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第二話 ヒューマンファックテスト 2

 「・・・それでは、本日実施される人徳テストについて説明するぞ・・・」

教壇の上で偉そうな教師が何かを喋っている。

「・・・・・・・・・」

僕はそれを頬杖ついて聞き流していた。

ボヘー。

そんなだらしのない顔をしていただろうね。その時の僕は。

でも、僕がそんなうわの空になっていても、教師の説明は続いている。

僕の事を気にする様子も無い。

そんな注意散漫な生徒が居たら、直ぐにでも叱責を飛ばしてきそうな見た目が怖い先生だったけど、その時は別だった。

だって、

「・・・従って、午前に90分のテストを二回。昼休みを挟んで午後にも一回、同じ時間で試験を実施する・・・」

その教師は目の前に居る僕らに対して、マイクを使って説明をしていたから。

だからその教師の声は、前方の教壇からというよりも、むしろ後ろの壁に設置してあるスピーカーから聞こえている印象が強かった。

「・・・・・・・・・」

そこは、僕らが普段授業を受けている狭い教室では無かった。

教壇の教師が相手にしている生徒は、


ガヤガヤ・・・


「・・・静かにしろッ」

総勢三百人の大集団だった。




そこは高等部の校舎に併設してある大講義室。

それがこの校舎には三つあるんだ。

その三つある大講義室の内の一つに、僕ら高等部Bの一年生全員が集められていた。勿論、本日実施される人徳テストの為に。

僕はその巨大な人の集団の一番後ろの右から五番目の席に座っていた。

だから、僕がどんなにだらけた態度でその説明を聞いていても、教師がそれを咎めるような事はしなかったのだ。

咎めようが無い。

だって、僕はその三百人の生徒の中のほんの一人なのだから。

気にする訳が無い。

僕とその教師との距離は何百人という生徒の群れで隔てられているのだから。

それこそ黙っているだけ、騒いでいる生徒達よりよっぽど素行の良い生徒に見られた事だろう。

「・・・・・・・・・」

けど、違うけどね。

僕が呆けていたのは、このテストが憂鬱だとか気が乗らないとかそんな理由じゃないんだ。

「・・・へへ」

にやにやが止まらない。

眼を閉じると、そこにピンクの縞々模様が蘇って来る。

膝を折って中腰で笑う、愛しい彼女のアンダーグラウンドが。

・・・・・・・・・

僕は、昨日の事を思い出していた。

彼女の事。

絵空ちゃんと遊んだ事をね。

「・・・うん、カワイイ」

思い出の中の彼女を見て、思わずそう呟いてしまう。

「え、なに?」

隣の男子生徒が、突然何かを呟いた僕を不思議そうに見ていた。

まぁ、全然気にしないけど。

そんな人の目を気にする僕じゃない。

それよりも、僕の頭の中は絵空ちゃんの事で一杯だった。


彼女は僕と同じくらいの身長だ。

僕は男子の中では小さい方だけど、絵空ちゃんは女子の中では大きくも無く小さくも無い、といった所だ。

もちろん太ってなんかいない。痩せすぎでも無い。

でもスタイルは良い。うん良いよ。

うちの制服って結構緩めに設計してあるのか、女子の起伏がみんな同じように目立たないんだけど、それでも無い事はない。

多分、そこそこあるんじゃないかな?起伏がさ。

・・・・・・・・・

まぁ別に、身長や体型だけが彼女のチャームポイントでは無いんだけどね。

特徴的なのは髪の毛さ。

彼女のふわふわの髪の毛。

それが天然なのか美容室なんかでセットしているのかは良く分らないけど、彼女の髪の毛は全体的にパーマがかかっていた。

毛先にかけて髪の毛がゆるゆるとカールしているんだ。

それをカチューシャで軽くまとめている。

長さは肩に少しかかるくらいかな?

それがまた絶妙の長さなんだ。

彼女の顔は小さいからね、その髪と顔の比率が抜群さ。

黄金比と言っても過言では無いね。

そんなふわふわヘアーに包まれた彼女の顔は、本当に・・・可愛かった。

それに彼女は年の割に童顔なんだよ。

僕よりも一つ学年が上の彼女だけど、それでも、初めて見た時は本当に年上とは思えなかったんだ。

本条君と同い年な筈だけど、間違いなく本条君の方が年上に見えた。

あ、いや本条君が老けてるとかそういう話じゃないよ?

