4. 誘惑する罠の朝
緊張感や心理描写を中心に描かれているため、読む際はご注意ください。
どんな精神力で押しのけるんだ。
自分の家でもない、知らない男の家で布団を引っ張りながら平和に眠るその生命体、
徹底的に俺の拒否を破って入ってきた彼女を見て、全部諦めて静かに目を閉じた。
体が重い。
魔女だ。
黒いローブを着た魔女が俺に呪いをかけた。
人々が俺に指をさす。
黒い影が俺の首を締める。
息をするのが苦しい。
金髪の悪党が俺の心臓にナイフを刺した。
「はっ!!」
心臓を押さえて目を開けた。
全身に冷や汗が流れた。
そして—
何かふかふかしたものが俺の顔を包んでいた。
…?!?
ぐにゃりと弾力のある感触。
香ばしいシャンプーの匂い。
そして、巨大な肉まん二つを両頬に乗せたような密度。
キャリーケースの彼女が俺を自分の胸に埋めた。
だから息がしづらいんだ…
俺は悪夢と寝ぼけで認知能力が落ちていた。
やっと認識した。
オッパイ!?
その広くて柔らかい肉が、防音材のように俺を包んでいた。
「ひいいいっ!!」
俺は悲鳴を上げて体を引き抜いた。
女に関わると何もうまくいかないのを知っている俺は、
正確には、転がるように慌てて逃げた。
俺が慌てて起きると彼女もゆっくり体を起こした。
ベッドの向こうから柔らかい日差しが差し込んだ。
俺は床に座って彼女を見上げた。
その光はまるでスポットライトのように彼女の輝く黒い長い髪を包んだ。
眠そうに目をちゃんと開けられない彼女。
それでも崩れた美しさは隠せなかった。
大きなTシャツが肩からそっと滑り落ちて、
ほのかな影の中に現れた柔らかい曲線が静かに視線を奪った。
端には少し赤みを帯びた小さなボタンがかすかに光り、
まるでピンクの蕾のようにTシャツの布越しにさりげなく浮き出ていた。
視線が触れた瞬間、俺にしか感じられない目眩がする緊張感とともに、
心の中で「はっ!」と息を飲ませるその微妙な姿態があった。
俺は顔を赤らめて急いで顔をそらし言った。
「え…早く起きて出ていけ!」
「んむんむ…ママ、もっと寝る…」
「え…ママじゃないよ!」
「パパ?もっと寝る…」
その言葉を後に彼女は腰だけ少し下げたまま再び眠りに落ち、
Tシャツはひっくり返り、純白のパンティがぱっと現れた。
その姿は日差しの下でさらに際立った。
大きなTシャツ越しに現れたのは、
巨大な曲線と対照的な細い腰、
そして滑らかに繋がった美しいお尻のラインだった。
無防備な姿態はまるで誰かが意図的に演出したかのように精巧で、
真っ白な肌に降り注ぐ朝の陽光は
彼女を一枚の絵のように静かに照らしていた。
たった一瞬、目が離せなかった自分に鳥肌が立った。
彼女の女性らしさは呼吸のように自然でありながら、
罠のように精巧で致命的だった。
その中に染み込んだ香りと肌、柔らかさのすべてが
過去の記憶と恐怖に同時に触れた。
俺は女が嫌いだ。
俺は女が苦手だ。
俺は女が怖い。
彼女のように眩しく柔らかな存在ほど、なおさら。
だから俺は視線を逸らし、冷たい水で顔を洗った。
自分の平静を取り戻すために。
そして必ず、この見知らぬ罠を追い払うために。
俺は家の主人らしく、
普段はパンティ一丁だが、女の子の前だから
短パンに黒いTシャツを適当に羽織った。
主人だよね?
フライパンにバターを溶かし、
パンを二枚こんがり焼き、
卵と牛乳を入れてフレンチトーストを完成させた。
同じベッドで眠った彼女への
最後の礼儀だったのかもしれない。
俺は静かに朝食を用意した。
10時をとっくに過ぎていたが、
彼女はまだ眠りから覚めずに
ベッドに横たわっていた。
「美女はよく寝るっていうしな…」
自然に浮かんだ昔の言葉に、
俺は思わず苦笑いをこぼした。
いつも通りパソコン机で適当に食べたが、
客でもない客の彼女までそれはできなかった。
使っていなかった座卓を引っ張り出し、
ベッド近くにそっと置いた。
その上に朝食を並べた。
そして俺は彼女にもう話しかけるなと言わんばかりに、
部屋の隅で自分の日常に戻った。
ありがとうございます。
今回は、美人が無防備に迫ることで、
主人公の心の葛藤や女への恐怖がより強く描かれました。
彼女の存在感が大きく、
主人公の拒絶と諦め、そして心理的緊張の描写が中心の話です。
次回は、彼が日常の中で彼女とどう向き合うのかが展開の鍵になります。
お楽しみに。