騒がしい中学生活になりそうだな
こんにちは。雪木です。
今回も新キャラは多く出していきます。(結果的に多くなってしまったのは御愛嬌でお願いします…)
楽しんでもらえたら嬉しいですね。
勢いよく開けられたドアの先にいたのは、綺麗な金髪が目を引く、見知らぬ小柄な女の子だった。
「このクラスに鞘師勇希奈って子がいると思うけど、まだいる?」
僕のことだ。なにか用かな?もしかして、なにかしちゃった?でも、そんな覚えはないし…。
「わ、私だけど…」
恐る恐る名乗ると彼女は、無言でズンズンと歩き出し、僕の席の前に仁王立ちした。
「ふーん、あなたが鞘師勇希奈ね?」
「なんか…用かな?」
「私は、姫岡朱菜。宣戦布告しにきたのよ。この私を差し置いて話題になっている、あなたと西川十百那にね!まぁ、西川十百那にはまだ会えてないのだけど」
は?宣戦布告?この子はなにを言っているんだ?
「ちょっと待って!は?え?宣戦布告?」
「そうよ!なにをしてもパーフェクトな、この私を差し置いて話題に上がるなんて許せない!これはそのための宣戦布告よ!」
うん、めちゃくちゃだな。そんなこと言われても、僕にはどうもしてあげられないし。
「以上!じゃあね」
「え!?それだけ?」
「それだけよ。他にあなたに用はないもの」
そう言うと姫岡さんは、スタスタと教室を後にした。まるで嵐のように過ぎ去っていった彼女に、僕と、僕を囲っていたクラスメイトたちはただただ呆然とするしかなかった。
そんな時、ポケットに入れていたマナーモードのスマホが、通知がきたことを知らせる。
【そっちはどー?こっちはまだ少しかかりそーだから、もし一緒に帰るなら下駄箱のところで待っててー】
送信相手は万理華だった。どうやら持ち前のコミニケーション能力で、もうクラスメイトと打ち解けたようだ。
一緒に帰りたかったので下駄箱で待つことにし、クラスメイトと一旦別れを告げ、下駄箱へと足を運んだ。
教室からそう遠くないところに一年生の下駄箱はあるので、すぐに着いてしまったが、そこには今日何度目だろうかの顔があった。
その顔を見つけた瞬間思わず「げっ」と声が出てしまい、その声でこちらに気づかれてしまった。
「やぁ、朝以来だね」
「ど、どうも」
「やれやれ。同じ新入生同士なのだから、もっとフランクに行こうじゃないか。勇希奈くん?」
壁にもたれかかって腕を組み、キザったらしいこの口調を覚えているだろうか。そう、西川十百那だ。
フランクに行きづらいんだよ、こっちはさ。って、あれ?
「どうして、私の名前を?」
「愚問だね。僕は、入学前に渡された入学名簿を全て覚えてきているんだから、当然だよ」
それは素直にすごい。新入生だって、四百人くらいはいたはずなのに。ちょっと試してみるか。
「じゃあ、今B組から出てきた人は?」
「ああ、あの子は岡さんだね。そんで、今C組に入っていったのが松野さんかな?」
僕はA組ですらまだ顔と名前が一致していないのに、B組もC組も知るわけがないので正解かどうかはわからない。けど、多分合っているのだろう。
けど、僕はさっきの西川さんの口調にちょっとだけ違和感を感じた。
「ところでさ、なんで私だけ【くん】なの?」
「おや、気づいたか。それはね──」
そう言うと彼女は、壁にもたれていた身体を起こして僕の方に歩いてくる。一歩、また一歩と不敵な笑みを浮かべて近づいて来る西川さんとの距離は、とうとう僅か数センチである。
身長が百六十センチある自分の身長と、ほぼ同じくらいの西川さんは、ゆっくり顔を近づけて耳元で囁いた。
「君は、僕のライバル候補だからね」
そう言い残して彼女は、ゆっくりとその場を後にする。
直後に入れ替わりで万理華がやってきた。
「遅くなってごめーん。今、西川さんとすれ違ったけど、なんかあった?」
とりあえず家族が車で待っているため、駐車場へと向かいながら説明することにした。
「よかったじゃない。人見知りのアンタに早速友達ができそうでさ」
「笑い事じゃないよぉ」
「私はその姫岡さんと同じクラスなのだけれど、自己紹介ではそんな感じじゃなかったけどな」
聞くところによると、彼女の自己紹介は至って真面目というか育ちがいいんだなという印象だと万理華は言う。
さっきの教室での僕への接し方からして、考えられないけど。
「とにかく、つまらない学校生活になりそうじゃない?」
「もう、他人事だと思って…」
この先の学校生活を憂う気持ちを抱えたまま、僕は家族の待つ車に乗り込んだ。
我が家に着いたので、さっそく部屋に戻りいつもの部屋着に着替える。制服はシワにならないように、ちゃんとハンガーにかけておいた。
ベッドに倒れ込んだ僕は、しばらく部屋の天井をなにも考えずに、ただぼーっと眺めていた。
ふと、カバンの方に視線が向いたので手を伸ばして、支給されたタブレットを取り出して電源を入れてみる。
両親の話によれば、一昔前は何冊もの教科書があり、持ち帰るのに苦労したらしい。時代は変わり、今やこのタブレット一台で全ての教科書が網羅されているというのだから、改めて人類の叡智には驚かされるものだ。
「へぇ、それが星城女子のタブレット?」
突然聞こえた声に思わず「わぁっ!!」大きな声が出てしまった。
「なんだよ、舞依華。入るなら…」
「したよ、ノック。お姉ちゃんぼーっとしてて気づかないんだもん」
「それは、ごめん。タブレット見たいの?」
「いや、別に」