彼女は年の割に大人っぽくて、逆に、絵空ちゃんが年の割に幼い顔立ちをしている、という話さ。

もちろん、僕にとってはそのどちらも捨て難いんだけどね。

だけど、その時はやっぱり・・・

「・・・あぁ、やっぱ可愛いな・・・」

絵空ちゃんの事しか頭に無かった。

にやにや。

「・・・だから、さっきから何だよ?」

やっぱり、隣の奴が鬱陶しそうに僕を睨んでいた。



 「・・・はい、じゃあこれを一部ずつ後ろに回して・・・」

教壇の先生がそう言うと、講義室の左右に待機していた別の教師達が何やらテスト用紙的な物を一斉に配り始めた。

最前列に座っていた生徒達の前に、ドンッ・・・ドンッ、と大量の紙の山を置いている。

「・・・・・・」

僕が座っているのは講義室の最後列なので、遠目でしかその様子を確認出来ないけど・・・見ただけでげんなりするプリントの量だった。

それを生徒達が黙々と後ろの人間に渡している。

そして大した時間もかからずに、僕の手元にも、

「・・・はい」

テスト用紙が届いてしまった。

目の前に座っているのは何処のクラスの誰かも分からない女子生徒だったけど、そいつは僕の方を振り向きもせずに、手だけでその紙を渡してくる。

「・・・・・・」

僕はそれを無言で受け取った。


「みんな、手元にテスト用紙が届いたか?」


試験用紙を配り始めて少しざわつきだした講義室に、また教壇の偉そうな教師の声が響く。

「届いたなら確認しろ。今配ったプリントは第一試験の用紙だ。全部で四枚、ちゃんとあるか確認しろ。・・・問題なければそのまま四枚のテスト用紙全部に、組、番号、名前を記入して用紙を裏返して待っていろ。不備がある奴は今すぐ手を挙げるように」

矢継ぎ早にその教師は説明したが、そのテストに対して質問しようとしている生徒は一人も居なかった。

誰も手を挙げない。

無論、試験用紙の不備による生徒の挙手も無い。

さっきまでざわついていたのに、その教師が喋った途端、シーン・・・と静まり返ってしまった。

何となく、生徒の間に緊張の空気が漂いだした。

「・・・ふむ」

教壇の教師はその静まり返った生徒達を見て、講義室の前方、教壇の真後ろに取りつけられた時計をチラリと確認していた。

僕の席からその時計は本当に小さく見えるのだけれど、アナログ時計だったからか、どうにか時間くらいは確認できた。だいたい・・・だけどね。

時刻は午前八時五十七分か、八分くらい。

いや、もう九分かな?

まぁそのくらいさ。

あと少しで九時になりそう・・・って感じの時間だった。

「・・・よし、じゃあ試験開始まで後もう少しあるから、最初に一つだけ忠告しておく」

教師はそう言って、教卓の上に置いてあったプリントを手に取り、

「お前達一年生は初めてだから一応説明するが・・・この試験は・・・まぁ言うなれば、お前ら生徒の意識調査みたいなものだ。・・・お前達がこの学園で何を学び、どういう考え方をしているのか。その方向性を全体的に調べる為に実施する試験だ。だから実際、定期試験のように小難しい問題を用意している訳じゃない」

ぺらり。

教壇の教師がおもむろに手に持ったプリントを一枚めくった。

「・・・ただ、いくら簡単で意識調査の意味合いが強いとはいえ、一応試験は試験だ。そこにはちゃんと及第点がある。・・・ま、つまりは」

ごく。

何か一瞬、生徒達が息を飲んだ音が聞こえた気がした。

「・・・・・・」

だけど僕は、そんな風に息を飲んだりはしない。

だって、事前にその情報は受け取っていたから。


「・・・及第点に満たなかった落第者には、後で補習と追試を受けてもらう事になる」


カチッ。

ちょうどその時、講義室の時計の針が午前九時をさした。


「んじゃ、始めてくれ。・・・時間は90分。時間厳守でよろしく頼む」


教師のその言葉とほぼ同時に、

ザァッ。

生徒達が一斉に問題用紙を捲った。

・・・・・・・・・

楽しい、楽しい、クソテストの始まりだった。



 カチカチ、カチャカチャ・・・カッカッカッカッ・・・・・・

テストが開始されてからまだ一分も経っていないのに、もう周りからはあの試験独特の嫌な音が鳴り響いていた。

「・・・・・・さて」

ぺらり。

僕はその嫌なBGMを聞き流しつつ、ゆっくりと試験を開始した。

その四枚のプリントを捲ってすぐ目に飛び込んできた文章。

それは僕の予想通り、二者択一の○×問題だった。



【第一問】

「次の設問を読んで、正しいと思うのであれば○、間違っていると思えば×を記入しなさい。」



Q1,「人生にお金は必要か?」

A,○


Q2,「自分は何でもできる人間だ。」

A,○


Q3,「自分にとって利益の無い人間ならば、付き合わない。」

A,○


最初は、まぁそんな感じの当たり障りのない心理テストのような項目だった。

・・・・・・・・・


Q58,「良く良く思い返せば、あんな物買う必要が無かった。」

(何の話だよッ!あんな物ってなんだよ!)

