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幽霊少女監禁

作者: 山北深夜

主人公が変態です。あと人間相手だと明らかな犯罪を犯しています。

ご注意ください。

 一目惚れしていた女の子が事故で死んだ。どうやら幽霊となっているらしく、半透明で困ったように宙に浮いている。そんな姿が見えることから、僕には霊感が存在していたようだ。驚くことに、なんと幽霊である彼女に触れることさえできる。



 ので、僕は彼女を家に連れ帰った。



 戸惑う彼女の腕を掴みながらインターネットを検索。幽霊を退ける結界とやらを印刷して部屋の周囲に貼り付ける。ちなみに脱衣所である。

 どうやらお札に効力があるらしく、彼女は悪態をつきながら何度も札を剥がそうとしているが、なんか不思議パワーで弾かれている。インターネット産で、なおかつコピー用紙への印刷のくせにすごい。これで彼女は僕から離れられないらしい。監禁完了である。やったー。ひゃっふー!

 高まるテンションに身を任せ、取りあえず服を脱ぐ。だってここは脱衣所だからね。仕方ないね。


「えっちぃことしようぜ!」


「…………死ね」


 カミソリが飛んできた。

 どうやら機嫌を損ねてしまったらしい。おかしい。女の子は真っ直ぐな思いに弱いのではないのか。びっくりするほど正直な気持ちで接しているのに、彼女はまるで僕をゴミであるかのような目で見るのだ。

 どうしたらいいんだろう。分からないので彼女に聞いてみた。


「とりあえずその粗末なものをしまってくれる?」


 ちょっと泣いた。

 とはいえこんなことでへこたれる僕ではない。パンツを洗濯カゴへ入れ(ドン引きされた)、ズボンを履き直し(汚物を見るような目で見られた)、さいっこうのキメ顔で彼女を見る。


「えっちぃことしようぜ!」


「キモい。無理。ほんと無理。生理的に無理。キモい。死ね」


 こっぴどく振られてしまった。涙目になった。さようなら僕の初恋。さようなら一目惚れ。あ、違う。そうじゃない。監禁しているのは僕なので、立場は僕の方が上なのだ。だから僕は振られても第二、第三のチャンスがあるのである。そう、これこそ無限ループ!


「えっちぃことしようぜ!」


「嫌だっつってんだろゴミ屑が」


 第二も失敗。心の汗が目から溢れる。というか無限ループだったら僕はひどい言葉で振られ続けてしまう。それは実に困る。今僕が抱える熱いパトスの情熱は既に先走っているのだ! 故に3度目の正直とするため、僕は全身全霊をこめ、今、この激情に身を任す――!

 そう!


「えっちぃこと、しようぜっ!」


「ちょっと黙れ」


 めっちゃ冷たい声だった。興奮した。あ、違う、ほら、あれだ。ちょっと起立、じゃなくて。びっくりした。うん。びっくり。

 すごく冷たい視線で僕を視姦しながら、彼女は熟れた唇を僕に向け、甘い吐息で喉を震わせ、僕に声を届かせんとす(なんかこう書くとかっこいい)。


「あのね、そもそも私と貴方は初対面よね」


「そうですね! えっちぃことしましょう!」


「黙れ」


 怒られた。ちょっと本音を言っただけなのに。青年時代の性欲というものは実に旺盛なのだのだから仕方ないではないか。えっちぃことしようぜ!


「初対面の人にそういうこと言ってさせてもらえると思うの?」


「自分に正直なのはいいことだから大丈夫! えっちぃことしようぜ!」


「黙れっつってんだろ」


 そっちが聞いてきたのに……。いやはやまったくどうしたのだろう。彼女に怒られる心当たりの一切がない。…………はっ! もしや! いやなるほど! 彼女は僕に構って欲しかったのか! やだっ! ツンデレってやつ!? ちょーかわいー! えっちぃことしようぜ!


「あのね、普通は貴方の言うえっちぃことをするためには、お付き合いして、親密になって、お互いに責任のとれるようになって、結婚して、そうしてようやくできるの」


「幽霊だから大丈夫! えっちぃことしようぜ!」


「死ね」


 ツンツンな彼女はまたもカミソリをポルターガイスト的な何かで飛ばしてきた。カミソリは見事に僕の頸動脈を軽くかすっていく。手で傷口に触れると、どうやら血がでているようだった。……どうしよう。このままでは彼女とえっちぃことができないままカミソリに切られて死んでしまう。いやでも負けない! 僕は絶対に彼女とえっちぃことをするのだ! 引かぬ! 媚びる! 顧みる!


