき本屋でピックアップした自律神経を整える方法を実践する為、お風呂に入る事にした。


30分程ゆっくり湯船につかってみたものの、あまり効果は感じられない。

ご飯を食べても、軽く運動しても、結局私の心からもやもやした気持ちが消える事はなかった。


窓の外を遠く眺めると、今日はとても星が綺麗に見える。


少しだけ心が軽くなる。


明日もう一度彼と話してみよう。

そう心に決めると、私は暖かい布団に滑り込み眠りについた。












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