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ややこしい婚約者に振り回されてばかりで幸せを感じられない人生でしたが、これからは幸せな未来のために歩むつもりです!  作者: 四季


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3話「どの時も彼は意味不明でした」

 ルーインとのことを思い返す時、いつも何とも言えない気分になる。


 彼は何度も私を切り捨ててきた。

 けれどもその様は毎度かなり異様であった。


 一度目は、早朝にいきなり呼びつけてきて、そこで婚約破棄を告げてきた。


 さらに三秒に一個私の悪いところを言うという謎の会を勝手に開始して。目が血走るほど必死の形相でそれを一時間以上続けてきた。彼は懸命に私の悪いところを探し、次々言葉にしていって。それらの言葉の中には嘘や妄想やらも多く含まれていて、まともな言葉たちではなかったのだけれど、一度目だったということもありその時の私はかなりの衝撃を受けた。


 なんせ、そこまで悪口を言われるのは初めての経験だったのだ。


 悪いことをせず、他者が嫌がるようなこともせず、それなりに無難に生きてきた。だから周囲から嫌われることはなかったし、心ない言葉をかけられることもなかった。多少の喧嘩くらいなら経験はあったけれど。傷つけるための言葉を多数投げつけられるというようなことは経験したことがなかった。


 だからこそ、その時はショックだったのである。


 今思えばルーインが変なだけなのでスルーで良かったのだろうが……。


 そして二度目。

 これまた癖が強かった。


 ルーインは朝早い時間にいきなり私の家へ押しかけてきて、家の前の道路で仁王立ちをしながら「お前には飽きた飽きた飽きちゃった飽きちゃった飽きたわ飽きたわ飽きたって飽きたって飽きたんだ飽きたんだ飽きたんだって飽きたんだって飽きたから飽きたから飽きたからさ飽きたからさ」というようなことを叫び続けてきた。


 もう、とにかく意味が分からなくて、しかも近所迷惑なので恥ずかしかった。


 その時は親に頼んで何とか帰ってもらったのだけれど。

 その日から毎日のように長文の手紙が届いて。

 しかもその内容がまた先ほどの叫びと似たようなものだったので、段々怖くなった。


 毎日のように手紙が届き、しかも便箋六十枚くらいで、そこにびっしり書かれているのが『お前には飽きた飽きた飽きちゃった飽きちゃった飽きたわ飽きたわ飽きたって飽きたって飽きたんだ飽きたんだ飽きたんだって飽きたんだって飽きたから飽きたから飽きたからさ飽きたからさ飽きたんだってば飽きたんだってば飽きたんだってばぁ飽きたんだってばぁ飽きたよ飽きたよ飽きたんだよ飽きたんだよ』というようなもの。


 ……そんなことをされて怖くならない者の方が少ないだろう。


 ちなみに一番酷い時には一日にそれが十通くらい同時に届いたこともあった。


 思い出したくもないが、あの時はさすがに気を失いそうになった……。


 今では笑い話だけれど。

 実際に目の前で起こっていると、かなり強烈な出来事だった。


 それからの三度目。

 彼はやはりまた婚約を破棄した。


 だがそこからがこれまでとは違っていて、知人に私の悪口を言い広め始めたのだ。


 しかもその内容は九割以上嘘である。


 あまりにも酷かったので然るべき対応を取ろうと両親と共に行動を開始したのだけれど、ちょうどその辺りで時が巻き戻されてしまったので、もしあのまま進んでいたらどのような未来が待っていたのかは分からない。


 そして四度目。


 あれは夏の日だったのだが、海に呼び出されたと思ったら、何の前触れもなくいきなりバケツに入った大量の海水をかけられた。


 濡れた私を見て満足そうな顔をした彼は、そのままの流れで婚約破棄を宣言。


 その時の彼はなぜかとても嬉しそうな顔をしていて、正直なところを言うと傷ついた。


 嫌がらせをして楽しいの?

 私を傷つけることがそんなに嬉しいことなの?


 考えれば考えるほどに意味が分からなかった。


 さらに彼は「お前みたいな女と婚約したのはこの人生において唯一にして最大の汚点だ」とか「お前のようなやつと婚約していた日が人生の中で一日でもあったというだけで一生泣いて暮らしそうなほどに辛い」とか「どうしてお前のような女と同じ空気を吸ってしまったのだろう、肺が穢れて壊れそうだ」とか、そんな心ない傷つけようとするような発言を繰り返す。


 あまりにも酷い仕打ちに私が俯いてしまえば、彼はケラケラと笑い出した。


 しかもそこから謎のダンスを踊り出す。

 左右に激しく動き、挑発的な動作を繰り返しながら、歌詞か何か知らないが意味不明な言葉を発する。


『よーほらっぴよーくれっふよーほらっぴよーくれっふおっちょこちょーおっちょこらーおっちょこれっとらおっちょこちょーおーばっかおーばっかおーまっえはおーばっかよーほらっぴよーくれっふよっこらほーとらっぴっぷるーよーほらっぴよーくれっふよーほらっぴよーくれっふおっちょこおっちょこおっちょこらおららららおっちょこらおっちょこらっこらおらっちょこらおーばっかおばっかーらよほらっぴおーばっからよほらおっぴら』


 ――と、そんな感じの言葉を発していた気がする。

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