A,×だ!×


次第に・・・

・・・・・・・・・


Q127,「スポーツ万能のA君と料理上手のBさんはとても仲が悪いです。」

・・・・・・・・・

え?問題ここまで?てかこれ、問題になって無いよね?

ねぇ?

「・・・・・・・・・」

はぁ、知らんよ・・・A君とBさんの仲なんて。

・・・

悪いんじゃね?

スポーツ少年と料理上手とか、実は相性最悪なんじゃないの?

A,○


問題が変化を遂げていく。

と言うか質問の方向が明らかにズレ始めていた。

・・・・・・・・・


Q225,「嵐の・・・」

「・・・・・・・・・」

ベキッ。

あ、シャーペンの芯が折れた。

無意識のうちに力が入ってしまったようだ。

いかんいかん・・・

ついイライラしてしまった。

なになに?


Q225,「嵐の夜に海水浴に行きます。」

(・・・だから何の話なんだよッ!しらねーよッ、行けよ勝手に!)

A,○だ!海で溺れて死んでしまえッ


・・・・・・・・・


Q3・・・

ねぇ・・・この○×問題少し多くね?

もう既に、配られたテスト用紙の四枚目なんだけど。

つーか、最後のプリントね。四枚目。

「・・・・・・ふぅ」

少し落ち着こうか。

僕は今まで回答してきた三枚のプリントを改めて読み返してみた。

「・・・・・・・・・」

試験用紙一枚につき、百問の○×問題がびっしりと書き込まれている。

・・・・・・・・・

Q1~Q100

・・・・・・・・・

Q101~200

・・・・・・・・・

Q201~300

・・・・・・・・・

そして。

「・・・・・・」

四枚目。


Q301,「あなたとあなたの家族が乗っていた遊覧船が、突如原因不明の事故で沈没してしまいました。しかしあなたは奇跡的に一人乗りの救命ボートに乗って難を逃れています。しかし、目の前には大勢の人間が海に投げ出されていて、あなたの家族もその大勢の人間の中に居ます。さて、あなたは一人乗りの救命ボートで自分の命を守りますか?」



「・・・ん?」

僕はその四枚目の問題を読もうとして、ふと気付く。

Q301,「あなたと・・・」

という301問目の横に回答欄が一つあるだけで、その四枚目の試験用紙にはそれ以外何も記載されていない。

左上の少しのスペースにQ301,があるだけで、その後の問題は何も無かった。

つまり。

「・・・ようやく、終りか」

僕はひとまず、シャーペンを置いて時計を確認した。

現在、午前十時十分前後。

この試験が始まったのが九時だったから、試験終了までおよそ二十分はある。

ふぅ。

僕は一つ息をつき、周りの生徒なんかを見渡しながら、この試験のくだらなさを実感していた。

本当に、気が滅入るような試験だった。

実際、最初の50問あたりまでは、まだまともな質問だったんだ。

それこそ、人徳という名の通り、人間のモラルや思想を問いただすような返答に困る設問が多かったのだけれども・・・

50問を越えた辺りから、どうにも変になってきたんだ。

別の意味で、返答に困るような問題がね。

つーかむしろ、返答に困ると言うか回答のしようが無い問題がチラチラ出始めてきて、200番台からは、そんな意味不明な設問が乱立しだしたんだ。

そんな感じで、意味の分からない質問を合計300個も回答して、ようやく辿り着いた最後の問題だ。

というか、この人徳テストの第一試験・・・結局全部○×問題だった。

そして、極めつけが・・・これか。

「・・・はぁ」

今度こそ、口に出して僕は溜息を吐いてしまった。



Q301,「あなたとあなたの家族が乗っていた遊覧船が、突如原因不明の事故で沈没してしまいました。しかしあなたは奇跡的に一人乗りの救命ボートに乗って難を逃れています。しかし、目の前には大勢の人間が海に投げ出されていて、あなたの家族もその大勢の人間の中に居ます。さて、あなたは一人乗りの救命ボートで自分の命を守りますか?」


A,・・・・・・・・・



(・・・意味わかんねぇよ)

僕は手に握ったシャーペンをくるくる回しながら、○と書こうか×と書こうか迷っていた。

「・・・・・・・・・」

つーかこの問題、結局は一人しか助からない事を前提に質問しているよな?