「……はぁ。そもそもね。私は貴方に好意を持っていないの。だから、私は貴方とえっちぃことはしたくない」


「でもできることはできるよね?」


「殺すぞ」


 五度目くらいの拒絶。心なしか殺気が篭っているきがする。くそう! なんだってこんなに嫌がるんだ! 恥ずかしいからか!? ちくしょう! 僕はこの熱く煮えたぎる白濁の情熱を一体誰にぶつけたらいいんだ! もちろん彼女にぶつけたい!


 しかしすねたのか、彼女はそっぽを向いてしまった。此方に目を向けようともせず、口を開く様子もない。どうしようかと思考を巡らせ、ふと思いついた。


 こっち向いてないしどうせ気づかれないから、こっそりこの熱いパトスをぶっかけよう。


 思い立っては急がば回らずとも吉日となるのである。振り切れそうなほどに高まるテンションと情熱を感じながら、僕はゆっくりと、音を出さないように服を脱ぐ。やらないかな気分である。パンツ脱いでてよかった。大丈夫。まだ気づいていない。というかここは脱衣所だから服を脱ぐのはおかしくない。風呂場が近いからここを監禁場所に選んだけれど、言い訳としては完璧だ。ナイス僕。流石である。

 そうして、服を最後まで脱ぎ……。









 ――高まる興奮。振り切れるテンション。飛び出す情熱。











 ……ふぅ。




「ほんっきで死ねええええええええぇぇぇぇぇええっ!!!」


「ゴフぅっ!?」




 死ぬかと思った。本当に死ぬかと思った。というかなんで脱衣所にカッターナイフやハサミがあるのだろうか。危なすぎるだろう。なんて呑気に考えているが、現在土下座中である。いや、今になって思うと僕ってば暴走しすぎである。パトス溢れさせてんじゃねーよ。

 そう、僕はいま賢者の時間なのだ。熱いリビドーはある程度冷めたので冷静な思考力をてにいれたのである。あ、でももう一回やりたい。

 しかし目の前には仁王立ちした彼女。ものすごい形相で僕を睨んでいる。今にも怨霊になりそうだ。


「どうしてこんなことしたの?」


 問いかけは優しいのに、その声に一切の感情も、起伏も含まれていない。一回りしてなんとやらというやつだ。でも僕は悪くない。


「若さ故の過ちです」


「死ねよ」


 正直に答えたら思いっきり蹴られた。解せぬ。ちなみに僕の情熱は彼女をすり抜けた。どうやら僕自身しか彼女に触れられないらしい。つまりえっちぃことはできる。ひゃっほーい!


「……本当に殺すぞ」


 おぉう。さ、流石に彼女とすでに以心伝心までの仲になっているとは思わなかった。刃先を向けられたカッターナイフを目前にして動悸が高まる。なんだろうこのトキメキ……。やだ、僕ってば興奮してるっ!? 僕はマゾだったのか!


「…………」


 ついに放置プレイに至る。あまりにも早い調教速度に、僕ってばついて行けるか不安である。もしかしたらこのまま行けば朝までには羞恥プレイへと至るような予感がする。あ、でも彼女の恥ずかしがる姿は見てみたい。こう、友達の前で裸になって幽霊だから見られないけれど、やっぱり恥ずかしいしもしかしたら霊感あって見られるかもしれないっていう不安に真っ赤になった彼女とかいい。あ、やばい。興奮してきた。賢者タイム終了である。ちなみに下半身裸なのでバッチリ見られている。あ、やばい。見られてるのもいい。っていうかあれだよね。下半身裸のまま正座させるっていうのはつまり僕の下半身を見てみたいたとかいう僕への好意から成り立っているんだよね。つまり彼女は僕の性欲を受け入れる準備をしている訳でよし合意きた。っていうかよく考えたら幽霊って人権ないじゃんだから大丈夫いけるいける犯罪じゃないからエロいことができるのだ。エロ同人みたいに!


「Foooooooooooooo!!!」


 ひゃっはー! やってやるぜひゃっはー!


「殺すわ」


 えっ?

















「おはようございます」


「おー。遅刻だぞどうし、って本当にどうしたんだその怪我は!」


「バスタブが飛んできました」

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