「じゃあ、なにさ?」
「お姉ちゃんってさ、ほんっと!美容とかには興味ないのね」
この妹は、突然藪から棒になにを言うのか。
「き、急になにを…」
「お姉ちゃんさ、せっかく抜群のルックスしてんだから、もうちょい化粧水や乳液付けるとかしないの?」
正直全く考えていなかった。だって、そんなの必要だとも思わなかったし。
そう考えていると、舞依華は後ろから何か入ったビニール袋を取り出して僕に渡してきた。
「はい、これ。美容系の配信者がオススメしてたヤツ。お風呂上がりに付けて」
驚いた僕は、中身を見てさらに衝撃を受けた。
「こ、これって高いヤツじゃ…」
「お小遣い貯めて桜士郎と二人で。…その、入学のお祝い…みたいな?」
どうしよう。めちゃくちゃ嬉しいんだけど。
喜びを隠せなかった僕は、あまりの嬉しさに思わず舞依華を思いっきり抱きしめていた。
「ち、ちょっとお姉ちゃん!?く、苦しいって…」
「ありがとう。大事に使うね」
「…全く。お姉ちゃんたら」
一通り喜びを噛み締めた後、一緒にお金を出してくれた桜士郎にもありがとうと伝えたかったのだけど、帰ってきて早々友達と遊び行ってしまっていた。
時間が経ち、もうすぐ慌ただしかった一日が終わる。
さっそく舞依華から貰った化粧水と乳液を付けてみると、肌の潤い感が段違いなのが自分でも分かった。
「そういえば、中学生からニキビとかできやすくなるって舞依華言ってたな。気をつけよ」
鏡の前でポツリと独り言をつぶやいた僕は、部屋に戻って明日の準備をして床に就いた。
──翌朝、いつものように朝の支度を済ませ、家を出る。
しかし、今は中学生だ。小学生の時ではできなかったことの一つが、中学生からは許されるのだ。それはなにかと言うと──。
颯爽と流れる風景に、チェーンが小気味よく回り、サドルは小学生で乗っていたものよりも高くて不安定。
そう、自転車通学である。
一応バス通学も選べたのだが、僕はあえて自転車通学にした。まぁ、理由としては大したことではないのだが、小学生の時に颯爽と駆けていく中学生らが大人びて見えたという、至ってありきたりなものである。
「おはー、勇希奈ー」
「おはー。万理華も自転車なんだ。意外」
「だってさ、バスよりこっちのほうがいい運動になるし」
万理華の家も僕の家とそんなに離れてはいないし、ちょうどいい距離なのも決めてなのだとか。
その後も他愛のない話をしながら、学校へと駆けていく。
学校に着き、僕らは教室に向かう。一番教室に近い自分は、A組の教室前で一旦万理華と別れを告げて教室へと入る。
中に入ると、始業までまだ時間があるにも関わらず、すでに数人のクラスメイトが席に座っていた。
「あっ!ユッキーおはよぉー」
「おはよう。ええっと…」
「来海だよぉ。神崎川愛実」
彼女は眠たそうに答える。
まだ完全に顔と名前が一致していない僕は、慌てて謝ったけど、神崎川さんは笑って許してくれた。
「じゃあまだ時間あるし、それまで寝るぅ」
彼女はカバンから簡易枕を取り出して、眠りはじめてしまった。
また不思議な子だなと思いながら席に座る。
しかし、早く登校してきたところで、普通は今の状況でやることなどない。が、僕にはやりたいことがあるのだ。
カバンを机のフックに掛けて、再び席を立とうとする。
「おはようございます。鞘師さん」
「おっすー。勇希奈!」
「おはよう。…陽川さんと…八嶋さんだったよね?」
突然後ろから話しかけられた。振り向いた先には、ほんのり小麦色に焼けた肌にショートカットが印象的で、明るい性格の陽川さん。隣にいるのは、茶色がかったツインテールにが特徴的な、大人しそうな雰囲気の八嶋さんがいた。
「おお!私らの名前は覚えてくれたのか!」
「嬉しいわ」
残念ながら自分の前に自己紹介した子らは、緊張で全然聞いていなかったので、覚えられなかった。逆に緊張が解けた僕の後の子らは、しっかりと覚えられたけど、なんだか前の子らには申し訳ないな。
「今日さ、午後から部活動見学じゃんか?」
「鞘師さんはもう決まった?」
「実は、もう大方決めてるんだ。陽川さんたちは?」
「いいなー。私はまだ見て回らない限りは決めれんな」
「あら、私はもう決めてますよ?」
「いつの間に…。ちなみにどこだよ?」
「ボディビルダー部です。ふふふ」
「「え!?」」
思わず陽川さんとハモってしまった。
っていうか、この人も知らなかったんかい!
「意外だね。八嶋さんってそんな感じに見えないし」
「小さい頃から筋肉を付けすぎてしまうと、成長面で良くないので、ほどほどにしてるんですよ」
なるほどなぁと感心していると、いつの間にか他のクラスメイトも続々と登校しており、気がつけば全員登校済みとなっていた。
ちょうどチャイムも鳴り、席につくと間もなくして鵜川先生がやってきた。
「おー、揃ってるな!うし!じゃあ朝礼やるぞー」
先生の掛け声に合わせて、今日の日直が号令をかけ、再び着席する。
「よーし、今日から授業…だと思ったか?ここで我が校恒例のサプラーイズ!皆のもの!今すぐ体育館へ行くぞ!」
そう言うと先生は、クラスの子らを整列させて体育館へと一向を連れて行く。
果たして、サプライズとは一体なんなのか。
かくして僕らは体育館へと入るのだった──。
どうだったでしょうか?
一応、こんな感じで書いてみました。
まだまだ未熟ですが、また続きを書いてみますので、応援していただけるとありがたいです。