家族だって何人いるかも分からないし、その他大勢はほとんど助からない設定だし。自分一人が助かっても辛いし、それ以外の選択肢にしたって、どれを選んでも正解とは言えない気がする。

誰かを生かして、その他を殺す。

自分か他者か。

その二択だ。

そんな極端な、○×問題。

正常な精神であれば、この問題に対して二択では答えられないだろう。

それこそ記述問題であっても答えにくい問題なのに。

と言うか答えようが無い。

それに・・・


「・・・家族なんて、知らないしな」



A,○



・・・カチャ。

ペンを置く。

その時、僕は本当の意味でペンを置いた。

もう終わり。

これ以上見直す気も、書き直す気も無い。

そんな気持ちで、四枚のテスト用紙を裏返した。

「・・・あー気分悪ぃ」

最初から最後まで意味の分からない問題ばかりだったが、最後の問題で本当に気分が落ち込んだ。

僕の心情的には、どっちでも良かった。

だけど最終的に僕が選んだ答えは、○・・・つまり自分の命だった。

家族や他の人間よりも、自分を選んだ。

別にそれが真に正しいとか、そんな事は思っていない。ただ何となくで選んだだけだ。それに、鬼畜の僕にだって自己犠牲の精神が無い訳ではない。

身を挺して誰かを助けたい時だってある。

いつかの絵空ちゃんの時みたいにね。

だけど、それはあくまで僕の気まぐれだ。僕は本来、そんな人間じゃない。

そんな、綺麗な人間じゃないんだよ。僕は。

僕の本意はあくまで自分主義だから。

自分が一番。

最終的には自分が一番大事だから。

それに家族の事にしたって・・・

「・・・・・・・・・」

ボーっと、大講義室の時計を眺めていた。

試験終了まであと二分くらい。

その二分を嫌に長く感じたのは・・・

多分、気のせいじゃなかった。




 休み時間。

テストの終了と共に、生徒達の安堵したざわめきが講義室中に広がっていた。

先程のテストの内容について話しているのだろうか?

皆一様に周りの生徒と話しこんでいる。

困惑したり、バカみたいに笑い合っていたり、既にテストとは関係の無い事を話していたり・・・

僕の周りの生徒にしたってそうさ。


さっきの問題、何て答えた?

俺、○にした。

えー?×でしょ、そこは。

てか、意味分かんなくね?

あ、ごめん俺ちょっとトイレ行ってくる。


目まぐるしく移動する生徒達を、

「・・・・・・・・・」

僕は、ポツンと一人で眺めていた。

・・・・・・・・・

確かに、僕には友達が少ないよ。それは認める。

けど、全然誰とも喋らない、って訳じゃないんだ。

もちろん、気の合う人間がクラスに一人二人くらいは居る。けど、それも言ってしまえばかなり表面的な友達だった。

そこまで仲良くはない。けど、喋らない事も無い。

話しかければ応えるし、誘ってくれたら遊ぶ事もある。

そんな程度の友人。いや、知人かな。

顔見知り。

そんな彼らも、他の友人たちと何やらお喋りに興じているようだった。

「・・・・・・・・・」

僕はその時、その輪の中に積極的に入ろうとは思わなかった。

まぁもちろん、僕がそういった人の輪に自ら加わる性格で無いのもあるんだけど、その時は、誰かと話をしようとか、そんな気分にはなれなかったんだ。

僕はその十分を、誰とも話さずトイレにも行かずに、ただ黙って席に座って過ごす事にした。

それも、少しだけ長く感じた十分間だったよ。

しかし、そうは言ってもたかが十分だ。

直ぐに、

「・・・ほら時間だ。席に着けー」

教師達が続々と講義室へと入ってきた。そしてやはり、真っ先に講義室に入ってきた偉そうなあの教師が教壇の上に立ち、

「それではこれより、第二試験を始める。先程と同様、用紙が回ってきたら氏名を書いて裏返して待機だ。・・・今度のは三枚のプリントだから、ちゃんとあるか確認してくれ・・・」

その教師が説明している間にも、他の教師達が次々と大量のテスト用紙を最前列の生徒に配っていく。

生徒達は慣れた手つきでその用紙を後ろに回していた。

「・・・まぁ、さっきの試験は時間ギリギリだったかもしれないが、今度の試験は時間的に余裕があるだろう。ただ、早く試験が終わったからといって、試験終了の時間まで集中を切らさないようにしろ。・・・なるべく、最後まで考え抜いて回答するように」

