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プロローグ

この作品はプロトタイプみたいなもので、以前から新キャラも加えての長編の構想があったりします。

いっそここで書くべきか、賞にチャレンジしてみるべきか。新キャラのネタ的にも、悩ましい限りだったりします。

 世界が白い靄に包まれている。正確には、自分の目がフィルターのようなものに覆われている、と言った方がいいかもしれない。

 夢か。

 俺は直感で見ているものがそうだと判った。ある人物を自分の部屋で待ちながら、ベッドの上に転がっていたはずだからな。夢に思えた判断材料は他にもある。

 わんこ……つまり、犬だ。周辺を転がり戯れている本物に、おかしな点は無い。

 何が問題かと言えば、自分に時々纏わり付いてくる犬の耳と尻尾を生やした子供だ。断じて作り物などじゃなく、自由自在にそれらを操っていた。現実の意識で、現実世界に存在しない生き物を目にして、夢と言わずに何と表現する。幻覚なんかじゃないぞ。

 目線が低いから、俺は恐らく夢の中で子供になっているようだ。同じく縮んでいるが、顔馴染みの少女が頬擦りしてきた。

 こいつは……。

 その時、白い子犬が胸に飛び込んできた。頬擦りしてきた少女の抱えていた子犬だ。子犬とはいえ、少年に戻っている自分にとっては小さくない。

 子犬は何故かよく懐いていた。犬を現在進行形で飼っていたり、過去に飼っていたりした覚えは無い。

 この状況は何だ。人間一人がもふもふ軍団に囲まれる天国地獄か? とりあえず、動物は嫌いじゃない。どちらかと言えば、まあ好きか。だが俺はいつまでも悦でいられる類の人間じゃなかったようだ。

 軽く悪夢を見ている気になってきた。

 夢の中で疲れてきたところに、声が響いてくる。

「――くん?」

 ああ、この声は現実世界から聞こえてくる。やっぱり、俺は昼寝をしていたんだな。

「――みくん?」

 この声は、現実世界に呼び戻そうとしてくれている、あいつの声だ。

「――(たくみ)くん、起きて」

 ちなみに、匠とは俺の名前で、苗字は犬飼(いぬかい)だ。重ね重ね言っておく。生まれて此の方、犬をペットにしたことは無い。

 寝惚け眼を開くと、見知った顔がぼんやりと目に映った。

「……今、起きる」

「うん」

 俺は起き上がって、幼馴染の顔をよく見てみる。

「…………おい」

 ――俺の悪夢は、現実世界で始まったばかりだったらしい。


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