もう遅い
いつもの通学路を、俺は歩く。今日は俺の前に、浜崎が歩いていた。
同じクラスの、ちょっと地味めな女子だ。
最近立て続けに起こった、学生の連続殺人事件。犯行は白昼堂々と行われていたらしい。犯人は未だ見つからず。
浜崎は、その事件全ての、唯一の目撃者だった。
殺人現場を何度も見るはめになるなんて……あいつも大変だな。ご愁傷様……って、あいつに言うのはおかしいよな。
にしてもおっかねぇ。連続殺人とは。
……ん?
ちょっと待て。待てよ。
いくら何でも、変だろ。あり得ないよな。
殺人にそうそう何度も遭遇するなんて。どんだけ運が悪くったって……。
まさか……まさか、あいつが……?
あいつが……
……はっ、んな訳ないなぁ。
俺は顔を伏せて、しばらく一人でクスクスと笑った。
そして俺はまた前を向く。
すると前から浜崎がゆっくりと、俺の方へと近づいてきているのが見えた。
笑みを浮かべて。