チラリ。

さっきと同じように、その教師は後ろの時計を確認していた。

その講義室の壁時計を見た上で、自分の腕時計もしっかりと確認している。

「・・・では、この時計で十二時十五分に終了だ。それでは、始めてくれ」

その簡潔な合図で、人徳テスト、第二部が開始された。



【第二問】

「次の絵を見て、その空白の吹き出しに入れる言葉として最も適当なものを四つの選択肢から選びなさい。」



僕はその設問を読んで、真っ先に全部のプリントを確認した。

予想通り、その全てのプリントに四コマ漫画の一コマを抜き出したような絵が綺麗に配置されていた。

・・・まぁ、そのプリントに描かれた絵自体は名前を書く時点で気付いていたのだけれども、またこれも第一試験と同じで、三枚とも全て同じ系統の問題だったのだ。つまり、三枚とも全部、絵を見て答える問題だ。

・・・・・・・・・

第一試験は第一問のテスト。

質問形式による○×問題。

そして、第二試験は第二問。

場面を見て判断する、a~dの四択問題。

まぁ・・・分かり易いって言えば分かり易いけど、あまりにも大雑把な気がしないでもなかった。

要するに、問題の形式ごとに試験をザックリと区切った訳だ。

それは間違いなく、テストを作る側にとっては簡単で都合が良いのだろうけど。

「・・・はぁ」

やっぱり溜息。

・・・もう少し、まじめに問題を作れなかったのだろうか?

テストを見ながら僕は心底そう思った。

不出来な僕ですら、そんな気持ちを感じずにはいられなかったんだ。

「・・・・・・いいや、とりあえず始めよう」

半ば投げやりな気分で、僕はそのテスト用紙の一問目に取りかかった。



Q1,「風船を木に引っ掛けて泣いている子供と、そこに通りがかった老人」

・・・・・・・・・


 第一印象。マジ下手くそ。

その絵は何とも稚拙な絵だった。

誰が書いたのか知らないが、まるで幼稚園児がクレヨンで書いたような、言っちゃ悪いがヘタクソな絵だ。

絵の題名というか内容が上に添えられてるんだけど、それが無ければどっちが子供でどっちが老人なのかすら分からない。

つーかむしろ、パッと見どっちも老人に見える。

木の下で蹲って泣いているじいちゃんと、そこに通りがかった・・・やっぱりじいちゃん。

その二人の口の端から、何も書かれていない吹き出しが出ていた。


 『・・・おぃぃ・・・どーぅしたーんじゃあ?』


 『ぅ・・・をぁ・・・わ、しのぅ・・・ふぅせんがぁのぅ・・・』


・・・・・・

い、いや違うな。

やっぱり、子供と老人だ。

白い吹き出しを見て、何となく二人の老人の会話を想像してしまったが、正直じじいの会話なんて成立しないのが基本みたいなもんだ。

考えるだけ無駄だった。

第一、風船を木に引っかけて泣いている老人なんて、もう不憫過ぎて見ていられないよ。

やっぱり泣いているのが子供で、それをどうにかする老人の図だ。

うん、そうだ。そうに違いない。

(・・・で、選択肢は・・・?)

気を取り直して、問題の選択肢を読んでみよう。

どうやら、子供のセリフと老人のセリフ、それぞれに四つずつ選択肢があるようだぞ。


「子供」

a・・・「お爺さんには頼みません。他を当たります」

b・・・「あぁ、お爺さん。外を出歩かれてはダメじゃないですか。お爺さん

    はもう、亡くなられた事になっているんですよ。」

c・・・「あの風船、実はお姉ちゃんの部屋にあったコンドームで作ったん

です。」

d・・・「あのね、太陽が昇ると僕の体は塩になっちゃうんだ・・・」


「老人」

 a・・・「お前さん、早まるのは止めなさい。」

 b・・・「あの風船を取ってあげるから、ワシの孫になりなさい。」

c・・・「助けて欲しかったら、韓国の都市の名前を五十個言え。」

d・・・「お前んち、燃えてたぞ。」



「・・・・・・・・・」

あぁ・・・なんてひどい。

初っ端から、今まで一番最悪な問題文だ。

何がどうって、まるで寒い大喜利を見ている気分だ。

何かこう回答者に向けて笑わせようとしている魂胆が見える所と、そもそも問題に成っていない所と、どれが正解なのか全く分からない所で非常に腹立たしい気分にさせる。


「・・・はぁやめよ」


解答は放棄した。

とりあえず、その後の問題は全て最初の選択肢を選ぶことにした。

何枚かぺらぺらと紙をめくり、問題文の絵だけ見たりしたが、どれも似たり寄ったりの訳の分からないものだった。

「・・・ん」

時間はまだ十分も経っていなかった。

残り時間とかは気にして無かったから、あと何分あるのかも分からない。

「・・・・・・・・・」

よし寝よう。

とはいえ、堂々と机に突っ伏すのも教員達の心象が悪い。

姿勢正しく、前を向いて寝る事にした。

眼鏡をかけている分、分かりにくい筈だ。

多分。

・・・・・・・・・


「・・・はい、そこまで!」


「・・・ッ」

教師の声で目が覚める。

あまりにも突然過ぎて、反射的にキョロキョロと周りを見てしまう。

恥ずかしい。

え、ていうか僕寝てた?

時計を見る。

昼の十二時十五分だった。

およそ一時間くらいは寝てたみたい。

「・・・はぁ」

それにしてはあんまり気分が優れないというか、何と言うか。

「一番後ろの奴が前に集めてくれー」

そう言われて、僕は後ろを振り返る。

「あ、僕か」

すぐに立ち上がり、前にプリントを集めて行く。

集めながら、周りの弛緩した空気を嫌な気分で感じていた。


ようやく終わった・・・

あそこ何て書いた?

意味分かんなくね?

悲喜交々。


この試験の後はホームルームを経て解散となる為、午後からは自由時間だ。

いわゆる半休。

ほとんどの生徒が部活に勤しむ事になるが、そうでない人間にとってはこれから遊びの時間となる筈だ。

そのせいか、集団の雰囲気がどうしても浮ついた物になってしまうらしい。

「・・・俗物」

ぼそり。

誰にも聞こえない程小さな声で、呟いてしまう。

中二病かもしれないと思う事はよくある。

自覚しているけど、たまに口から本音が出る。

ドサ。

結構な人数分のプリントを教卓の上に置いて、元の席に戻った。

「よし・・・これで全員分だな。あとは各自、自分のクラスに戻ってから担任の指示に従うように。試験結果は今週中に発表になるからそのつもりでな」

高慢そうなその教師はそれだけ言うと、大量の試験用紙をせっせと袋に入れ始めた。

多分、解散らしい。

徐々に生徒達が講義室から出て行きだし、出口付近では予想通り気持ちの悪い行列ができていた。

「どうせ混雑するんだから、少しずつ様子見て行けばいいのにね」

と、突然後ろから声を掛けられた。

「え?」

「よ、テスト終わったからこっちに様子見に来たんだけど、もう終わってたみたいね」

そこには何と、天使が居た。

絵空ちゃん。

僕のアイドルで学園のアイドルで、僕のアイドルの絵空ちゃん。

え、でも、何で?

何で絵空ちゃんがここに?

一年に誰か知り合いでもいるのか?

それとも僕に?

僕に会いに?

い、いやいや・・・

ないない。

それは無い。

そもそも僕らそんな見知った間でも無いし。

そもそも、友達かどうかも怪しいし。

ただ、変態デブの猥褻な事案に関わっただけで、ほんとそれだけ。

この前、そのお礼で一緒に麻雀しただけだし。

「・・・・・・」

あれ、それってもう友達っていうかなんて言うか。

結構な友達加減でアレ?

様子見に来ても不自然じゃない?

アレ?そうなの?

どうなの?

え、でもそんな仲良かったっけ?

こんな気軽に声掛けてもらえるような仲だったっけ?

え?そうだっけ?

でもパンツ見たし。

ピンクの。

しましまの奴。

それって、もう友達だよね?

パンツ見たって事は。

「・・・・・・」

あ、やべ、混乱してきた。

突然好きな女の子に声掛けられて、予想もしなかった展開で身体が言う事を聞かない。

「ね、神乃君、せっかくテスト終わったんだし、これからみんなでご飯食べ行かない?・・・て言っても学食だけど」

「あ、うん。いく」

即答。

混乱が解けた。

天使は微笑む。

とても気さくに。

最高の笑顔で。

うん。

仲が良いとか、どうでも良いや。

可愛い子に飯誘われたら、とりあえず、行く。

間違い無い。

「本条さんは委員会で少し遅れるから、先に行ってて下さいだって」

「え、あぁ」

多分この試験関係の何かだろう。

本条君が様々な委員会の手伝いをしている事は、僕はもちろん生徒の間でも有名な話だ。

頼めば何でも処理してくれる、出来の良い奴。

だが都合の良い奴じゃない。

お互いの利害をきっちりと判断して、双方の為になる仕事をこなしてくれるのが本条君だ。

なので、生徒会や風紀委員などはもちろん教員の中でも、本条君の評価はずば抜けて高いのだ。

「でも、すぐ終わるって言ってた」

「本条君なら何やらせても、とにかく早いからね」

「本条さん頭良さそうだもんねー。私とは大違い」

へへ。

と絵空ちゃんが恥ずかしそうに笑うと、僕は、何かもう、すごい。

事になりそう。

・・・とか何とかしている内に、講義室はほとんど空になっていた。

「あ、そろそろ、人も居なくなったし行こうか?」

「あ、うん」

ぎこちなく歩き出す。

・・・・・・・・・

テストの事はその時すっかり忘れていた。

頭の中は、絵空ちゃんに声掛けられた事と、一緒に昼ごはんが食べられる事と、好きな子と一緒に居られる事で一杯だった。




 「・・・お待たせしました」

本条君が学食に来たのは、僕らが昼食を食べ始めてすぐの事だった。

「おつかれー」

「・・・ち」

絵空ちゃんが笑顔で彼女を迎え入れたのと裏腹に、僕は内心もう来やがったのかと落胆していた。

せっかく二人っきりだったのに。

試験終りで学食が人でごった返し、周りがガヤガヤと騒がしく、僕じゃ無く絵空ちゃんに色んな人が声を掛けに来てめっちゃ気まずかったけど、二人きりだった。

会話が弾まず、絵空ちゃんが喋ってばかりだったけど、二人きりだった。

ずっと楽しそうに喋っている彼女に、それとなく相槌を打ってるだけ。

けど二人きりだったから。

楽しかったんだ。

心がワクワクしたんだ。

久々に、学食の飯が美味かったんだよ。

・・・いつもそれなりに美味いけどさ。

「あの・・・所長、怒ってます?」

そんな僕の雰囲気を察したのか、本条君が気を遣ってくる。

「ん?いや・・・別に」

遣うな。

気を遣わないでくれ。

「・・・?」

ホラ絵空ちゃんが不思議そうにしてる。

変な空気になるじゃないか、やめろよ。

黙って、楽しそうに飯食ってろよ。

本条君。頼むよ。

ただ黙って、僕に傍観させてくれ。

この美少女を。

「・・・あ、あーそうだ本条君はどうだった?試験」

話題を変える。

話を逸らす。

「普通です」

本条君はカレーを頬張りながら、控え目にそう答えた。

「うん、まぁそうだろうけどさ」

冷たい奴だな。

もっと突っ込んで答えてくれよ。

あそこはどうとか、どこの設問が難しかったですね、とか。

色々あるじゃないか。

試験終りのテンプレが。

・・・まぁ、試験を適当に受けた僕が言えた事ではないけれど。

そもそも設問自体を憶えてないし。

「でも、やっぱ変な問題だったよねー」

絵空ちゃんは本当におかしそうにそう言った。

「そうですね・・・常識的に考えて、まともな選択肢を選べば間違いないかと・・・ただ、毎年必ず居るみたいです、おかしな事をする人間が」

極めて平常、他人事のように本条君が言う。

その言葉に、僕はひやりとしたものを背中に感じた。

「普通に答えれば良いものを、穿った見方や、冗談で回答するととんでもない事になりますから」

「・・・とんでもない事?」

えーと、嫌な予感が。

「一応、あのような形の試験でしたが、いわゆる及第点があるようなのです」

その言葉に、僕は絵空ちゃんと顔を見合わせた。

「つまり、赤点取ったら追試?」

僕は恐る恐るそう尋ねた。

・・・ていうか、あの試験に正解なんてあるのかな。

どれも正解には見えなかったけど。

「はい。赤点というよりは、区分ですね」

「・・・区分?」

「分かり易く言うと、危険人物を特定させる試験という事です」

「・・・・・・・・・」

やっぱ、ヤバいんじゃないか。

前半もアレだけど、後半は全て適当に解答したんじゃなかったっけ。

「私も詳しくは知りませんが、試験の結果を点数化するのではなく、あくまでその生徒の傾向を判断する為に、選択肢などで指標を作っているのだと思います」

本条君が難しくないよ、という顔でそう説明する。

うん、ごめん。良く分らん。

絵空ちゃんとまた目が合う。

今度はなんか、お互い照れた感じに。

「ごめん、難しくて分かんない」

「あたしも」

へへへ。

何か、バカ二人で共感できた。

このまま結婚できるんじゃないかと思えた。

「・・・・・・」

あ、本条君が優しい目をしている。

とても慈愛に満ちた瞳だ。

優しい世界。

「つまり、特定の選択肢に偏った解答をしてしまうと、学校側から危険と判断される、ということです」

「へぇ、そうなんだ」

絵空ちゃんは本当に初めて聞いたようなリアクションを取っている。

え、去年受けたって言ってなかったっけ?

「でも、そんなのどれが危険思想だとか分かる訳ないじゃないか」

僕は極めて率直に、正論を述べたつもりだった。

けど、

「・・・え、わかんなかったの?」

驚愕。

驚いた顔も、普通に可愛いよ絵空ちゃん。

でも、そんな事言わないで下さい。とても心が震えます。

「え、本条さん、試験ってそんなに難しかったっけ?」

彼女が本条君に同意を求めている。

「・・・そうですね」

慈愛の瞳が細くなり、遠くを見つめている。

本条君は頭が良いから、そんなバカな僕に優しく丁寧に現実を教えてくれた。

「それが分かって、初めて常識人と呼ぶのです」

「・・・・・・・・・」

なんだろう、この敗北感は。

「・・・はは」

絵空ちゃんは呆れたように笑っている。

「良く分んないけど、あたしは大丈夫だと思う」

「私もです」

彼女等はそう言って、何の心配事も無いといった風に、楽しそうにご飯を食べている。

「・・・・・・・・・」

何となくだけど、多分・・・僕はダメな気がするよ。


 翌日。

高等部B棟昇降口前。

ここには生徒会からのお知らせや、部活動の案内、地域の催しなどのチラシが貼ってある大きな掲示板が設置してあるのだが、今日に限ってはいつもと違うものが掲示してあるらしい。

とんでもない人の集まりが出来ている。

「うわ・・・なんだこれ」

僕はいつも通り本条君と登校し、下駄箱で靴を履き替えている所だったが、その時点で向こうの人だかりと喧騒が嫌でも分かってしまった。

「昨日の試験結果が出たのでは?」

本条君がさほど興味も無さそうに答えてくれた。

「昨日の今日でもう結果が出たのか・・・」

仕事が速いじゃないか。

昨日は今週中にとか言っていたのに、翌日に結果を出すとは。

うちの教職員達は意外と優秀な奴が多いのかも知れない。

「でも何だこの騒ぎは?まるでお祭りじゃないか」

言いつつ周りを見渡す。

大きな掲示板の前には幾人もの生徒がごった返して、各々張り出された白い紙を覗きこんでは、騒いだり笑ったり、驚愕の声を上げたりしていた。

それはまるで入学試験の合否発表を見ているかのような光景だった。

「・・・そうですね」

本条君は目を細めてその試験結果の書かれた紙を眺めていた。

・・・とは言っても、人だかりの一番後ろの方だからそんなに凝視しても内容は解らないと思うが。

「昨年がそうでしたから、恐らく・・・」

言いながら、本条君は人ごみの中に入っていく。

「あ、こら」

置いてかれそうになり、慌てて僕もその中に飛び込んだ。

本条君は色んな人にぶつかりながらも特に気にせず前に進む。

「あ、ちょ・・・痛い、ごめ、あ、あぁ」

僕は何か、もみくちゃになりながら、自分の身長がそこそこ低い事を心底呪った。

屈強な男子生徒に揉まれながらも、時折、何度か柔らかい感触があったのは気のせいじゃないと信じたい。

・・・・・・・・・

ガヤガヤ・・・

・・・また伊集院かよ・・・

・・・あいつも懲りねぇな・・・

・・・え、今年は初等部から全学年やってんの?・・・

・・・てか補習て何されるんだろ?・・・

・・・この人知ってる?・・・

・・・知らねー・・・

ガヤガヤ・・・

・・・・・・・・・

色んな声がする。

自分とは関係の無い話だからだろうか、みんなが面白半分で喋っているように聞こえた。

その空気は至極他人事で何だか居心地が悪かった。

何となく不安が広がって来るのを感じていた。

・・・ドスッ

とそこで何かにぶつかった。

「あ、ごめんなさい」

素直に謝る。

どうやら目の前の生徒にぶつかったようだ。

前を見ると背の高い女子生徒だった。

「・・・・・・」

本条君だった。

見慣れたポニーテールと凛とした立ち姿。

間違い無く本条君だ。

だが、少し様子がおかしい。

「・・・・・・」

その背中が微かに震えている。

「・・・なんて事でしょう」

小さく呟き、

「所長・・・」

振り返った彼女は、いつもの彼女の表情ではなかった。

「落ち着いて聞いて下さい。ここには例年、人徳テストの追試者の名前が掲示されているのですが・・・」

彼女がそう言い終わる前に、

「あー・・・なるほど」

見てしまった。



  第3回人徳テスト補習者一覧表


  初等部、該当者無し


  中等部、佐藤 玉子


  高等部、伊集院 猛

      神乃 光秀


  以上三名に補習講義及び追試を実施します。

  詳細は各担任教諭より連絡します。



「・・・なるほど」

やっちまったらしい。

徐々に周りの喧騒が遠くなるのを感じた。

「・・・あの、所長」

もじもじ。

本条君が何とも気まずそうにしている。

「何と言いますか・・・申し訳ありません、ある程度予想していたのですが、この機会です、ぜひお勉強なさって下さい」

深々。

本条君が頭を下げた。

「うん・・・」

その言葉が心臓に染みた。

「まぁ、頑張る」

そう言って、その日は始まった。

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